写真の投稿やスタイリスト自ら解説を行ったブログ記事など、サロンスタッフ個人のスタイルをより詳細に発信できるようになったことで、消費者にとってもサロン選びの際の指標が増えたはずだ。
【Instagramの影響力は】
たとえば芸能人、モデル御用達のヘアサロン「SHIMA」では、従来活用していたブログにくわえ、スタイリストそれぞれがInstagramを利用している。SHIMA原宿店・店長の神能さんは、とくに今年に入ってからInstagramの影響力を感じているという。
「ここ3カ月ほどで飛躍的にインスタの影響力が増したことを感じています。インスタを見て、20代前半のお客さんが多くいらっしゃるようになった。またサロンのウェブサイトに掲載されていないジュニア・スタイリストも、インスタから直接にファンがつき、指名を得ることも多いです。そういう意味では、ソーシャルメディアからスタイリストにファンがつくという現象が起きていると思いますね」(神能さん)
【スタイリスト各人がメディアを持つ時代】
実際にInstagramで多くの指名を得ているというジュニア・スタイリストの遠藤さんは、1日1枚自分が担当したスタイルの写真を解説つきでInstagramに投稿することが日課となっている。

「自分の作品の写真、カット、カラーした写真をインスタにアップして解説をつけています。とくにお客様のBeforeとAfterの写真を載せることで、変化を分かりやすくしています。これを見て、お客様自身が『今日はありがとうございました! 気に入りました!』とコメントをくださるんです。そうすると、そのコメントの満足感を見た他のお客様も信頼してくださるので、安心して来店できるだと思いますね」(遠藤さん)
このようにInstagramを見て来店するお客さんが増えているというが、その背景のひとつとして、コメント欄から直接来店予約を入れることが可能だという事情がある。店舗に電話をせずとも、希望するスタイリストと日程調整ができるのだ。
「これまでの電話予約よりも、個々人のスタッフが個人で時間管理をして、スケジュールを入れることができるので、インスタのコメント欄はとても便利です」(遠藤さん)
また、電話予約ではなかなか対応しづらかったこともInstagramの導入でカバーできるようになったという。

「電話では緊張して聞きづらかったカラーに関する疑問などが、コメント欄なら相談しやすくなったようです。コメント欄なら『このスタイルは私の髪の毛でもできますか?』といった質問にもわかりやすく解説してあげられるので、安心して予約してくださるようになりました」(遠藤さん)
スタッフのタスク管理がしやすくなっただけでなく、スタイリストと直接にコミュニケーションができることによって、お客さん側にもメリットが増えたのだ。
【店舗ごとにクオリティ管理を徹底】
個々のスタイリストがそれぞれのスタイルを発信し、顧客とコミュニケーションを取ることができるソーシャルメディアの影響力は大きい。ただ、それぞれのアクターが企業を背負って発信するという意味では、繊細な問題もはらんでいる。
「SNSやインスタについて詳細なルールがあるわけではないです。ただしSHIMAのスタッフ、社員として更新しているのであまりにもプライベートなことはダメだったり、食事に行ったお店をチェックすることはあります。クオリティは、店長が管理をしています。またソーシャルメディアを使って店員からモデルさんに声をかけたり、DMを送ることは禁止しています。インスタでも店側から勧誘することは全面禁止です」(神能さん)

【今後のソーシャルメディア活用可能性】
さて、現在Twitter、ブログ、Instagramなど、複数のソーシャルメディアを利用しているSHIMA。とくに今年に入ってからInstagramの影響力の大きさを感じているというが、今後はどういったサービスを活用していく予定なのか。
「ホットペッパーでウェブ予約ができるのですが、そこにインスタを載せるという試みをしています。インスタ自体の影響力は本当にここ3カ月ほどで実感するようになりました。なので、まだまだインスタを使いこなせていないと思いますし、別の何かに飛びつくのではなくて、インスタの可能性を試行錯誤していく時期だと思っています」(神能さん)

スタイリストそれぞれの作品であるヘアスタイル写真を投稿できるInstagramは、ヘアサロンという業態と非常にマッチングが良い。
(ケノービ)