12月9日に公開された映画『ラーゲリより愛を込めて』で二宮和也演じる主人公・山本幡男の妻・モジミを演じている北川景子。2003年に『美少女戦士セーラームーン』(TBS系)で火野レイ/セーラーマーズ役で女優デビューしてから、来年で20年という節目を迎える。
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北川が『ラーゲリより愛を込めて』で演じたモジミは、夫である山本幡男と満州で生き別れになり、帰国後も、常に「必ずお父さんは帰ってきます」と希望を失わず、4人の子供たちを育て上げる強い母親。包み込むような大きな心を持つ女性を好演している。
朗らかでありながらも強く太陽のような女性を演じた北川。デビューはいまから約20年前の2003年。「ミスSEVENTEEN」としてモデルデビューを果たすと、『美少女戦士セーラームーン』で女優デビューも飾った。本作で北川が演じたのが火野レイ/セーラーマーズ。セーラー戦士役で共演した北川、安座間美優、泉里香、沢井美優、小松彩夏は定期的に“戦士会”と称して集まっている姿がそれぞれのSNSで報告されるなど、北川にとっても非常に大切な作品だったことがうかがえる。
■故・森田芳光監督作品への出演が転機に
その後、『美少女戦士セーラームーン』から3年後の2006年に公開された映画『間宮兄弟』で北川はスクリーンデビューを果たす。監督は故・森田芳光さん。オーディションで勝ち取った本作だったが、学校の単位の関係で上の空で受けたものだったという。それでも結果は合格。
そこから『サウスバウンド』(2007年)、『わたし出すわ』(2009年)という森田作品に出演。森田監督が2011年に他界した後にも、森田監督の劇場映画デビュー作『の・ようなもの』の35年後をオリジナルストーリーで描いた『の・ようなもの のようなもの』(2016年)で北川はヒロイン・夕美をみずみずしく演じた。この夕美という名は、映画デビュー作『間宮兄弟』で北川が演じたキャラクター名であり、北川自身も深い縁を感じているようで、「森田監督と出会わなければずっとモデルのままだったかもしれません」(※1)と話していた。彼女の女優人生を語る上では、森田芳光監督作品は欠かせないだろう。
その間には、ハリウッドデビューを果たした映画『ワイルドスピードX3 TOKYO DRIFT』(2006年)への出演や、月9ドラマ『ブザー・ビート~崖っぷちのヒーロー~』(フジテレビ系/2009年)や、『謎解きはディナーのあとで』(フジテレビ系/2011年)、『HERO 第2期』(フジテレビ系/2014年)でヒロインを務めるなど、キャリアを積んでいく。「女性が選ぶ“なりたい顔”ランキング」(オリコン調べ)で常に上位に選ばれるなど、同性からの支持が非常に高いというパブリックイメージがあった。
■エンタメ、エキセントリック、社会派も 役の幅広げる30代
そんななか2016年、アーティストでタレントのDAIGOと結婚を発表。同年7月から放送された連続ドラマ『家売るオンナ』(日本テレビ系)では、無表情でとにかく家を売りまくるマシーンのような主人公・三軒家万智を演じ、新たな一面を見せると、2018年には初出演となる大河ドラマ『西郷どん』(NHK総合)で、天璋院篤姫をきらびやかに演じた。
さらに2018年公開の映画『パンク侍、斬られて候』では、石井岳龍監督のエキセントリックな世界観の中、ろんというキテレツなキャラクターを演じ、同じく2018年公開の映画『スマホを落としただけなのに』では、二面性を持つスリリングなキャラクターに。また同年NHKで放送されたドラマ『フェイクニュース あるいはどこか遠くの戦争の話』では、大手新聞社からネットメディアへ出向中に、フェイクニュースの真相を追う記者を熱演するなど、エンタメ、エキセントリック、社会派…と役柄の幅が広がった印象を与えた。
北川自身もインタビューで「20代は役柄が偏ることが多かったけれど、30歳になる手前に結婚したあたりから、いただける役の幅がすごく広がってきた」(※2)と話していたように、広いレンジで自身を見てくれるようになったという。
そして2020年には第1子が誕生し母親に。『ラーゲリより愛を込めて』では、厳しい境遇の中、明るく前を向く強い母親を演じた。さらに2023年1月からは『HERO 第2期』以来、約8年ぶりの月9ドラマ『女神の教室~リーガル青春白書~』(フジテレビ系/毎週月曜21時)で主演を務めるほか、大河ドラマ『どうする家康』(NHK総合)に、岡田准一演じる織田信長の妹・お市役として出演も決まっているなど、2023年も役柄の幅を広げながら、女優道にまい進する姿が見られそうだ。(文・磯部正和)
※1 北川景子「自分が幸せじゃないと」 女優人生を変えた森田芳光監督との出会い クランクイン!
※2 北川景子、情報を取捨選択する重要さ 学生時代から意識 シネマトゥデイ