パリ中心部セーヌ川すぐ横の一等地シャトレ地区に、パリ初をうたったギーク(オタク)バーが開店した。店名は「ル・デルニエ・バー・アヴァン・ラ・フィン・ドゥ・モンド(世界が終わる前の最後のバー)」。
主にSFを扱い400平方メートルの店内は作家ジューヌ・ヴェルヌの作品や『スタートレック』に登場する宇宙船内をイメージして内装が施されている。

このバー、何といっても交通の便がとても良い。パリ地下鉄の多くの線が集まる乗換駅シャトレから徒歩すぐの場所にあり、オペラやバレエなどを上演する劇場シャトレ座のすぐ横に位置している。店内は平日にも関わらず多くの人で賑わっていた。

店内に入るとすぐ、ショーケースに飾られた多くのフィギアが出迎えてくれる。海外のキャラクターが中心だが、『クロノトリガー』など日本のものもある。店は1階と地階に分かれていて、各々好きな作品について語り合うなど、どちらの階も客の熱気は半端ない。店内では種々のカードゲームを無料で借りて遊べるため、ゲームに興じていている人も多かった。

メニューにもこだわりが感じられる。大部分は各SF作品に登場する事柄から名付けられている。例えばカクテルでは英SF作家ダグラス・アダムのラジオドラマ『銀河ヒッチハイク・ガイド』に登場し、生命、宇宙、万物に対する究極の答えであるとされた数字「42」や、英SFテレビドラマ『Bad Wolf』をイメージして作られたものもある。日本語や日本アニメから採られた名前もあり「Kawaii」や「Bankaii」といったカクテルや、食事メニューでは、「Ponyu(ぽにょ)」と名付けられた鮭丼や、おにぎりも載っていた。
「Kill Bill」という牛丼もある。

バーといっても午前10時から深夜まで一日中営業しており、気軽に入れることも特徴。同バーがあるシャトレ地区からセーヌ川を渡った左岸には、漫画・アニメ・ゲーム関連のショップや漫画喫茶が建ち並ぶサン・サンミッシェル地区もあり、パリのギーク・シーンを体感したい人は、これら地区をハシゴしてみるのも面白い。日本のイメージとは異なったパリを知れるはずだ。
(加藤亨延)
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