スポーツ新聞の成績欄に妙な余白が目立つ日々が続いた。その違和感は消えないまま、レギュラーシーズンが閉幕した。
過去10年を振り返っても、規定到達が1桁だったのは9人の昨年2018年だけ。異常事態とも言える。
到達した6人は、オリックス・山本由伸、日本ハム・有原航平、ソフトバンク・千賀滉大、ソフトバンク・高橋礼、オリックス・山岡泰輔、楽天・美馬学。シーズン終盤には、その時点での規定到達が3投手だけという日さえあった。
しかも山本と高橋は143回と規定ギリギリ。美馬は143回2/3だった。最後の最後に、無理矢理規定に届かせた格好だ。
各チームのエース級のケガ、分業制etc.
原因はいくつか考えられる。最大の要因はエース級の投手にケガ人が相次いだことだろう。
楽天の則本昂大に岸孝之、日本ハムの上沢直之にニック・マルティネス。オリックス・ディクソン、ロッテ・涌井秀章、西武・多和田真三郎ら。
そして分業制。中継ぎ投手の重要性は年々増してきており、先発完投型の投手を無理に求めてはいない。6~7回を投げ、試合をつくってくれることが先発投手の最低限の役割となっている。日本ハムのチームとして1完投も最少記録で、リーグ全体の19完投も同じく最少記録となった。
また、今季から1軍の登録枠が1人増えて29選手となった。
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沢村賞は?
両リーグの最も優れた先発投手に贈られるのが沢村賞。
7つの厳しい基準があり、そのうちの2つが10完投以上であり、200イニング以上の投球回だ。このうち近年は10完投以上をクリアできない投手が増え、2018年より7回で自責点3点以内という独自基準のクオリティースタート率を補則項目に採用したほど。権威あるタイトルも、時代の流れには逆らえていない。
今季は完投数で見れば広島・大瀬良の6、イニングは千賀の180回1/3が最も多い。いずれも沢村賞の基準からは大きく見劣りする。
過去、該当者なしで終わったシーズンは2000年までさかのぼる。21世紀初の該当者なしという結果もあり得るのだろうか。沢村賞は先発投手として活躍した元選手が選考委員に選ばれ、話し合いで決まる。変わりゆく野球界の現状を見詰めた、レジェンドたちが出す答えに注目が集まる。
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[文/構成:ココカラネクスト編集部]