筆者はてっきり、落語家の桂米朝氏が、所属事務所と対談したニュースだと思っていたため、「米朝師匠、事務所ともめているんだろうか」などと思いながらクリックしてみたところ、金正恩新体制になった北朝鮮が、アメリカと核問題をめぐる協議を行う、という内容のニュースだったので、そのギャップに驚いた。
同様の勘違いをした人は意外と多く、「米朝師匠が新しい落語団体かなにかを作るのかと思った」「米朝師匠が上方落語協会ともめているのかと思った」といった報告が、ツイッターなどでなされていた。
限られた文字数で内容を表現するニュースの見出しにおいては、このように、「見方によってはややこしい」場合がある。他にも例を紹介してみたい。
「千葉大『ジーコジャパン論ぜよ』で出題ミス、全員満点」。2004年に読売新聞で掲載された記事の見出しで、千葉大学の入学試験問題において、出題内容にミスがあったというもの。そのニュースの内容はさておき、「ジーコジャパン論ぜよ」の部分を、思わず土佐弁風に「『ジーコジャパン論』ぜよ!」といった風に読んでしまう人は意外と多いのではないだろうか(正しくは、「『ジーコジャパン』論ぜよ」と思われる)。このニュースが発表されたのは2004年なのだが、「龍馬伝」の放映がはじまった2010年以降であればさらにインパクトも大きかったものと思われる。
2011年に中日新聞に掲載された「武豊にメガソーラー 中電の“大型新人”」はどうだろう。競馬ファンであれば、「お、武豊がメガソーラーっていう新馬に乗るのか!」と興奮した人も、もしかしたらいるかもしれない。実際は、武豊は「たけゆたか」ではなく「たけとよ」であり、中部電力が、愛知県武豊町にある大規模太陽光発電所「メガソーラーたけとよ」を建設中である、というニュースだった。ちなみに、この「メガソーラーたけとよ」は昨年10月末に営業を開始し、一般家庭約2000世帯分の年間使用電力に相当する電力を発電しているらしい。
見出しではないところにも思わぬ落とし穴があることもある。
見出しはニュースの命であり、筆者も毎回、コネタ記事につける見出しをどうするかで毎日悩んでいる(そして毎回イマイチな見出しになってしまう)のだが、今回紹介したような、思いがけないややこしさを生み出す見出しというのは、それはそれで一度ぜひ考えてみたいと思っている。
(エクソシスト太郎)