マーベル・コミックのヒーローの一人「ソー」の活躍を描いたシリーズ最新作『マイティ・ソー バトルロイヤル』が全国公開中だ。本作は、アベンジャーズの一員であるキャラクター、ソーを中心としたヒーローたちの活躍を描く物語の第3弾。
復讐と野望に燃える死の女神ヘラ(ケイト・ブランシェット)の攻撃により故郷を奪われたソー(クリス・ヘムズワース)が、盟友ハルク(マーク・ラファロ)、宿敵ロキ(トム・ヒドルストン)らとチームを結成、仲間と共に史上最強の敵に立ち向かう。本作の新キャラクター・女戦士ヴァルキリー(テッサ・トンプソン)の日本語吹替えを務め、「悪役が好き」だという、声優の沢城みゆきが本作の魅力を語った。

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 個性派集団アベンジャーズの中でも特に異彩を放つ、ソー。今作は演出にかなりコミカルなタッチが多く、アクションだけではなく、ふっと笑えるシーンも満載。沢城はこの収録の際、ソーの吹替えを担当する三宅健太に挨拶をした際のことを振り返る。「三宅さんも『今回はとにかく、もっと面白くやってくれという演出しか入らなかった』と言われたそうで、よりコメディ寄りな感じになっています」。


 沢城が演じるヴァルキリーは、大酒飲みの女戦士という役柄。賞金稼ぎとしてソーを捕縛し、宇宙の辺境・惑星サカールを統治する独裁者グランドマスター(ジェフ・ゴールドブラム)に売り渡してしまうが、ヴァルキリー自身もソーの一族に密接した関係を持っている。そんなヴァルキリーに対しては「酒浸りで現実逃避しているところからスタートするキャラクターなので、鋼の戦士ではありません。だからパワーはあるけど、心は強くはないんです」と語る。 元々『マイティ・ソー』シリーズが大好きだったという沢城。「ソーってすごく憎めないというか、心のパワーが強い人なんです。
ロキとは本当に対照的」と主人公の性格を分析する。「二人の関係性が面白い。個々の魅力が掛け算になると言うか、切り離せない魅力がある関係だと捉えています」。

 かつて『恐竜戦隊ジュウレンジャー』で敵役の魔女を演じていた曽我町子に衝撃を受け、演技の道を志したという沢城は、かつてアニメ『Go!プリンセスプリキュア』で担当した悪の王女ブラックプリンセスと、その洗脳から解放され覚醒したキュアスカーレット役をはじめ、これまで複雑な設定の役をこなすことも多かったことからか、悪役に興味があり、本作の一押しキャラクターもロキだという。「正義の人たちは、悪の人がいるから成り立っているんだと、ずっと思っていたんです。だから悪役の方に何となく惹かれるんですよね、子供のときから」。


 そういう意味では今回登場する最強のヴィラン・ヘラにも魅力を感じているそうだ。「例えばちゃんと彼女のそばに寄り添ってみたら、その言い分も理解できる可能性はあります。彼女の立場、状況を考えると、当然の成り行きだったかも、と共感してあげられたかも」とその内面に想像を膨らませる。ストレートに勧善懲悪をさけぶヒーローとは違ったユニークな設定も魅力のひとつ。それぞれのキャラクターの生い立ちや立場に自分なりの思いをめぐらせるのも、本作を楽しむポイントといえるだろう。(取材・文・写真:桂伸也)

 映画『マイティ・ソー バトルロイヤル』は全国公開中。