ガイドブックというと写真ものが当然多いけれど、イラストで描かれたものも味があって面白いものが多い。特に女性は好きな方も多いのでは!? そんな方にもおすすめの本が発売された。
パリ在住のアーティスト、イザベル・ボワノさんのイラストによる『パリジェンヌのお散歩パリ案内』ジュウ・ドゥ・ポゥム発行)
日本が大好きなフランス人イラストレーターによる、ガイドブックがユニーク!

本書では、パリジェンヌであり、アーティストであるイザベルさんならではの感性で選ばれた51カ所のスポットがイラストで紹介されているのだが、スポットだけでなく、そこにいる(いそうな)人々まで細かく描かれていて、味わい深く楽しめる。独特なタッチが何より魅力的だし、紹介されているスポットも気になるところばかり。本書を見ていたら、無性にパリに行きたくなってきてしまった! 編集を手がけた田島香子さんに本書についていろいろ聞いてみることに。

――本書で取り上げているスポットは、イザベルさんとどんなふうに決めていったんですか?
最初は何もとらわれずに、たくさん候補を出していってもらい、そこに「このお店は入れたい」「このエリアの紹介スポット少なくない?」と、やりとりをしながら決めていった感じです。「右岸が多くないかな?」と投げかけると、イザベルさんから、「左岸もお茶をしたり買い物したり楽しいけれど、自分にとって“モダンなパリの中心”といえるのは右岸で、クリエイティヴな人も多いエリア。いまのパリを語るには大切」というお返事をもらい、このようなセレクションになりました。場所のアイデアを出し合いながら、1ページにおさめたり、2ページにまたがるようにしたり、メリハリをつけてみせています。

たしかに2ページにまたがって紹介されているポンピドゥセンターなどは、ダイナミックなこの建物ならではの魅力が活きている。ところで、このポンピドゥセンターを眺めている観光客のイラストにはフキダシがあり、「みてこれ!」という平仮名の文字が。
日本が大好きなフランス人イラストレーターによる、ガイドブックがユニーク!

――「みてこれ!」と書いたのもイザベルさんですか?
そうです。イザベルさんは日本が大好きで、何回も来日していますし、日本語の勉強をしていて、ブログも日本語でトライしているんですよ。

ということで、さっそくイザベルさんのブログをのぞいてみたら……まさに! ブログタイトルの自分の名前は手描きだし、その他、写真のキャプなどもすべて日本語! ぐっと親近感がわいてくる。


――そういえば、本書には日本が好きというイザベルさんの影響が他にもみられますね?
そうですね。たとえば「ラ・メゾン・ドゥラ・キュルチュール・デュ・ジャポン」という日本の文化センターを紹介していたり、「アキ・ブーランジェ」というパン屋さんでは日本を思い出す味が楽しめるということで、おすすめしてくれました。
日本が大好きなフランス人イラストレーターによる、ガイドブックがユニーク!

日本が大好きなフランス人イラストレーターによる、ガイドブックがユニーク!

ちなみに、この日本の文化センターの真ん中に描かれているのは、あの麿赤兒さん! 彼の率いる舞踏集団「大駱駝艦」がこのセンターで公演したことがあるからだという。

――他に、イザベルさんらしいなと思ったエピソードはありますか?
やはりアーティストなので、お気に入りのギャラリーや本屋さんが選ばれているところでしょうか。『SUMIMASEN』や『PREGO』など、ご自分でZINE(ジン)を発行されていることもあって、インディペンデントな本屋さんのアドレスが取り入れられていて、そういった情報も面白いと思います。あと、ずばり「エッフェル塔」ではなく、ケ・ブランリー美術館の背景として登場しているところもユニークですね。民族アートたちと一緒に描いているのも彼女らしいなと思います。
日本が大好きなフランス人イラストレーターによる、ガイドブックがユニーク!

右側に描かれている、杖を持った紳士のイラストがまたなんともユニーク!

――本書は、すべてトリコロールカラーで表現されているのもステキですね。
イザベルさんに線画のデータをいただいて、デザインチームのほうで色をつけることになったので、色合いはフランスらしいトリコロールにしたいなと、イメージに浮かんでいました。きれいな発色と組み合わせになってよかったなと思います。

――あと、この本はびっくりするくらい軽いのですが、あえてですか?
そうなんです! あえて軽い紙にしました。弊社の既刊『北欧雑貨めぐりヘルシンキガイド』もそうですが、持ち歩いてほしいなという本は軽い紙にしています。
今回は判型もハンディーで、さらに軽やかな仕上がりになったと思います。

これなら持ち歩くのもまったく苦にならない。現地を訪れながら、ぜひイラストと比べて歩いてみたい! フランス語と日本語のバイリンガル表記なので、フランス語を勉強している人にもおすすめ。巻末の「パリジェンヌたちとパリジャンたち」のページも、イザベルさんの観察力がやはり面白い。最後まで見どころたっぷりです。
日本が大好きなフランス人イラストレーターによる、ガイドブックがユニーク!

ところで、本書の発売を記念した展示会『パリジェンヌのお散歩パリ案内』展が6月24日から開催されるとのこと。イザベルさんがこの本のために描き下ろしたイラストの展示販売や、手作りのバッグやガーランドなどを展示予定だという。パリに行きたいけどなかなか行けない……という方々は、イザベルさんの展示会でパリの風を感じるのもいいかも!
(田辺 香)

『パリジェンヌのお散歩パリ案内』展
会場:ギャラリー・ドゥー・ディマンシュ 青山店
期間:2014年6月24日(火)~7月6日(日)
営業時間:12:00~19:30
定休日:毎週月曜
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