英国風パブとして知られる「HUB」には、創業当時から続く「週刊誌価格」のメニューがある。「週刊誌と同じくらいの価格のメニュー」という意味だ。
若者がお酒を覚える「週刊誌価格」の英国風パブ
HUBは昭和55年(1980年)に神戸三宮で創業した、居酒屋とは異なるスタイルの英国風パブだ。創業当時、ダイエーの創業者でもある故・中内功氏の「週刊誌を買うように気軽に来店してほしい」という考えのもと、「週刊誌価格」というものが考案された。当時の週刊誌価格は180円程度だったことから、生ビールがそれと同じ一杯180円で飲めたという。
今でもこの週刊誌価格メニューは存在し、現代の週刊誌と同等の390円のアルコールメニューがある。
「ハブでは、いつでも気軽に立ち寄れる価格を守る姿勢を持っています。イギリスのパブのように毎日でも通っていただけるお店にしていきたいとの想いから、気軽に払える週刊誌の価格を基本的なメニュー価格としています。そのおかげで、例えば創業後まもない昭和57年(1982年)に出店したHUB渋谷店は、そのリーズナブルな価格によりオープン当初から『お酒を覚える入門店』のような位置付けで多くの若者で賑わいました。その後も、世の中の背景に合わせて価格設定をするようにしています」(HUB担当者)
オープン当初は「ビール・ウィスキー・シェリー酒」のみ
ところで、180円でお酒が飲めたという創業時は、どのようなメニューがあったのか。
「創業当初のアルコールメニューは『ビール・ウィスキー・シェリー酒』のみでした。そして、その直後にカクテルの提供を始めたのですが、昭和57年(1982年)出店のHUB渋谷店で、このカクテルが爆発的に大ヒットしました」
ちなみにHUBでは、店員に対し、メニューに記載のものだけでも約70~80種あるカクテルを作るトレーニングが行われているそうだ。材料があれば、メニューにないお酒を作ることもできるという。
上場を機に原点に立ち戻る 雑誌が割引クーポン代わりに
そしてこのたび、期間限定(2018年1月14日~1月31日)で創業当時の週刊誌価格が復活しているそうだ。2017年12月4日の東証一部上場を機に、原点に立ち戻るという意味で、創業当時の週刊誌1冊180円の価格でドリンクが提供されている。
いってみれば、雑誌が割引クーポン代わりになるというわけだ。ところで週刊誌ではない雑誌やフリーペーパーなどでもいいのだろうか。
「雑誌の種類の指定はありません。漫画雑誌でもOKです。月刊誌・週刊誌の区別も特にありません。ただ『週刊誌の金額に合わせる』というコンセプトから外れるため、フリーペーパーや電子書籍以外とさせていただいております」
そんなHUB、創業当時は若者が集う店だったが、現在ではリピーターも年を重ね、幅広い年齢層が集まるそうだ。店内にはテレビがあり、スポーツ観戦もできるため、サッカーイベントなどの際は店内が混雑し大いに盛り上がるという。
取材協力
HUB
(石原亜香利)