朝ドラ「あさが来た」(NHK 月〜土 朝8時〜)11月21日(土)放送。第8週「京都、最後の贈り物」第48話より。
原案:古川智映子 脚本:大森美香 演出:西谷真一
そこは「びっくりぽん」じゃないのか!「あさが来た」48話
NHKドラマガイド「連続テレビ小説 あさが来た」Part1 NHK出版

48話は、こんな話


忠興(升毅)と久太郎改め忠嗣(興津正太郎)が東京に旅立つ前に、断髪、洋装で、あさ(波瑠)を訊ねてきた。
あさは、忠興が東京ではじめる銀行事業に興味をもちはじめ、正吉(近藤正臣)に相談すると、いまはまだその時期ではないと言われてしまう。

気になる小道具その1 ビール


9月末からはじまった「あさが来た」も8週が終了。なめらかなストーリー展開にのせられて、とっくに全体の4分の1以上が過ぎていた。
起承転結でいうと、起は済んで、承の部分がこれから盛り上がっていくところの9週に向かって、8週の最後では、“日本中が新しいことに向かって走り出した”時期、“あさの冒険がこれから”であることがナレーション(杉浦圭子)で語られる。
日本ではじめてできたビールの発砲はまるで、新しい時代に向けての冒険がはじまる夢や希望や驚きや戸惑いを表しているようだった。

あさは、父と弟の変身には「びっくりぽん」を2回も発したが、ビールのふたをポンと開けると泡が溢れてきたときにこそ「びっくりぽん」を使うタイミングではないかと思うのに、使わなかった。なぜ! そこはベタにしないという意地なのか。

気になる小道具 その2 ところてん


あさが、銀行について正吉に相談していると、よの(風吹ジュン)がところてんをもって部屋に入ってくる。主人の分ひとつだけ、だ。それを合図のように、あさは退出。
これって、京都の「ぶぶ漬けでもいかがですか?」的な意味合いなのだろうか? と勘ぐってしまった。なにしろ、ところてんは器具からにゅっと突き出してつくるものであることから、押されて先に進む意味で「ところてん式」という言葉もあるくらいだから。

ところてん式に登場人物が現れるシーンが、48話ではもう一回あった。
「散切り頭にしたらどうか」と勧められた新次郎(玉木宏)が、「散切り頭は・・・」と気が進まなそうにすると、そこへ散切り頭をいち早くより入れた五代(ディーン・フジオカ)がやって来る。

古いものが押し出されるようにして、いろいろなことが刷新されていく、そんな時代の流れの象徴が、48話の冒頭のところてんだったのではないか。そんなふうに思うと、ドラマがますます楽しくなる。

今日の気になる


47話で、あさが結婚して10年と言っていたが、48話で、白岡家の長男が亡くなって8年という台詞が。確か彼が亡くなったことで婚礼が延期になったはず(第2週)。どういうことだ? と思った熱心な視聴者も多いのではないだろうか。
48話では、あさが弟・久太郎改め忠嗣に外国に行ったらなんでも口にしないよう注意し、はつ(宮崎あおい/崎の大は立)が、息子・藍之助に落ちたもの(食べ物)を拾ったらあかんと注意するという、繰り返しを用いるなど、何かとつくりが細かいにもかかわらず、こんな単純ミスをするだろうか。何か意味があるのかも。とこれまた勘ぐってしまった。
って、こういうことをいちいち言われるのって、いやだろうなあ。
(木俣冬)

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