朝ドラ「まれ」(NHK 月〜土 朝8時〜)9月22日(火)放送。第26週「希空ウエディングケーキ」第152話より。
脚本:篠崎絵里子(崎の大は立) 演出: 渡辺一貴
無垢な男を演じたら大泉洋は日本一「まれ」152話
「まれメモリアルブック」NHK出版

152話は、こんな話


コンテストのケーキづくり開始。懸命に作業する希(土屋太鳳)の背後から、大悟(小日向文世)が語りかける。徹(大泉洋)を会場のトイレで見つけたこと。希が子供のときの運命のバースデーケーキは徹に頼まれて大悟が作ったこと・・・。話を聞いた希は、制限時間10分前に、新たなケーキをつくりはじめた。

今日の、大悟


「妨害ですか?」

作業中に話しかける大悟に、↑こう返す希。
試合中に相手を心理戦で揺さぶりかけるのはよくあること。
先日も、NHKの将棋番組で、対局前に棋士がカツラをとったのが作戦なのか否かという話がネットで話題になっていました。

最初、警戒していた希ですが、話の内容に、最後にはがっつり後ろを向いて話に耳を傾けてしまいます。
いやもう、ハラハラさせますね。

今日の、徹


「すべて親父からはじまっていたんだな、おまえの夢は」(大悟)

それは充分わかっているから! と思いましたが、希の運命を決定づけたケーキは大悟がつくっていたものだったことが判明し、希がケーキ職人になろうと思って大悟に弟子入りするという人生シナリオをつくったのも、結果的に徹であったという衝撃の事実。
徹は、生涯かけてでっかい夢を育んでいた。その夢とは希。希自身が、ひとりの男の夢だった、というええ話です「まれ」。しかも、それ第一話で明言していたわけで。

大悟のケーキを選んだ徹はなかなか目利き。全然駄目人間じゃありません。
ケーキを頼んで、できたケーキを喜ぶ、キラキラした大泉洋の表情を見ているだけで涙が出そう。いまや無精髭で背中もやつれた徹だけに。無垢な男を演じさせたら大泉洋はいまや日本一ではないでしょうか。
これには、「わざわざリスクを背負うことないのに、そうやって世界に問い続けるのが、シェフなのよ」「意地見せなさいよ、女だって、子供がいたって、世界一のパティシエになれるって。」(陶子)のガッツある名言も色あせるほどです。


今日の、トイレ


そんな徹は会場のトイレに隠れていました。振り返ると「まれ」ってトイレをよく出していたなあ。
152話も徹の顔を隠すために上から撮っているのだと思いますが、あんまりキレイじゃない便器のなかがしっかり映っていました。朝からわざわざ、水のたまる部分(トラップと呼ぶらしい)がやや黒ずんだトイレ! 「まれ」っておっぱいとか秘密のキノコとかトイレとか、人間が必ずもっていながら、陰にしてある部分をさりげに描き出していたのです。私はそこに感動を覚えます。
(木俣冬)

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いまひとつ視聴率が伸びないが、奮闘は讃えたい。
NHK朝ドラ「まれ」おさらい(54話までを総括))