
1月28日に広島県のマリホ水族館で「マリホ水族館汁」という、何とも濃厚そうな名前の煮込み料理が振舞われるという。
マリホ水族館は2017年6月24日に、ショッピングモール「広島マリーナホップ」内に開設した都市型水族館。
150種5千匹の生き物が飼育されており、県内にある渓流や瀬戸内海の海流を再現するなど、エリアごとにテーマを設けた展示構成になっている。
「マリホ水族館汁」は、1月28日に開催する食育イベント「マリホ水族館を食べよう~食育水族館~」のプログラムの一つで、館内にある「瀬戸内水槽」で展示する7種類の生き物と同じ種類の魚介を仕入れ、調理して先着1,000名に無料で振る舞うというもの。どのような「汁」に仕上がったのか、同館に問い合わせてみたいと思う。
なぜ「汁」とつけたのか
――まずは「マリホ水族館汁」と名前をつけたわけを教えてください。
「食育イベントを企画した際、はじめはタイのあら汁や潮汁といった料理を考えたのですが、マリホ水族館にはせっかく瀬戸内海の生き物を集めた『瀬戸内水槽』があるのだから、『水槽を丸ごと調理する』イメージで作ろうと考えました。瀬戸内海の生態を見せる展示は当館の一つの特徴でもあるので、それを表すネーミングにしています」
――館内で飼育している生き物と同じものを仕入れて料理する、というのはユニークな試みですね。
「釣りをして釣れた魚を食べる食育イベントは全国の水族館で開催しています。『マリホ水族館汁』は独自の企画内容になったため、今回注目していただいたのだと思います」

コブダイ
材料には、瀬戸内海の恵みがたっぷり

マゴチ
――「マリホ水族館汁」に入るのは、マダイ、コブダイ、マゴチ、アナゴ、夜泣貝、カタクチイワシ、キジハタと伺いましたが?
「はい。瀬戸内水槽で飼育する生き物がこの7種類です。味付けは今試行錯誤中で、当日提供する『マリホ水族館汁』は、『水槽丸ごと』を料理するという趣向に、美味しさが加わった料理になればと思っています」
――料理屋さんに並ぶような魚介ばかりで、良い出汁も出るでしょう。どう転んでも美味しいものになりそうですが、料理の材料としてはお高い種類の魚もいますよね。これを無料で振る舞うとは太っ腹ですよ。

アコウ(キジハタ)
「そうですね…。
キジハタなどは1キロ1万円ぐらいしますし、アナゴやマダイもけっこういいお値段の魚だと思います。ただ瀬戸内海の生態や水族館の生き物に関心を持っていただき、魚食について考えるとっかかりとして気軽に楽しんでいただきたいという狙いもあります。『マリホ水族館汁』を通じて命の大切さと、ふだんの食事からいただいている命に対して改めて感謝するきっかけになってくれればと思っています」

マアナゴ
全国の子どもの魚離れが進む中、食卓にある魚介が海にいる生き物であるという発想が失われていることも懸念しての企画でもあるそうだが、間違いなく美味い「汁」に仕上がるだろう。大人の舌も楽しませてくれるイベントとなりそうだ。
(石水典子)
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