帝国データバンクは2026年4月17日、保有する企業データベースのうち「小売業」を対象とした企業財務データから、売上高に対する「支払手数料」割合の動向について試算・分析を行った「小売業 支払手数料 比率調査」の結果を公開した。本調査は算出可能な小売業約1万社(各年度別)を対象に、2014年度から2024年度(一部2025年度集計分を含む)の財務データを分析したものである。


○売上高に占める「支払手数料」比率が10年で45%増加

財務分析が可能な小売業約8千社を分析した結果、売上高に占める「支払手数料」負担の割合は、2024年度で平均2.04%となった。10年前の2014年度(1.41%)に比べ、10年間で45%増加している。近年はQRコード決済事業者の導入促進策やポイント還元、コロナ禍の非接触ニーズを背景に決済手数料が増大し、2021年度には初めて2%を超えた。実際に支払手数料を計上する企業も2022年度に初めて1万社を超え、2024年度時点では分析可能な小売企業全体の約7割を占めた。

○飲食店の手数料負担は倍増し2.94%に。業態別で広がる負担格差

業態別にみると、「飲食店」の支払手数料比率は2014年度の1.54%から2024年度には2.94%とほぼ倍増した。2025年度には初めて3%台に到達する可能性がある。少額決済が多い飲食店では、現金からキャッシュレスへの置き換えや、手数料の有料化、デリバリープラットフォームへの依存度上昇がコストを押し上げている。一方、振込決済や自社ローンが中心の「自動車・自転車小売」は0.89%と、全業態で最も低い水準となった。
○高水準な各種商品小売とアパレル関連

百貨店や総合スーパーを含む「各種商品小売」は、高額品の決済頻度が高く自社カード決済も多いため、業態別で最も手数料比率が高かった。アパレル中心の「織物・衣服・身の回り品小売」も、2014年度の2.61%から2024年度には3.90%へ上昇している。キャッシュレス決済手数料に加え、大手ECモールへの出店手数料や販売代行手数料が重い負担となっている。

○持続可能な「キャッシュレス決済」に向けた課題

国内のキャッシュレス決済比率は2025年に58.0%に達し、2030年には65%を目指している。しかし、普及の裏で小売事業者の入金サイクルの長期化や手数料負担による資金繰りの悪化が顕在化している。現場からは「少額決済ではなるべく現金払いにしてほしい」との声も上がっており、さらなる普及のためには手数料負担の適正化や、コストを公平に分配する制度設計が不可欠となっている。
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