東京商工リサーチは、第3回「雇用調整助成金」不正受給企業調査結果を11月22日に発表した。同調査は、東京商工リサーチの企業データベースに登録された586社を対象に分析し行われた。


各都道府県の労働局が公表した雇調金等の不正受給は、2023年10月31日までに803件に達し、支給決定が取り消された助成金は総額243億4,940万円にのぼる。月別の公表件数は、2021年2月の初公表から1年余りは1桁台で推移したが、2022年6月(15件)から波はあるが、右肩上がりで推移している。2023年10月は複数月の支給決定取消分をまとめたためでもあるが、最多の97件が公表された。

不正受給の内訳は、「雇調金」だけの受給が432件と半数(構成比53.7%)を超えた。また、パートやアルバイトなど雇用保険被保険者でない従業員の休業に支給される「緊急雇用安定助成金」のみは127件(同15.8%)で、両方の支給を受けたのも244件(同30.3%)と3割にのぼる。

公表された雇調金等の不正受給803件の地区別は、最多が関東の291件(構成比36.2%)。
次いで、中部が144件(同17.9%)で、関東が2倍多かった。以下、近畿139件、九州88件、中国60件、東北34件、四国28件、北陸11件、北海道8件の順。中部は8月末から31件増加し、増加数では近畿の20件増を上回った。東京・大阪・名古屋の3大都市圏が7割(同71.4%)を占めた。

都道府県別では、東京都が96件で最多。次いで、2件差で愛知県94件、大阪府89件と僅差で続く。
このほか、神奈川県75件、広島県41件、福岡県36件、埼玉県32件、千葉県31件、三重県25件、栃木県21件、京都府18件、宮城県17件、大分県15件の順。

10件以上の公表は23都府県にのぼり、47都道府県の半数を占めた。20件以上は、10都府県だった。

雇調金等の不正受給を公表された799社のうち、TSR企業DBで分析可能な586社(個人企業等を除く)を対象に、産業別、業種別に分類した。産業別では、サービス業他が259社(構成比44.1%)で最も多く、建設業75社(同12.7%)、製造業65社(同11.0%)と続く。9月、10月の公表分では全産業で公表企業があった。


業種別では、「飲食業」が79社(同13.4%)で最多。次いで、「建設業」が75社で迫り、人材派遣業を含む「他のサービス業」50社と、経営コンサルティング業などの「学術研究、専門・技術サービス業」47社は前回順位から入れ替わった。このほか、冠婚葬祭や美容業、旅行業などを含む「生活関連サービス業,娯楽業」が43社で、コロナ禍で打撃を受けた業種が目立つ。