
訪れたのは3月末だったが、まだ雪が多く、雪の白に明るいオレンジ色がよく映えていた。どこか幻想的な雰囲気で、なんだか異国にいるような気分に。

【なぜ、オレンジの建物ばかりなのか?】
西興部村は、1999年に「美しい村づくり条例」を制定。村のシンボルカラーであるオレンジ色に色彩統一した公共建築物整備などを進めてきた。そのため、役場や学校などの公共施設は基本的に、壁はオレンジ色・屋根は緑色に統一されている。さすがに一般の住宅まではすべてオレンジ色になってはいないが、建物の屋根や外壁を村のおすすめの色にした場合、経費の一部が補助される支援制度もあるそうだ。
おすすめの色は場所や対象物によって違い、たとえば市街地にある公共施設の外壁なら、“オレンジを基調にしながらも素材との調和をはかり、なるべく低彩度の色調のもの”。市街地の表通りの外壁なら“にぎわい感があり、雪の中でも判別できる温かみのある色彩”がおすすめだそう。
色だけでなく、施設の名前にも統一感がある。村内には「夢」を冠した施設が4つもあり、その1つが、森の美術館「木夢(こむ)」。木工作家であった故・伊藤英二前館長が製作した作品や監修した大型遊具などを備えた全天候型の屋内木の遊園地で、子供から大人まで楽しめるスポット。


今回宿泊したのは「木夢」に隣接するホテルで、その名も「森夢(りむ)」。

このほか、「花夢(かむ)」という名前の道の駅では、大型からくりオルガン「音木林(おとぎばやし)」が見もの。4月下旬になれば6ヘクタールもの広さがあるフラワーパークもオープンし、400種の花が迎えてくれる。さらにマルチメディア館 「IT夢(アトム)」もあり、ITへの取り組みにも積極的。人口約1100人の村だが、光ファイバーが全世帯にいきわたっている。
村の面積の89%が森林という自然豊かな土地なので、これからの季節なら美しい滝や森林公園を楽しむのもおすすめ。珍しいところでは、エゾジカの群れに出会える鹿牧場もある。
西興部村まではオホーツク紋別空港から車で約1時間。羽田空港からオホーツク紋別空港は直行便で1時間45分。実は首都圏からも意外にアクセスがよいのだが、かなり“遠くに来た”感が味わえる。村として「小さいけれど大きなもてなしのむらづくり」を基本目標に掲げているだけに、訪れた人を温かくもてなしてくれるのも嬉しい。ぜひ一度訪れてみては?
(古屋江美子)