女優の伊藤沙莉が主演を務める特集ドラマ『ももさんと7人のパパゲーノ』が、NHK総合にて8月20日23時に放送されることが決まった。伊藤はNHKドラマ初主演。



【写真】『ももさんと7人のパパゲーノ』に出演する山崎紘菜、染谷将太ら共演キャスト

 本作は、ある夏、ひょんなことから旅に出たももさん(伊藤)が、それぞれに生きづらさと折り合う7人と出会い、「死にたい」自分を肯定していく、1週間の物語。

 「パパゲーノ」とは、「死にたい気持ちを抱えながら、その人なりの理由や考え方で“死ぬ以外”の選択をしている人」のこと。オーストリアのメディア研究では、こうした経験を持つ人のストーリーを伝えることが、自殺を思いとどまる抑止力になることが示され、「パパゲーノ効果」と呼ばれている。

 本作では、主人公ももさんの人物像や、ももさんが出会う「7人のパパゲーノ」たちの生きざまを、寄せられた投稿や、当事者の方々への取材を元に描く。

 ももさん(25)には友達もいる。少し離れた所に住む両親とは時々ご飯を食べるし、特に付き合いたくないゾーンではない彼氏とデートを重ね、宅飲みをする。
職場で理不尽な得意先の電話にちゃんと謝るし、飲み会では社会人としてのスルー力が毎分毎秒試される。そんな“一般的”な日々の中で、ももさんは自分が「死にたい」気持ちを抱えているなんて気付きもしなかった。ももさんにとって「死にたい」は、自分なんかが言ってはいけない言葉だった。

 ある夏。月曜日の朝が来ることが耐えきれず、会社を休んだももさんは、SNSでつながった“死にたい”気持ちを抱えながら生きる人=「パパゲーノ」たちを訪ねて旅に出る。彼らと出会い“死ぬ以外”の選択肢を知っていくももさん。
しかし、あるパパゲーノの言葉をきっかけに、ももさんの心に再びざわめきが生まれー。

 主演の伊藤は「ふっと差し込まれた時、差し込まれそうな時、この作品を観て元気とかそういうのはまず置いといてなんとなくでいいから人生に対して続けてみようとか 楽しいのかもしれない、気になる、とかそう言う気持ちが生まれることを祈りつつ 真摯に向き合い、挑戦したいと思います。1人でも多くの方々に届くことを願っています」とコメントしている。

 共演キャストには、染谷将太、山崎紘菜、中島セナ、橋本淳、野間口徹平原テツ池谷のぶえ、堀内敬子、浅野和之が顔をそろえる。

 特集ドラマ『ももさんと7人のパパゲーノ』は、NHK総合にて8月20日23時放送。

※伊藤沙莉コメント全文は以下の通り

◆伊藤沙莉

今その場に立っているのがやっとだったり 立っていられることがむしろきつかったり逃げ出したくなる、消えてしまいたくなる瞬間はあります。

きっと誰にでも大小問わずあると思います。
そう言う時に背中を押したりとか、喝を入れたりとかそういうことじゃなく、ただ寄り添えたら、少しでも、1人じゃないって思えたら、少しは、本当にほんの少しは、楽になれるんじゃないか。
なってほしい。
そう言う気持ちがありながら やり方がわからない無力さや不甲斐なさから また同じループに陥る。
そんな時、巡り会えた作品だと思いました。
ふっと差し込まれた時、差し込まれそうな時、この作品を観て元気とかそういうのはまず置いといて
なんとなくでいいから人生に対して続けてみようとか 楽しいのかもしれない、気になる、とか
そう言う気持ちが生まれることを祈りつつ 真摯に向き合い、挑戦したいと思います。

1人でも多くの方々に届くことを願っています。

◆作・加藤拓也

とくによくある日々ととくによくない日々が半分半分くらい、つまりフィクションなようで、フィクションじゃなさそうな所が半分半分くらい存在している作品になりそうです。
監督はドラマ初監督らしいので、では折角なので好きなようにしてくださいとお伝えします。
ここで。
良い作品になるといいなと思ってオンエアの日を待っています。

◆演出・後藤怜亜

普段は福祉番組を制作しています。

5年半の間、「死にたい」「生きるのがつらい」という気持ちを抱える方々のお話を聴かせて頂き、一緒に過ごしてきました。その人なりの理由や考え方で“死ぬ以外”の道を歩む人たちのライフストーリーには、つらい状況にある方を思いとどまらせる抑止力“パパゲーノ効果”があるとされていますが、長く苦しい夜を幾度も越えてきた人たちの言葉にずっと助けられてきたのは、他でも無い私自身です。
独り占めにするにはあまりに豊かでかけがえのない、その人たちと共に生きる時間を、ドラマというかたちで共有したいと思い至りました。脚本の加藤拓也さん、素敵なキャストの皆さん、フィクションとノンフィクションを跨ぐ制作チームの総力で、嘘のない物語を目指しています。