データサイエンティストのサトマイこと佐藤舞さん(36)の著書『あっという間に人は死ぬから』は、「読者が選ぶビジネス書グランプリ2025」自己啓発部門賞を受賞し、ベストセラーに。そして今年、第2弾として『あっという間にお金はなくなるから』を出版した。
◾️ お金の不安って「残高の問題」よりも「心理的な問題」
『あっという間に人は死ぬから』では、「有意義な時間の使い方とは、自分の人生の舵を自分で握ること」を学んだが、『あっという間にお金はなくなるから』では、だれしも抱くお金に対しての不安を少しでも解消するための知恵を伝授いただこう。
「今は皆さんお金の不安を持ってお金を貯めることで安心感を得ている方が大半だと思うんです。私の周りでも、例えば経営者の友人などは一生働かなくてもいいぐらいのお金を得ているにもかかわらずお金の不安が消えていない。そういう点ではお金の不安って残高の問題よりも心理的な問題だと私は思います。そこで自分の過去も踏まえて導き出したのが、お金という金融資本がなくなったとしても他の様々な資本を使って資本を取り戻せれば少しは安心できるよね、という状態をどういうふうに構築していったらいいのかというのを体系的にまとめたのが『あっという間にお金はなくなるから』です」
誰しもお金の不安を抱えているが、つまるところ、それはお金ではなく感情に振り回されているのである。
「若い頃は時間はたくさんあってもお金がないが、それなりのキャリアを積むにつれお金はたまってきても今度は時間がないといったトレードオフの間で揺れることも不安の要素の1つなんですね。本書ではそんな不安の定義をしていまして、はっきりしない脅威に対する不安、つまり起こるかもしれないし、起こらないかもしれないから不安になるわけです。例えば、目の前に熊が現れたら怖いから逃げるか戦うしかないので不安にはならない。それは脅威の対象が明確だからです。モヤッとしていてどうなるかわからない状態が不安なので、不安に対処するための重要なやるべきこと、これは2つあります。
そのために老後に自分が望む暮らし方をするためには何歳までにこの金額を貯めなければいけないかなど数字にして脅威を見える化することを勧めている。
「不安を脅威として数字に落とし込めば、この年齢までにこの金額を貯めておけばいいとか、ここは節約して、もう少し投資を頑張ろうと見直せます。すべて数字で見えてしまうのは怖いけれど、騙されたと思ってきちんと計画を立ててみて、とアドバイスした友人からは100パーセントよかったと感謝されました。よく老後は1人だと2千万、2人だと5千万が必要だとか言われていますが、それは日本人の平均値で出しているのでそれぞれのライフスタイルで金額が変わってきます。例えば、年金だけで暮らす生活はちょっと、という方は今から貯金をしないといけない。ですから、自分が将来どういう生活を送っていきたいかというのを明確にしておくことです」
◾️チャンスを運んでくれる人って「緩い繋がりの人」
さらに、特に30代、40代の人たちにはビジネスチャンスはもちろん収入が増えるチャンスを手に入れるためには、人脈を広げることが一番だとも。
「チャンスに巡り合えない方ってだいたい職場と家庭の往復でしかないのでコミュニティが広がっていかない。要するにチャンスを運んでくれる人がそもそもいないという状況なんです。そういう方たちは、英語でも料理でもスポーツでも何でもいいから自分の興味のあったことを先延ばしにしないでやってみることです。そこで新しい人脈形成をしてコミュニケーションをとっていくと、仲良くなった人に『今度こういうことがあるんだけど一緒にやらない』といった誘いがあったりするんですよね。私の大切にしている考え方にチャンスを運んでくれる方に関する研究があります。
つまり、「緩い繋がり」がキーになるのである。
「会社を辞める時の理由で多いのは、やりたいことができないから転職するという人なんですね。だけど、よく考えてみると、やりたいことができない原因はおそらくその人に信用がないからなんですが、当人は任せてもらえないからだと思っている。もちろん会社の体制もありますが、きちんと実績を作って、裁量権を渡してもらえるようキャリアを積むやり方がいいわけです。バックオフィスであれば、自分がした仕事によってこれぐらいの経費が削減できたとか、これぐらい社員の生産性向上に貢献しましたとか、そして営業とかマーケティング職であれば、これぐらいのリードを獲得しましたとか、ある程度数字で考える習慣を身に着けるべきです」
★第3回につづく・・・
取材・文:大西展子
佐藤 舞 (サトマイ)
データサイエンティスト。登録者44万超『謎解き統計学 サトマイ』YouTubeチャンネル運営。桜花学園大学客員教授。「確率・統計を使い、知的かつ面白く、世の中の謎を解く」をコンセプトに情報発信。国立福島大学卒業後、迷走を経つつも26歳で独立。現在は、企業のマーケティングリサーチや需要予測調査を手掛けるビジネス統計学の専門家として活躍中。著書『はじめての統計学 レジの行列が早く進むのは、どっち』は都内国立中学の入試問題にも引用。
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