ハロー!プロジェクトのアイドルグループ・アンジュルムが、9日、東京・日本武道館で『アンジュルム コンサート2020 ~起承転結~ 船木結卒業スペシャル』を開催。メンバーの船木結がグループ及びハロー!プロジェクトから卒業した。

新型コロナウイルスの感染対策を徹底した会場には6500人の観客が集まり、ファンの前で船木は「色んなものに染まり新しい自分を見つけていきたい」と自身の未来を誓った。

【写真】アンジュルム・船木結 卒業公演の様子

 2013年9月にハロプロ研修生としてアイドルの活動をスタートさせた船木は、2019年12月26日に活動休止したカントリー・ガールズのメンバーと兼任する形で、2017年6月26日に現サブリーダー・川村文乃と共にアンジュルムへ加入。2019年10月に卒業を発表し、今年6月に卒業公演を予定していたがコロナ禍の影響で延期となっていたが、この日ついに卒業公演を迎えた。

 三方のサブステージへ向けて花道が伸びるセンターステージを中心に、客席を360度見渡すかのような形で行われたこの日の公演。

 オープニングSEが流れると共に会場にはサイリウムの光が灯った。そして、徐々に場内が暗くなると共にセンターステージへ集結したリーダーの竹内朱莉や船木ら8名のメンバーたちによる「I 無双 Strong!」の力強いパフォーマンスにより、ステージは幕を開けた。

 情熱的なナンバーの「赤いイヤホン」や「ミラー・ミラー」のパフォーマンスでは、着席したままの客席から曲中に何度も拍手が響き、定番曲の一つ「次々続々」では、メンバーの振り付けに合わせてサイリウムの光が揺れ動き、客席の勢いがさらに増した。

 センターステージに並んだメンバーのMCでは、竹内から意気込みを聞かれた船木が「一生来ないと思っていた今日が来た」と卒業が延期していたことを自虐的につぶやき、さらに、「今まで卒業されていった先輩方は『ステージのみんなが主役』とおっしゃっていましたが、さすがに今日は私が主役ということで」と笑いを誘っていた。

 そして、竹内の呼び込みにより11月に加入したばかりの新メンバー、川名凛、為永幸音、松本わかなの3人がファンの前でお披露目された。

 自己紹介のあと、サポートのためにと残った川村と伊勢をバックダンサーに据えた3人は、アンジュルムのメンバーとして初めて、前身のスマイレージ時代から歌い継がれているバラード「学級委員長」を披露。

 その後、川村と伊勢以外の6名が新メンバーと入れ替わるようにふたたびステージへと戻り「全然起き上がれない?」「忘れてあげる」「ミステリーナイト!」「私の心」と、しっとりとしたメロディのナンバーを続けて歌い上げた。

 幕間の映像が流れ、そこから展開したのは船木と各メンバーによる16分間に及ぶメドレーのコーナー。
竹内や佐々木莉佳子、上國料萌衣らメンバーとの一対一の組み合わせに加えて、新メンバー3人と共に「チョトマテクダサイ!」や「寒いね。」など、船木自身が「思い入れのあるもの選曲した」と語った8曲を次々と披露した。

 わずかなトークを挟み、船木がアンジュルムのメンバーとして初めて参加したシングルの収録曲「君だけじゃないさ...friends」に続いた「キソクタダシクウツクシク」では激しく。次の「私を創るのは私」で、メンバーたちのパフォーマンスはさらに力強さを増していった。

 ライブも後半戦となり、配信を除くシングルとして船木の最後の参加曲となった「限りあるMoment」では、客席を鼓舞するかのようなパフォーマンスをみせ、「マナーモード」や「泣けないぜ・・・共感詐欺」、「タデ食う虫もLike it!」「大器晩成」と力強い楽曲を歌い上げた。

 そして、本編の最後となった人生の節目を思わせるバラードで、卒業公演を象徴する「交差点」で船木をはじめ、涙を浮かべるメンバーたち。曲の終盤では「ありがとう」のフレーズと共に竹内が声を詰まらせ、グループはいったんステージを後にした。 やがて、ハロプロ研修生在籍当時から現在までの船木をたどる映像が終わり、彼女のメンバーカラーであるライトグリーン一色に染まった会場はアンコールへ。お気に入りの色からえらんだ茶色のドレスを来た船木は、ソロで「帰りたくないな。」を歌い上げた。

 その後、背後からメンバーたちが見守るセンターステージ上で船木は、卒業への思いを込めた手紙を読み始めた。

 これまでも幾度かメンバーの卒業を見送ってきた船木だが、自分の順番になり「その昨日の寝る前は何を思ったのだろう。明日の朝は何を思うのだろう」と疑問に思っていたと吐露した船木。「小さい頃からアイドルになりたかった私。
お花屋さんやケーキ屋さんを夢見た時期もあったけれど、右に手はマイクを握りしめキューティーに踊っていた4歳の頃の私はすでに、アイドルの片鱗を覗かせていたのかもしれません」と、みずからのルーツについてつぶやいた。

 しかし、アンジュルムでの思い出を語るうちに目には涙が浮かび始め「お仕事終わりに二列になって帰る後ろ姿や、電車のホームで『帰りたくないな。』を口ずさむ私を軽くあしらいながら必死にブログを書いているみなの表情、でも、その決り文句がないとちょっと寂しそうなところ、日常の中にあまりにも思い出が溢れすぎています」と回想。

「グループだから好きや嫌いで表せられるような単純なものではないけれど、その全ての思い出が大好きでアンジュルムに出会えて良かったと心から思います。アンジュルムが大好きです!!」と伝えると、「そんな魅力的なメンバーにたくさんの影響を受けて今の自分があるからこそ、今後も色んなものに染まり新しい自分を見つけていきたいと思います」と、卒業から先の未来へと誓った。

 しんみりとした空気を一変させるかのように、ライブの定番曲である「46億年LOVE」を新メンバー3人を含めた最初で最後の11人体制で披露したあと、メンバーはそれぞれライブの感想を述べた。

 船木と同期の川村は「アンジュルムでは船ちゃんがずっと横にいて。いつも隣で笑っていてくれてありがとう。ずっとずっと大好きだから、好きでいてくれたらうれしいです」と声を詰まらせながら語り、それに続いた船木は「卒業していく方々って泣かないじゃないですか。その魔法が私にもかかるかと思ったらまったくかからなかったんです」と涙を流したライブを振り返りながら「アンジュルムが大好きで、それ以外の言葉が見当たらないけど大好きだから大好きです。本当に本当に、すべての方に感謝します」と思いを述べた。

 さらに、リーダーの竹内はしばらく涙で声を詰まらせたのちに「船ちゃん(船木)がアンジュルムへ入ったときは、周りに気を使う子だから心配することが多かった」と回想。
それでも、カントリー・ガールズとアンジュルムを兼任している中で「ライブをかけ持ちしていても弱音を吐かず、リハーサルが終わったら『行ってきます』と言っていて。本当に強い子だなと思っていました」とつぶやき、船木の門出を見送った。

 そして、この日最後の曲になった「友よ」を披露して終演。その後もしばらく鳴り止むことのなかった拍手を受けて、もう一度だけステージへ戻ってきた船木は、360度を見渡せる会場に集まった観客すべてに向けて深々とお辞儀をして、アイドルとしてのラストステージを跡にした。

 この日船木がソロで歌唱をした「帰りたくないな。」はソロカバー曲として10日より配信される。

■『アンジュルム コンサート2020 ~起承転結~ 船木結卒業スペシャル』
1:I 無双 Strong!
2:赤いイヤホン
3:ミラー・ミラー
4:次々続々
5:学級委員長
 新メンバー:川名凛/為永幸音/松本わかな
 バックダンサー:川村文乃/伊勢鈴蘭
6:全然起き上がれないSUNDAY
7:忘れてあげる
8:ミステリーナイト!
9:私の心
10メドレー
・チョトマテクダサイ!(船木・竹内)
・サンキュ! クレームブリュレの友情(船木・佐々木)
・自転車チリリン(船木・上國料)
・臥薪嘗胆(船木・笠原)
・Uraha=Lover(船木・川村)
・鏡の国のひねくれクイーン(船木・伊勢)
・オトナになるって難しい!!!(船木・橋迫)
・寒いね。(船木・川名・為永・松本)
11:君だけじゃないさ…friends
12:キソクタダシクウツクシク
13:私を創るのは私
14:限りあるMoment
15:マナーモード
16:泣けないぜ・・・共感詐欺
17:タデ食う虫もLike it!
18:大器晩成
19:交差点
アンコール
20:帰りたくないな。(船木)
21:46億年LOVE
22:友よ

編集部おすすめ