90年代前半。ヒットチャート上位には、ビーイング系歌手の曲が多数ランクインしていました。世にいう「ビーイングブーム」です。
最盛期は1993年。当時は同社所属アーティストの売上が音楽業界全体の7%を占めるという、凄まじい状態にあったものです。

素性を隠して神秘性を強調したビーイングの戦略


こうした隆盛の背景にあったのは、巧みなメディア戦略。中でも特徴的だったのが、アーティストに関する情報規制の徹底ぶりです。
特に女性歌手の“何も教えてくれない感”は異常。ZARD、大黒摩季、倉木麻衣、GARNET CROWなど……。彼女たちが世に出たての頃は、歌声とジャケ写のビジュアル以外、ほとんどの素性が秘密のベールに包まれていたものです。

もちろん、ビーイング以前にも荒井由実や中島みゆきなど、メディア露出を控えることで神秘性を獲得していた実例はいくらでもあります。
しかし、この路線を体系化したのは、おそらくビーイングが初。その結果、神秘性を持った歌姫たちを次々と生み出すことに成功したのでした。

そんなビーイング産・女性歌手の究極系ともいうべき存在が、本稿で紹介する小松未歩です。

「小松未歩」とは何者だったのか?


いったい何が究極系なのかというと、この小松未歩、一度も公の場に姿を現したことがないのです。

大黒摩季、倉木麻衣などは、デビュー後しばらくしたらポツポツとテレビに出ています。あのZARDでさえ、1999年に単独ライブを行いました。