小室哲哉が『マツコの知らない世界』に出演した際、すかさず、華原朋美がTwitterでリアルタイムに感謝の気持ちをつづったことが話題となった。
「わたしの過去は誰よりも幸せで誰よりも最高でした」
あまりにも色々あった2人。
特に、交際末期の小室の仕打ちを乗り越えての言葉だと思うと、本当に感慨深いものがある……。

華原朋美のスキャンダルから生まれた小室作品!?


小室と華原の交際が順調とされていた97年の1月、写真週刊誌に衝撃のスクープが掲載された。華原と若手俳優の朝帰り疑惑がスッパ抜かれたのだ。

しかし、続報はなく、騒動は疑惑のまま沈静化した……かに思えた矢先の97年4月、華原の新曲が発売となる。
『Hate tell a lie(ヘイト テル ア ライ)』。
動詞が2つ続いており、英語としてはおかしいが、要は『私はウソつきが嫌いです』『ウソつきを憎め』なんて感じの意味合いのタイトルである。

歌詞の内容と歌いにくさで華原朋美を公開処刑!?


そして、歌詞はさらに意味深。
「何から何まであなたがすべて 私をどうにか輝かせるため 苦しんだり 悩んだりして 頑張ってる」
「あなた」は小室、「私」は華原。
つまり、小室を賛美する歌詞にしか思えないのだ。
「お前をトップアーティストに育て上げた俺の努力が分かってんのか…!?」
先の「疑惑」に対する小室の嘆きが透けて見えるのである。

「やなことがとても多すぎて」「きらいって言うのは簡単で」「うそつきも多すぎて」の辺りも、小室の裏切られた心境が見え隠れしている。
「Hate get pill」なんて歌詞もあるが、「pill」は避妊具?それとも薬物……?

「飲みすぎなあの子を 助けて」の「あの子」も華原にしか思えない。華原へのネガキャン的な歌詞も目を引くのだ。
そもそも、歌い出しが「Say good-bye!」なのにも、小室が華原と別れたい感情を描いてしまったように勘ぐってしまう。
メロディ的にも華原が歌いにくい感じがありあり。もはや、公開処刑の様相である。

華原朋美への酷い仕打ちとは?


続く7月発売のシングル『LOVE IS ALL MUSIC』は、普遍の愛がテーマのバラード。
「今夜不機嫌な顔で別れちゃった ごめんね そこまでは広く心をもてなかった」という歌詞が、前作の歌詞でやりすぎたことを小室が謝っているようにも捉えられる。小室がお気に入りに挙げることも多い名曲だ。
関係が修復したかに思えた9月、『たのしく たのしく やさしくね』がリリースとなるが、これが歌いにくいことこの上なし。曲の構成が複雑すぎるため、華原のアップアップした感じが伝わって来る非常に難易度の高い仕上がりなのだ。

これは、小室の底意地の悪さなのか、J-POPの未来のための壮大なる実験なのだろうか……?

この後、アルバムからのシングルカットが続き、98年6月に9ヶ月ぶりの新曲『tumblin' dice』が登場となる。
しかし、これまた華原の持ち味を消してしまう、音程が取り辛い楽曲。CDなのに不安定すぎる歌唱には、小室があえて最初の方のテイクを使用したからだという逸話もある。一応、変なクセが付いていない素直な歌を使いたかったというエクスキューズが付くようだが、華原の商品価値を暴落させてしまったのは明らかだった。

もっとも、この曲は小室が華原のために始めたレーベル「ORUMOK RECORDS」からワーナーへの移籍第1弾。関係が冷え切っていたのは明白である。


2人の破局は『Hate tell a lie』リリース時期?


2人は98年12月に正式破局と報道されているが、実のところ、『Hate tell a lie』の時点で、すでに関係は修復不可能であり、それ以降はビジネス上のカップルだったという話もある。

実際、『たのしく たのしく やさしくね』のころは、華原にとって「悲しかった時期」であり、自分に言い聞かせるように「たのしく たのしく」歌っていたと近年語られている。
98年12月に破局とされたのも、ワーナーへの移籍により莫大な契約金が動いたために、半年間は表向きの交際を続けたとすると、あまりにも切ない話である……。

『I BELIEVE』『I'm proud』に続く、華原朋美3作目の記念すべきミリオンセラー『Hate tell a lie』。この楽曲が小室プロデュース作品の中では最後のミリオンシングルである。

※イメージ画像はamazonよりALL TIME SINGLES BEST