今にわかに精進料理が注目を集めています。2013年にユネスコの無形文化遺産に登録されたことも手伝い世界的に注目を集める和食ですが、世界的なベジタリアン・フードブームも追い風となりミシュランで2つ星を獲得する店があったり、六本木の真ん中に新しいお店が登場するなど、精進料理の人気は増すばかりです。
今なぜ精進料理が注目されているのでしょうか?そもそも精進料理とはどういったものなのでしょうか?
発売以来メディアからの問い合わせがひっきりなしの『おばあちゃんの精進ごはん』(momo book刊)の著者である姉妹料理ユニットであるiori 暁美と五月のお二人にお話を聞いてみました。
そもそも精進料理とはどういうものなのでしょうか?
「一言で言うと、いのちを頂かない料理です」
答えてくれたのは「おねえちゃん」と多くの人から親しまれている姉の園部暁美さん。なるほど、確かに僧侶の食事をルーツとした精進料理は肉を食べませんが、それは他のベジタリアン料理とどう違うのでしょうか?
「一番大きな違いは五葷(ごくん)を頂かないことだと思います」(暁美さん)。
五葷とはネギ、玉ねぎ、にんにく、ニラ、らっきょうの5つの食材のこと。
「五葷は人としての気を害すると言われています。実際長年食べていませんが、何かの料理に入っているのに間違えて食べてしまうと、スゴイ刺激で驚きますね」
「さつきちゃん」こと妹の中園五月さんが説明してくれます。
二人が精進料理と出会ったのは今から18年ほど前。五月さんが近所で精進料理を実践している人から話を聞いて、暁美さんを誘ったのがきっかけとのこと。
「はじめは目新しさもあって面白いからやってみよう」(暁美さん)という気軽な気持ちで始めたものの、精進料理を実践することこそ「本来の自分の姿」という心持ちになり二人ともすぐにのめり込んでいったといいます。
「人って自覚していなくても心のどこかに殺生してはいけないんだ、っていう気持ちがあると思うんです」(暁美さん)
精進料理を実践することによってその気持に目覚めた二人は、今では茅ヶ崎で定期的に精進料理教室を行うなどの活動をしています。
当初は20代30代の女性が多かったのでベジタリアンブームの影響かと思っていたものの、本の出版後新聞やテレビで取り上げられその存在が知られると年配の方や男性からの申し込みも激増中だといいます。
「震災後に放置された家畜の映像を観たり、命について考えたりするようになって肉を食べられなくなった人も多いみたいです」(五月さん)
しかし始めた当時は、理解を示す人はほとんどいなかったと言います。変人だと思われたり、非難されたりすることさえあったといいます。それでも無理に精進料理を広めようとするつもりはなかったと二人は口を揃えます。
「無理に食べさせても意味はないと思っています。興味のない人にとって、今はその時じゃないということだと思います。(しかるべき)時が来た時に思い出せるようにしてあげられればな、と思っています」(暁美さん)
「人はもともと精進のようなものしか食べていなかったので、別に新しいものではないんです。その時が来れば懐かしいものを思い出すように受け入れられるのだと思います」(五月さん)
だからこそ精進食を続けた人から肌の調子がよくなったり痩せたりと健康面で改善するという話を聞いても、特にそうした効能を喧伝する様子もなく二人は自然体であり続けます。
小柄でいかにも「近所のおばあちゃん」然としたそんなお二人ですが、精進料理を通じて願う思いは大きく、なんと世界平和の実現。
「殺生をしない精進(料理)は食べ物自体が平和なんです。それぞれの素材がその素材らしく調理された上で調和しています。それを作ったり食べたりしていくと精神もそうなってくるんです。一人ひとりが平和だと世界も平和になるはずだと思っています」(五月さん)
iori暁美と五月のお二人は、茅ヶ崎の料理教室以外でも神奈川県を中心に各地で活動しているので、ご興味のある方は五月さんのFacebookページでチェック、お問い合わせください。
(鶴賀太郎)

今、注目の集まる精進料理。従来の高価で敷居の高い精進懐石ではなく、カジュアルな形で提供される機会が増えているのも人気上昇の理由だ。
今なぜ精進料理が注目されているのでしょうか?そもそも精進料理とはどういったものなのでしょうか?
発売以来メディアからの問い合わせがひっきりなしの『おばあちゃんの精進ごはん』(momo book刊)の著者である姉妹料理ユニットであるiori 暁美と五月のお二人にお話を聞いてみました。

iori 暁美と五月の著書『おばあちゃんの精進ごはん』。自宅でも簡単に作れるレシピが美しい写真とともに掲載されている。発売以来、次々とテレビ・新聞で紹介されている人気の精進料理本だ。
そもそも精進料理とはどういうものなのでしょうか?
「一言で言うと、いのちを頂かない料理です」
答えてくれたのは「おねえちゃん」と多くの人から親しまれている姉の園部暁美さん。なるほど、確かに僧侶の食事をルーツとした精進料理は肉を食べませんが、それは他のベジタリアン料理とどう違うのでしょうか?
「一番大きな違いは五葷(ごくん)を頂かないことだと思います」(暁美さん)。
五葷とはネギ、玉ねぎ、にんにく、ニラ、らっきょうの5つの食材のこと。
「五葷は人としての気を害すると言われています。実際長年食べていませんが、何かの料理に入っているのに間違えて食べてしまうと、スゴイ刺激で驚きますね」
「さつきちゃん」こと妹の中園五月さんが説明してくれます。
二人が精進料理と出会ったのは今から18年ほど前。五月さんが近所で精進料理を実践している人から話を聞いて、暁美さんを誘ったのがきっかけとのこと。

暁美さん、五月さんツーショット。姉妹料理ユニット、iori 暁美と五月のお二人。普段は茅ヶ崎にあるグリーン・コミュニティー「Rivendel」の納屋キッチンを中心に活動している。
「はじめは目新しさもあって面白いからやってみよう」(暁美さん)という気軽な気持ちで始めたものの、精進料理を実践することこそ「本来の自分の姿」という心持ちになり二人ともすぐにのめり込んでいったといいます。
「人って自覚していなくても心のどこかに殺生してはいけないんだ、っていう気持ちがあると思うんです」(暁美さん)
精進料理を実践することによってその気持に目覚めた二人は、今では茅ヶ崎で定期的に精進料理教室を行うなどの活動をしています。
当初は20代30代の女性が多かったのでベジタリアンブームの影響かと思っていたものの、本の出版後新聞やテレビで取り上げられその存在が知られると年配の方や男性からの申し込みも激増中だといいます。
「震災後に放置された家畜の映像を観たり、命について考えたりするようになって肉を食べられなくなった人も多いみたいです」(五月さん)
しかし始めた当時は、理解を示す人はほとんどいなかったと言います。変人だと思われたり、非難されたりすることさえあったといいます。それでも無理に精進料理を広めようとするつもりはなかったと二人は口を揃えます。
「無理に食べさせても意味はないと思っています。興味のない人にとって、今はその時じゃないということだと思います。(しかるべき)時が来た時に思い出せるようにしてあげられればな、と思っています」(暁美さん)
「人はもともと精進のようなものしか食べていなかったので、別に新しいものではないんです。その時が来れば懐かしいものを思い出すように受け入れられるのだと思います」(五月さん)

この日のメニューは、肉じゃがならぬお麩じゃが、地野菜の素揚げ、蓮根入り精進さつま揚げ、新人参の和風ポタージュ、きゅうりの酢の物、発酵玄米、きな粉のフロマージュ。
だからこそ精進食を続けた人から肌の調子がよくなったり痩せたりと健康面で改善するという話を聞いても、特にそうした効能を喧伝する様子もなく二人は自然体であり続けます。
小柄でいかにも「近所のおばあちゃん」然としたそんなお二人ですが、精進料理を通じて願う思いは大きく、なんと世界平和の実現。
「殺生をしない精進(料理)は食べ物自体が平和なんです。それぞれの素材がその素材らしく調理された上で調和しています。それを作ったり食べたりしていくと精神もそうなってくるんです。一人ひとりが平和だと世界も平和になるはずだと思っています」(五月さん)
iori暁美と五月のお二人は、茅ヶ崎の料理教室以外でも神奈川県を中心に各地で活動しているので、ご興味のある方は五月さんのFacebookページでチェック、お問い合わせください。
(鶴賀太郎)
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