HIS海外旅行事業部に所属する中田啓司さんは、「ツアー・コンダクター・オブ・ザ・イヤー2017」の大賞にあたる「国土交通大臣賞」に選ばれるなど旅のスペシャリストだ。ちなみに添乗員歴30年、渡航国数146か国で、世界遺産マイスターや英検1級をはじめ、エリア・スペシャリスト、添乗能力資格1級、地理・歴史教員免許、クルーズ・コンサルタントなど数多くの資格も取得している。



 3日前にポルトガルから帰国したばかりという中田さんに、ゴールデンウィークや夏休みに向けて海外ツアーのことや旅の醍醐味、注意点、そして旅を心に残る思い出にするためのアドバイスをいただいた。中田啓司さんインタビュー連載全3回の第2回を公開。



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◾️海外旅行でスリに遭わないために!



  中田さんにとって、旅の一番の魅力は何なのか。



「まずカルチャーショックだと思います。日本とかけ離れるほど来た甲斐があるというものです。加えて、満足感ですね。これだけの国を見たんだという征服感というのでしょうか。個人的には、あまりに大きな国に行くと満足感には欠けます。北米大陸の国立公園に行ったとしてもアメリカって広いので帰国して地図を広げても行った場所は点でしかないわけです。その点、例えばアイスランドのような適度な大きさの島国であれば、豊かな自然を満喫しながら島を一周したという高い満足感を得られる気がします」







 30年という長い添乗員生活であるが、どんな事態に際しても慌てず冷静に対処することが添乗員には求められる。予期せぬ出来事に巻き込まれた時の顛末をお聞かせいただきたい。



「ツアーで乗車していたマチュピチュ行きの列車が、崖崩れに遭って途中で止まったことがありました。

私は一番前の車両に乗っていたので、斜面が凄まじい勢いで崩落していくのが見えたんですよ。驚いて車掌に目をやると、彼はあさっての方向を向いてタバコを吸っている。絶句した瞬間、列車は土砂に突っ込んでいて、まるでパニック映画のようでしたよ。照明が明滅し、悲鳴を上げる乗客たちが隣の人にしがみついている。幸いにも負傷者は一人も出ませんでした。お客様たちには状況を説明して落ち着きを取り戻してもらい、そこからマチュピチュまでの約1キロ強、線路の上を歩きました。現地の人々にとっては日常茶飯事なのか、戻って来る頃にはすっかり復旧していました」





 さすがに700回も旅していると多少のことでは驚かないという。そんな中田さんの旅行の際に持っていたら重宝するという便利グッズがパスポートサイズの貴重品袋だ。クリップでズボンに固定し、ウエストの内側に収納しておけば、いかに手慣れたスリでも手出しはできないそうだ。海外では何があるかわからない。渡航先を問わず、注意を怠らないことが必須なのである。





添乗歴30年・渡航国数146カ国 、カリスマ添乗員の修羅場体験 & スリに遭わないための重宝グッズ【中田啓司インタビュー②】
(撮影:高山浩数)



◾️長期休暇直前! おすすめの旅行先とは?



 さて、ゴールデンウィークや夏休みを控えて、近場でのおすすめの旅を。

 



「近場となると私は北京を勧めたいですね。以前は充実したパッケージツアーが数多くあり、手頃な価格で北京ダックや四川料理などの食事や、紫禁城、万里の長城といった歴史遺産を堪能できました。見る場所には事欠かず、まさに旅の醍醐味が凝縮されていたんです。ただ、現地ガイドによる土産物店への案内はアジアの旅にはつきものでした。現地独自の商習慣や、店員との威勢の良いやり取り。それ自体がひとつのアトラクションなんです。時には少し大げさな謳い文句の商品に出会うこともありますが、冗談を言い合いながら楽しめばいいんです。清潔なお手洗いを借りられて、お茶のサービスを受けられるといった感覚でいると、心にゆとりが出て旅を豊かにしてくれます。食の宝庫である香港やマカオもお勧めです」





添乗歴30年・渡航国数146カ国 、カリスマ添乗員の修羅場体験 & スリに遭わないための重宝グッズ【中田啓司インタビュー②】
(撮影:高山浩数)



 様々なツアーが用意されているが、少し贅沢な旅をしたい方には、クルーズ旅行に勝るものはないそうだ。年齢層に関わらず楽しめるので、3世代で行ってもそれぞれの年齢に応じた楽しみ方ができて飽きさせない工夫がされている。例えば、地中海クルーズは、イタリアのローマを出港してシチリア島、マルタ島、バルセロナ、フランス、そしてまたローマに戻って来るという10日ぐらいの旅である。フロリダからバハマ諸島に行って戻って来る4日間ぐらいのショートクルーズもある。

一度クルーズを体験すれば、誰もがその魅力の虜になるそうだ。



「乗船すれば様々な食事が楽しめますし、エンターテインメントやアクティビティなど、船内にいるだけで飽きさせないものが用意されています。ドレスコードが設けられている船もありますが、今はカジュアルクルーズと言って、その名の通り豪華客船でカジュアルにのんびり旅行を楽しめるスタイルが増えています。陸路で同じ行程を巡るとなると、その都度スーツケースを運び、飛行機の移動やホテルのチェックインを繰り返さなければなりません。しかしクルーズなら、一度船内の客室に荷物を置けば、あとは身軽に寄港地観光を楽しむだけです。移動の無駄がなく、オプショナルツアーや夜のショー、食事も心ゆくまで堪能できます。私は3人子供がおり、子供が幼い頃に母も一緒に家族6人でクルーズの旅をしましたが、それぞれが自分のペースで楽しめ、子供たちが成長した今もなお、当時の思い出を語り合うほどです。こんなに楽しい旅はないですね」





★インタビュー第3回につづく・・・





取材・構成:大西展子





添乗歴30年・渡航国数146カ国 、カリスマ添乗員の修羅場体験 & スリに遭わないための重宝グッズ【中田啓司インタビュー②】
(撮影:高山浩数)



中田啓司



■添乗歴:30年 ■渡航国数:146カ国 ■ツアー形態:テクニカルヴィジット、オーガナイズツアー、クルーズ、インバウンド等 ■表彰:2017ツアーコンダクター・オブ・ザ・イヤー グランプリ、日本添乗サービス協会永年勤続者表彰 ■資格:世界遺産マイスター、世界遺産アカデミー公認講師、エリアスペシャリスト(全8エリア)、観光地理海外1級(JTB綜研)、添乗能力資格1級、総合旅行業務取扱管理者、地理・歴史教員免許、学芸員資格、クルーズ・コンサルタント、J.S.Aワインエキスパート(日本ソムリエ協会)、英検1級

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