北朝鮮の地方都市で先月中旬、最高指導者の発言を誤って引用した幹部が講演中に当局に連行される事件があり、体制への忠誠を強いる思想統制が一段と強まっている実態が浮かび上がった。
会議の途中での退席は多くの場合、逮捕・拘束を意味する。
2021年6月、新型コロナウイルス対策での落ち度をとがめられ、朝鮮労働党政治局拡大会議を途中退席させられた崔相建(チェ・サンゴン)党書記兼科学教育部長もそうした運命をたどったひとりだ。
北朝鮮の内部情報筋は当時、韓国デイリーNKに対し、次のようにその“場面”について語っている。
「彼が連れ出されるとき、議場は水を打ったように静まり返っていた。あまりに残酷で、参加者たちは息もできぬほどの恐怖感に包まれた。(受け持った)部門が違うだけで、コロナに直面しているのは誰もが同じだ。それだけに、明日は我が身との思いに襲われ、張成沢(チャン・ソンテク)のときよりも恐ろしかった。そのせいで、しばらくは誰もこの出来事について語れなかった」
ここで言われている張成沢とは、2013年に処刑された金正恩総書記の叔父である。党行政部長として絶大な権力を誇っていたが、増長していると見なされ、国家転覆陰謀罪に問われた。
このとき、張成沢氏を逮捕し、死刑を執行したのは秘密警察である国家安全保衛部(現・国家保衛省)だった。そして今回、「議場の警備を担う社会安全省特別保安局の警護員たちが崔相建を連れ出し、引き渡した相手も、国家保衛省の要員たちだった」(情報筋)という。
北朝鮮の権力中枢はまさに、「一寸先は闇」である。








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