7月から続々とスタートし、今年のラインナップも出揃った夏ドラマ。小説&コミックの実写化作品や根強いファンを持つ脚本家によるオリジナル作品、さらに人気作待望の続編に至るまでバリエーションも豊富なドラマが目白押しだ。
【写真】2話以降も見続けたい「夏ドラマ」ランキングTOP10
■期待度第3位『海のはじまり』 『silent』製作陣チーム×目黒蓮が再タッグで贈る重厚な人間ドラマ
2022年10月期に放送され、社会現象的なヒットとなったドラマ『silent』の脚本家・生方美久と演出の風間太樹、さらにプロデューサーの村瀬健が再結集し、主演にSnow Manの目黒蓮を迎えたのが、現在放送中のフジテレビ系月9ドラマ『海のはじまり』。
『silent』では健常者と中途失聴者の恋愛を描き、続く『いちばんすきな花』では男女の恋愛と友情をモチーフにした群像劇を生み出した生方。完全オリジナルとなる最新作で彼女が挑んだテーマは“親子の愛”。大学生活を経て印刷会社に勤務する夏(目黒)を主人公に、亡くなったかつての恋人・水季(古川琴音)や、交際中の恋人・弥生(有村架純)、そして水季が遺した幼い娘・海(泉谷星奈)が織りなす人間模様を、キャスト陣の繊細な演技と美しい映像で表現していく。キャストには大竹しのぶ、池松壮亮、西田尚美、木戸大聖が名を連ねている。
第1話では、水季の死を知った夏が葬儀に出席。そこで彼は、水季の母・朱音(大竹)から海が自分の娘であることを知らされる。大学時代、夏は水季から人工妊娠中絶に対する同意書にサインをするように求められた。彼女の妊娠を知った夏は、1人で不安にさせてしまったことを謝りながら「他に選択肢はないの?」と問いかける。しかし水季の意思は硬い。その後、水季は大学を辞めてしまい夏に別れを告げることになる。
それぞれに複雑な事情を抱えた登場人物たちの思いを体現する実力派キャストによる抑制の効いた芝居と、それを引き出す演出が見事。
■期待度第2位『笑うマトリョーシカ』 櫻井翔の国民的人気を誇る若手政治家が当たり役
TBSの看板枠の1つともいえる「金曜ドラマ」内で放送中なのが、水川あさみが主演を務め、櫻井翔と玉山鉄二が共演するポリティカル・サスペンス『笑うマトリョーシカ』だ。
早見和真の同名小説を実写化した本作は、主人公の新聞記者・道上香苗(水川)が、国民的人気を誇る若手政治家・清家一郎(櫻井)と、彼の有能な秘書・鈴木俊哉(玉山)をめぐる深い闇を追うさまをスリリングに活写。キャストには水川、櫻井、玉山をはじめ、渡辺いっけい、筒井真理子、田辺桃子、真飛聖、高岡早紀ら実力派が名を連ねている。
第1話は、香苗の父で大手新聞社社会部の敏腕記者だった兼高が取材中に壮絶な交通事故に遭うシーンで幕を開ける。ショッキングなシーンで視聴者の目を奪うと、父の事故を不審に思い取材を開始した香苗の視点で、清家と鈴木にまつわる謎が次から次へと明るみになっていく。
視聴者の“考察欲”を刺激するストーリー展開もさることながら、本作の白眉はなんと言っても清家一郎を演じる櫻井の存在。紙に書かれた原稿や人から聞いた話を、自分の言葉として完璧に再現するという特殊な技能を持つ清家。国民的アイドルグループのメンバーとして、歌やダンスに演技、さらにキャスターとして、常に“完璧”であることを求められてきた櫻井が、人間離れした能力を持つ清家に説得力を与えている。本作が“俳優・櫻井翔”にとって代表作となることは間違いないだろう。
※兼高の「高」は正確には「はしごだか」
■期待度第1位『青島くんはいじわる』 渡辺翔太が“モテ男”を体現!1話からキュンの波状攻撃
テレビ朝日のドラマ枠「オシドラサタデー」で放送中の『青島くんはいじわる』は、Snow Manの渡辺翔太と中村アンがダブル主演を務めるラブコメディ。
本作は吉井ユウによる同名コミックを実写化したドラマで、渡辺が演じるのは飲料メーカー「キャットビバレッジ」に中途入社したシステム部員・青島瑞樹。
第1話では、恋人同伴で友人の結婚式に出席する約束をしていた雪乃が、婚活アプリで出会った彼氏から突然別れを告げられるさまをコミカルに描いたシーンからスタート。序盤では、真面目で責任が強く、プライベートでは1人の時間を優先してきた彼女の日常がつづられる。
そんな彼女が1日限定の“彼氏役”を瑞樹に持ちかけたことから物語が一気に動き出す。社内でモテモテの瑞樹は女性を寄せ付けないために雪乃からの申し出を受け入れたよう。しかし瑞樹は雪乃に社内のエレベーターでふいに手を繋いでみたり、強引にショッピングに誘ったり、ラストシーンでは2人きりのオフィスでのキスシーンが描かれるなど、第1話から胸キュン描写が波状攻撃のように押し寄せる。
第2話以降、恋愛に興味がないという瑞樹の複雑な家庭事情が明らかになり、雪乃とも“役”を超えて関係性を築き上げる姿も描かれるはず。2人の主人公の人間的な成長や変化にも注目していきたい。(文:スズキヒロシ)