「品質向上のための通話録音」は具体的に何に使われているのか
(画像はイメージ)

よくメーカーや店へ問い合わせるときに電話をかけると、オペレーターが出る前に「品質向上のために通話を録音させていただきます」というアナウンスが流れることがある。

客としては、録音されるからにはと、なんとなく背筋が伸びる。
それと同時に、この通話の録音を後から上司が聴き、オペレーターが説教を受けるのではないかと変な想像をしてしまうこともある。

そこでコールセンターに詳しい専門家に、この録音データは一般的にどのように使われているのか聞いてみた。

目的は問題が起こったときの再確認のため


コールセンターの品質向上・人材育成を行う会社プロ-グレスの代表 河津佳江さんは、「品質向上のための通話録音」の目的について2つを挙げる。

「録音されたデータは、お客様とのやり取りについて、後で何か問題が起こった場合、内容を再度、正確に確認する際に活用することが最も多いでしょう。

次いで、電話応対担当者の電話応対スキル向上に活用されることが多いです。大手コールセンターのほとんどは、個々の応対録音を教育担当者と応対者本人が聴き、応対スキルを高めるための指導を定期的に実施しています。また、新人スタッフに既存スタッフの応対の録音を聴いてもらうことで、具体的な仕事内容を把握してもらう、というような活用もしています」

品質向上のために録音するメリット


「品質向上のための通話録音」は具体的に何に使われているのか
(画像はイメージ)

この通話録音には実際、どんなメリットがあるのか。河津さんは次の3つを挙げる。

●クレーマーに言いがかりをつけられずに済む
「何といっても、クレーマー(悪意の第三者)から、こちらが言ってもいないことを言った、という言いがかりをつけられる心配がないのが一番のメリットです。ただ、そういうことは実際にはめったに起きませんが…」

●入力ミスをしても聞き直せる
「もし何か入力ミスが発生しても、通話録音を聴けば確認できる、という安心感が持てることです」

●電話応対スキル向上のために上司に聞いてもらえる
「また、個々の電話応対スキル向上には、自分の応対を聴いてもらう事が一番効果的であるように思いますので、それもメリットです」

録音を聴いた上司から説教されることはあるのか


この通話の内容が後からこのオペレーターの上司に聴かれ、オペレーターがダメ出しをされるのではないかと、変な想像をしてしまうこともある。実際、どうなのだろうか。

「応対者の電話応対自体が原因でクレームになった場合や、応対者のミスにより、お客様にご迷惑がかかった場合は、チームの管理者や品質担当者が録音を聴きます。
そして、応対をした担当者に個別指導、ヒアリング、ロールプレイングなどの指導を行います。

コールセンターは電話による顧客対応が仕事なので、応対に問題があれば当然、教育的指導は行われますが、抜き打ちで聴かれて突然上司から説教をされる、というような例は見聞きしたことはありません」

ひとまず、抜き打ちで録音を聴かれ、説教をくらうことはないことを知り、一安心。


しかし、こんな風に後から教育・指導に使われることを考えると、客側もハキハキとしゃべったり、後から聞かれても問題ないような紳士的な対応をしたりしたほうがいいように思えてくる。背筋が伸びるのは決して間違いではなかったようだ。
(石原亜香利)

取材協力
河津佳江さん プロ-グレス代表
コールセンターの品質向上・人材育成により、利益を生むコールセンター創出に取り組んでいる。
プロ-グレス:http://pro-gresscall.com/
マイベストプロ福岡:http://mbp-fukuoka.com/pro-gress/
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