だからだろうか。卵を目にすると胸に来るのだ。不思議な“おトク感”が。そして、ゴージャス感が。私は王様になった気分だ。
ところで、この画像をご覧いただきたい。もはや、ゴージャス感どころの騒ぎじゃないから。ここまで来ると、世界中が自分の物になったような気さえしてくる。これは、アーティスト・えぐちりか氏が製作、発表した「『バーンブルックのたまご』テーブルウエアシリーズ」です。本物の卵ではないのです。
本物ではないのだけれど、リアルなオーラはプンプンしてくる。
でも、吸っちゃだめ。これは、お皿だったり、花瓶だったり、オブジェだったり、ブックスタンドだったりするんです。何度も言うけど、テーブルウエアシリーズです。卵は、ガラスでできている。
では、1つ1つを説明していきます。まず、「EGG DISH」について。これは、“食べ終わっても食べ残しのある不思議なお皿”。こんなお皿にどんな食材を盛り付けるかが、悩みどころであり楽しみどころでもあるだろう。
「EGG BOWL」は、底に既に黄身が沈んでいるボウル。ここに本物の卵を割ってかき混ぜるのがオシャレだ。
そして、何だ、これは。その名も、「EGG BOOK STAND」。不安定で非力な卵が本の倒れを食い止めている姿は、今までにない頼もしさ。卵パワーだな?
そして、見てるだけで幸せになる「EGG FLAT」と「EGG TARERU」は、卵のオブジェ。FLATの方はその名の通りの平らな卵が横たわる形となり、TARERUの方はその名の通りたれている。このトロットロな様子を見てるだけで、エクスタシーを感じてしまいそうだ。
ちなみにこのテーブルウエアシリーズの大前提には、ある物語があるという。タイトルは、『バーンブルックのたまご』。
同作のあらすじが、どうにも『世にも奇妙な物語』をほうふつとさせた。
うちで飼っているアヒルのバーンブルックは、毎朝1つ卵を産む。今朝、いつものように卵を取りに行くと、バーンブルックは4つの卵を産んでいた。
パーティーの準備をしてから料理を作ろうと卵を割ると、2つ目の卵の中にヒナの足が入っているのを発見! 私は心臓が飛び出るくらいに驚いた。卵が大好きで毎朝食べている。そんな好物の卵がバーンブルックの子供だなんて、考えたことがなかった。
気がつくとパーティーの準備をしていたテーブルの上には、さっき割った卵か、今までに食べてきた卵なのか、無数の卵がそれぞれの意志を持って動き出していた。
このストーリーからデザインからテーブルウエアシリーズから、製作に至る全てを手掛けているのは、えぐちりか氏。でも、何でそこまで卵にこだわってるんだろう?
「『目玉焼きの形自体がお皿になっていたら面白いんじゃないか?』と思い付き、作りました」(えぐち氏)
ふとした思い付きか? しかし、ストーリーからデザインからテーブルウエアシリーズから、全て彼女がでガラス工芸を専攻していた大学3年の頃の作品らしいから、こっちはグウの音も出ない。凄いよ! 普通じゃない。(褒め言葉)
そんな「『バーンブルックのたまご』テーブルウエアシリーズ」は、オンラインショップの「密買東京」にて販売されている。価格は10,290~14,175円(税込み)。
「『EGG TARERU』が、最も人気があります。恐らく、“しずる感”が一番あるからかもしれません」(同店・担当者)
わかる。
(寺西ジャジューカ)