日向坂46が19日、東京国際フォーラムホールAで「影山優佳卒業セレモニー」を開催。ステージではメンバーがさまざまな企画で盛り上げ、ライブパートでは計6曲をパフォーマンス。

グループの前身“けやき坂46”への加入から7年、一期生の影山優佳のラストステージは涙と笑顔に包まれた。

【写真】真紅のドレス姿の日向坂46・影山優佳

 影山は2016年5月、欅坂46(現・櫻坂46)の妹分“けやき坂46”の一期生として加入。2018年6月に学業専念のため活動を一時休止し、グループの改名を経た2020年5月に活動復帰した。以降、サッカーやクイズなど、自身の得意分野を生かしてソロでも活躍。2月に自身のブログで、大きな音へ過敏に反応してしまう「耳の特性」を理由に卒業を発表した。

 開演前の影アナは影山と、彼女を熱く慕う後輩の三期生・高橋未来虹(高の正式表記は「はしごだか」)が担当。オープニングVTRが明けると、メンバーが口々に影山の愛称を叫び、この日の主役となる影山をステージに迎え入れた。

 公演の前半は、影山が自身にまつわる問題を考案した期別対抗のクイズ企画。影山と一期生の佐々木美玲、二期生の河田陽菜と富田鈴花によるラジオ番組「ローソン presents 日向坂46のほっとひといき!」(TOKYO FM/毎週金曜11時30分)の公開収録で会場を盛り上げ、参加メンバー全員そろってのトークでは、メンバーの考えた影山の素顔に迫る質問に本人が次々と答えた。

 観客の歓声も響いた後半のライブパートは「Overture」でスタート。影山のメンバーカラー“レッド”の光に染まった客席を前に、けやき坂46時代から歌い継ぐ「永遠の白線」「おいで夏の境界線」では一期生が笑顔で躍動した。

 MCでは、影山が一期生にとって「思い出の曲」をやりたかったと選曲理由を明かし、2曲目の「おいで夏の境界線」については「(過去のライブ披露時に)学業の方で活動休止していたので。
『おいで夏の境界線』をみんなでやる機会がなかったから、こうして夢を叶えられてうれしいです」と微笑んだ。

 ユニット曲のブロックでは、影山、一期生の東村芽依と高瀬愛奈が「夏色のミュール」。影山、二期生の金村美玖と富田鈴花、三期生の上村ひなのが「その他大勢タイプ」を披露した。

 パフォーマンス後に影山は、「その他大勢タイプ」について「卒業発表があって、なかなか披露する機会がなかったので。思い出になってしまっては申し訳ないんですけども、一緒に披露できたのはすごく光栄」と感想を伝え「私いなくても、この曲をずっと歌い踊り続けてくれればうれしいなぁなんて。続けていればもしかしたら、戻ってくるかも」とコメントすると、メンバーや観客が湧いた。

 一期生から四期生の参加メンバー全員で歌い上げたけやき坂46時代からの曲「誰よりも高く跳べ!」の終盤では、メンバーが見つめる中で影山が「跳べ~!」と観客を鼓舞した。

■便せん「6枚」にわたる卒業スピーチ

 メンバーがいなくなったステージでは、影山がグループでの思い出を振り返ったVTRを投影。メンバーカラーを彷ふつとさせる“真紅”のドレスを着た影山が1人で壇上にあらわれると、観客は大きな拍手で迎え入れた。

 スピーチの冒頭で「かわいいですか?」と影山がはにかむと、客席の一部からは「かわいいよ~!」の歓声。自己紹介も披露し「6枚」にも及んだという手紙に込めた卒業への思いを語り始めた。

 活動では「完璧」という周囲からのイメージに対して「完璧じゃないといけない、完璧にならなければならないのだと。
完璧でなければ私じゃないのだと。常に、私という存在に後ろめたさを感じていました」と葛藤もあったことを吐露。

 卒業理由の「耳の特性」を明かした「後悔」もあり、ライブでは「(ファンに)感じてもらった幸せとか勇気とか元気とか、楽しさの記憶が、影ちゃんに無理をさせてしまったのかもしれないなっていう、申し訳なさの記憶に。私のせいで、もしかしたら塗り替えられてしまったかもしれない。そんな人もいるかもしれないと思いました。本当にごめんなさい」とファンへの気遣いを見せた。

 その影響で、ステージでは「苦しい顔をしてしまったり、気が滅入って気が散ってしまって、思うようなパフォーマンスができなかったりする自分が心底許せませんでした」と回想。

 現在は「周りが見えるようになって、気持ちも穏やかになってきて、やっぱり私、日向坂大好きだなってこととか。表現の活動が私、大好きなんだなっていうことを実感することができています」と語り、「視力が2.0で、ちょっと人混みが苦手」ではありながら「家の外から夜ご飯の匂いが当てられるみたいな。そういうちょっと感覚の鋭い自分が好きでいたいって思えるようになって」と吐露。メンバーやファンに「自分を愛してください」とメッセージを届けた。

 同期や後輩へのメッセージを伝え、「自分を許せるようになりたいです」と今後に言及。
「もっともっと、もっと大きい人間になって、ある日、どこからか『影山優佳ちゃんって、日向坂にいたんだね。日向坂ってすごいんだね』みたいな話が聞こえてくるようになったらいいなと思います」と語り、「お芝居を見ることがね、大好きなのでそちらに踏み入れていくのかもしれないし。あるいは、ちょっと充電するのかもしれない。また、不思議な何かようわからん資格とか見つけて、勉強するのかなっていうこともあるかもしれない」と示唆し、「どんな未来になっても、私を温かく見守っていてくれませんでしょうか?」と問いかけると、客席では大きな拍手が響いた。

■「一期生でいられて幸せだった」大粒の涙

 スピーチを終えた影山のもとに、一期生が集合。キャプテンで一期生の佐々木久美が「うちらのはじまりの曲」と紹介したけやき坂46の曲「ひらがなけやき」をメンバーがアカペラで披露し、客席がこの曲のカラーである“ピンク”の光に染まった。

 メンバー同士のトークでは「一期生でいられて幸せだった」とつぶやいた影山が涙。同期が見守る中「本当にこの一期生じゃなかったら、頑張れなかったなと思うので。しかも、卒業するのは私自身も寂しいんですけど、卒業したら友達になれるよね」と言葉を詰まらせた影山を見守るメンバーが、口々に「友達だよ」と優しく言葉をかけた。

 ステージに再び登場した二期生~四期生が1人ずつ、影山に一輪の花を手渡すセレモニーも行われ、三期生の高橋は「影さん。今までたくさんかわいがってくださってありがとうございました。これからも自分のことを大切に、幸せに生きてください。
あと、ご飯も連れてってください。これからも影さんの未来が幸せであることを祈っています。今まで本当にお世話になりました」と伝え、堅く抱き合った。

 二期生の金村は、涙を浮かべながら「影さ~ん」と駆け寄り「不器用だった私に…。たくさんの愛をありがとうございました。これからもずっと推しメンです。影さんの後輩であれてよかったです」と感謝し、続く河田のむせび泣く姿をメンバーや観客が温かく見守った。

 一期生も1人ずつ一輪の花を手渡し、キャプテンで一期生の佐々木久美は「影が日向坂にもたらしてくれたものっていうのは、他の何にも変えられない本当にすてきな景色だった」と感謝。「甘えるのが苦手で不器用なところも私たちは全部知ってるし、影の日向坂にくれた愛は本当に全員にちゃんと伝わってるから」と語り、「自分のことをおろそかにしがちだから、これからはちゃんと自分のことを一番に考えて、すてきな人生を歩んでください。これが本当に全員からの願いです。本当に今までありがとう、卒業おめでとう」と門出を祝福した。

 涙を流しながらも、笑顔を浮かべた影山は「サッカーだったりクイズだったり、いろいろ自分にできることを、自分にしかできないことにして、それが日向坂のためになったらいいなぁなんて思ってたけど、本当は心の中では、私の活動は何の役にも立てないんじゃないかなとちょっと思ってて」と回想。
ときに、ファンやメンバーからの「ありがとう」すら「本物ではない」と疑ってしまう不安も抱えていたが、「でも今こうして、サプライズですてきな言葉とすてきなお花をくれて、みなさんが温かくそれを見守ってくださって。このグループの一員になれてよかったなって思います。これから、このグループの外からも、このグループの幸せをもっともっと増やせるよう、頑張っていきたいと思います」と語った。

 残すところ1曲となり、公演を締めくくったのは影山が最後にセンターを担当した曲「友よ 一番星だ」。グループの中心に立ちメンバーと一緒に「以上、私たち。日向坂46でした!」とあいさつした影山は他のメンバーを見送り、1人残ったステージで観客に感謝を伝えてステージをあとにした。

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