新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、外出自粛が長期化しています。

また、高齢者が自宅から施設に通う通所介護(デイサービス)や短期宿泊(ショートステイ)の全国858事業所が休業していることが厚生労働省の調査で分かっています。


外出を控えることで体力の低下だけでなく、人との交流が少なくなってストレスを感じる人も多いため、自宅で過ごす高齢者の健康への影響が懸念されています。

心身の活力を失うことで、要介護手前の状態「フレイル(虚弱)」に陥るのを防ぐための対策が求められます。

そこで、今回は注目されている「フレイル(虚弱)」とビタミンDの関係について紹介。

また、ビタミンD不足が高齢者にどのような影響を与えるかなど、掘り下げて説明します。

「日本人の食事摂取基準(2020年版)」におけるビタミンDの目安量、注目されるフレイル予防とは

外出自粛による健康への影響が懸念!4月に改訂された「日本人の食事摂取基準(2020年版)」 で注目されているフレイル予防とビタミンDの関係性とは

表2:ビタミンDの食事摂取基準(μg/日)※出典:「日本人の食事摂取基準(2020年版)

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・ビタミンDの目安量は18歳以上の男女ともに8.5μg/日に改訂
今回改定された「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、生活習慣病の予防を目的とした従来の目標量の基準に加え、重症化も考慮した目標量の設定が検討され、数値が示されました。

ビタミンDの目安量は18歳以上の男女ともに5.5μg/日から8.5μg/日に改訂されています。

平成28年度国民健康・栄養調査よると、20歳以上の日本人におけるビタミンD摂取量の平均は7.8μg/日でした 。

日本人のビタミンD摂取量は不足していると見られています。

・フレイルとは、健康障害に対する脆弱性が増加している状態
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」は、高齢者の低栄養予防やフレイル予防も視野に入れて策定が行われました。

フレイルとは、老化に伴う種々の機能低下(予備能力の低下)を基盤とし、様々な健康障害に対する脆弱性が増加している状態、すなわち健康障害に陥りやすい状態を指します。

健康状態を維持し続けるためには、食事摂取基準を満たした食生活を送ることが重要です。

ビタミンDがもたらす高齢者の健康への影響について

・ビタミンDは高齢者の股関節骨折後の回復を促進する
「25-ヒドロキシビタミンD」(体内にある、ビタミンDになる前の途中状態の最も良い状態の養分)の濃度が高い患者は高い歩行率を示して、栄養状態が悪い患者は移動性が低下する傾向が示されました。

・ビタミン D不足は高齢者のストレス忍容性を低下させる
高齢者におけるビタミンD不足がストレスに対する忍容性低下を引き起こす可能性が示唆されました。


高齢者のストレスに対するビタミン D の影響については介入研究による検討も行われていて、さらなる知見の集積が期待されています。

・ビタミン Dの重度な不足により高齢者の認知症やアルツハイマーのリスクが増加
ビタミンD値が正常である参加者と比較すると、ビタミンD低値である者では認知症発症リスクが53%増大し、重度に不足している者では125%増大していました。

また、アルツハイマー病を発症するリスクは、ビタミンD低値である者では約70%増大し、重度に不足している者では120%以上増大しました。

・ビタミンD不足は高齢者の日常活動に支障を引き起こす
ビタミンDの不足する高齢者は、着替えや階段を上るなどの日常的な身体活動に困難を来す可能性のあることが示されました。

高齢集団では、ビタミンD値最低群の70%に少なくとも1つの身体的制限がみられたのに対して、ビタミンD値が中域から高域群では身体的制限がみられなかったと報告されています。

フレイルが進むと、回復力や抵抗力が低下します。

三食バランスが取れた食事を摂取し、不足しがちな栄養素はサプリメントで補うなど、健康な生活を心掛けましょう。

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません

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