以前、テレビで、宮川大輔、ほっしゃん。などの芸人さんが「臭玉(くさだま)」の話をしていた(『本番で~す!』など)。


これまでにも別の芸人さんが同様の話をしていたことがあって、気になっていたのだが、「臭玉」とは、のどの奥から出る「臭い固形物」のことらしい。
当然、正式名称ではないはずだが、「臭玉」が出る前の段階として、「口が臭い」だの、「咳き込む」だのと話していた。

いったいどんなものなのか。タンのかたまりのようなもの? タバコの吸いすぎのせいとか? 
だとしたら、タンではなく「固形物」になって出るというのは、よほど悪い状態だったりしないだろうか。これ、誰にでも出せるものなのか(出したくないけど)。
耳鼻咽喉科の「慶友銀座クリニック」の大場俊彦院長に聞いた。


「鼻水がのどのほうに流れて、奥にからまっている場合があります。『臭玉』というのはおそらく、のどの奥のほうにある、粘張性の高い鼻水のかたまりだと思います。それが、咳き込んで出てくることもあるようです」
そもそもタンは気管支でつくられた粘液で、気管支のはがれた上皮物や、血管からのいらなくなった露出物でできているのだとか。
「病気になると、たくさんの粘液が出て、白血球などが炎症を起こし、色が変わってくるんですよ」

風邪をひいた後、蓄膿症(ちくのうしょう)がひどい場合など、こうした感染性の粘液のかたまりが出てくることはよくあるのだそうで、基本的には、とれると楽になるという。
ただし、注意したほうが良いのは、「臭玉」がしばらく続けて出る場合だそうだ。
「風邪などが原因でない場合もありますので、受診し、レントゲンをとるなどしてみたほうが良いかもしれません」

ちなみに、「臭玉」や「タン」は一般的に、細菌性の感染で色やニオイがついているため、その色によって症状の重さがわかるのだそうだ。

「タンは基本的には白色で、この場合は青信号です。でも、黄色や黄緑色の場合は『黄色信号』。これは、白血球がまじった細菌感染による、膿と同じ状態です」
さらに、血がまじることもあるそうで、それはやはり「赤信号」だ。
「血がまじる場合、ほとんどは、気道の周りの毛細血管が切れ、出血をおこすというものですが、1~2割ほど結核の可能性があるので、要注意です」

「臭玉」が続けて出る人、血がまじる人は、他の病気の可能性もあるので、やはり一度受診したほうが良さそう。

愉快な響きの「臭玉」だけど、体の状態を知らせてくれる大切なサインのようです。
(田幸和歌子)