真夏に暑苦しい話題で恐縮だが、手編みの帽子やマフラーって好きですか? 私はけっこう好きです。母親が編み物にハマっていた時期があって、子どもの頃にはいろいろ作ってもらったものだった。
「こんな色がいい」とか「形はこんなの」とリクエストしたりして、かなり大人になるまで愛用していたアイテムもあったなぁ~。

と、そんな遠い日の記憶を思い出してしまうこんなサイトを見つけた。なんと! フランスのマミー(おばあちゃん)にニット帽やマフラーを編んでもらえるというネットショップである。この「Golden HOOK」のサイト上で好みの商品モデルや色、サイズなどをあれこれシミュレーション後、この人に作ってほしい! というおばあちゃんを写真とプロフィールから選ぶというシステムになっていて驚きである。

商品が届いた後、編んでくれたおばあちゃんにメールでお礼を言うことができるようになっており、なんともハートウォーミングなサービスではないですか!

パリでこのサイトを運営しているジェレミー・エムセレムさん(弱冠、25歳のイケメンである)にお話を伺ってみたところ、サイトのアイデアを思い付いたのは2007年頃で、実際にスタートしたのは2008年の11月という。もともと、ジェレミー本人が編み物好きで、友人や親戚のあいだでも「私にも作って!」と大人気だったのだとか。
そんなジェレミーがある日、老人ホームで暮らす伯母さんを訪ねていったところ、多くのおばあちゃん達が暇そうにしているのに気づく。そこで、空き時間を利用して編み物をしてもらってはどうだろう? とひらめいたのだそうだ。

おばあちゃん達のプロフィールを見てみると、優しそうだったり、威厳があったりするマダムたちがずらり。飼っている犬の名前や、「ラグビーの試合を観ながら編み物するのが好き」などの情報もあるので、親近感がわきますね~。皆さん数千人の応募の中から選び抜かれたエキスパートで、使用する毛糸もアンゴラヤギのモヘアなど最高級のものにこだわっているため、品質にも自信ありとのこと。

フランス人の若者はやはり、自分のマミーに近い雰囲気の人を選ぶのだろうか……。
ちなみに、Golden HOOKがテレビや雑誌のファッションニュースといったメディアで取り上げられる場合、おばあちゃんがインタビューを受けることが多いのだが、その際にはシモーヌさんとダニエルさんが登場することが多いそうだ(プロフィール参照)。

ジェレミーはGolden HOOKが世代間の架け橋になれば……と願っているそう。年金生活を送っているおばあちゃん達のおこづかいが少しでも増えたり、励みになるならステキですよねー。孫世代の若者にとっても、同じ買うなら機械で編まれた既製品より、自分のためだけに編まれた1点ものというのは魅力的なのかも。

さらに驚いたことに、将来的には外国の顧客に向けての事業拡大も考えているそうでビックリ!! すでにロンドンやニューヨークで新たなおばあちゃん探しをしており、“おばあちゃんGoogleマップ”を作りたいと構想中とのこと。おばあちゃんの素朴であたたかなローテクと、インターネットというハイテクが可能にしたこの新しいビジネスモデル。日本でもそのうち、日本人の編み物上手なおばあちゃんにお手製ニットをオーダーできる日が来るのかもしれませんね!?
(まめこ)
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