昨日(3月11日)放送の『トドメの接吻』(日本テレビ系)最終話で、“最後のキス”が行われた。(関連)
「トドメの接吻」最終回、抱き寄せる山崎賢人、後ずさる門脇麦
「トドメの接吻」オリジナル・サウンドトラック
Ken Arai/バップ

今までと異なる点がある。
今回のキスで戻れるのは、7日前ではなく3ヶ月前だ。

第10話あらすじ


堂島旺太郎(山崎賢人)と並樹美尊(新木優子)の結婚式で、並樹尊氏(新田真剣佑)に刺された佐藤宰子(門脇麦)。旺太郎のキスも虚しく、彼女は死んでしまった。
その後、なんとか立ち直ったかに見えた旺太郎。だが、ホスト時代の後輩・和馬(志尊淳)に図星を突かれ、自分の本当の気持ちに気が付いた。

和馬 あんたが泣きながらあの子にキスしてるのを見て、マジでイカれたのかと思いましたよ(笑)。結婚するのは、あの子を忘れたいから?
旺太郎 バカか。
宰子は俺に「幸せになれ」って言って、だから何の気兼ねもなく結婚できる。それだけのことだよ!
和馬 へぇ~、すごい愛だ。死んだあの子の願いを叶えるために他の女と結婚する。あの子を愛してたんですね。
旺太郎 そんなんじゃ……
和馬 まあ、愛なんて認めたらあなたじゃなくなっちゃいますもんね(笑)。辛いでしょ? ほ~ら、苦しくなってきた。

旺太郎 黙れつってんだ!

和馬が帰った後、宰子との日々を思い出して旺太郎は泣き崩れた。後日、婚姻届を持参した美尊に旺太郎は胸中を告白する。
「宰子を愛してる。あいつのいない人生が……辛くてたまらないんだ」(旺太郎)

タイムリープに3ヶ月待たなかった理由


宰子の部屋で目覚めた旺太郎の前に春海一徳(菅田将暉)が現れ、自らの秘密を打ち明けた。なんと、彼も宰子のようにキスで戻れるという。一家心中で生死の境をさまよって以来、春海もタイムリープ能力が身に付いたのだ。
ただ、宰子と違う点が一つある。
春海とのキスで戻れる日数は、7日ではなく3ヶ月だ。

悩んだ末、春海とのキスを決意する旺太郎。タイムリープの秘密を知った美尊は、旺太郎と約束を交わした。
「今度は自分の欲のためじゃなく、周りの人たちを幸せにして」(美尊)

そして、春海とキスをする旺太郎。この時点から3ヶ月前、宰子はまだ旺太郎と関係性を築いていない。3ヶ月余計に待てば、親しくなった宰子と再会できるのだが……。

いや、そのタイミングはダメなのだ。尊氏も、美尊も、布袋道成(宮沢氷魚)も、和馬も、すでに旺太郎のせいで不幸になってしまっている。それは、美尊との約束に反する。最後のタイムリープは、周りの人を幸せにするために使う。

ライバル・尊氏の顔に邪気がない


春海とのキスで3ヶ月前にタイムリープした旺太郎が降り立ったのは、「並樹乗馬クラブ」のパーティ会場。ドラマ第1話で登場したシチュエーションだ。
タイムリープ前は旺太郎との結婚を望んでいた美尊が、ここでは旺太郎を毛嫌いしている。
旺太郎と出会い闇落ちした尊氏も、この時の表情には邪気がない。

旺太郎は、尊氏に声を掛けた。
「美尊さんの幸せを心から願うなら、養子だとか過去の秘密だとか、そんなもの全部取っ払って彼女に素直な気持ちを伝えてやれ! それが、彼女の幸せのためだ」
明らかに響いた様子の尊氏。得体の知れないホストの言葉にも耳を傾けている。やはり、尊氏を狂わせた原因は旺太郎にあったのだ。

旺太郎は止まらない。
布袋には「尊氏が間違ったらはっきり言ってやれ」と、長谷部寛之(佐野勇斗)には「もっと社会で揉まれろ!」と忠告。彼らには憎まれ口に聞こえるかもしれないが、これは檄だ。

美尊 あなた、何のつもり? パーティをメチャクチャにしに来たの!?
旺太郎 未来の君と約束したんだ。今度こそ、幸せになって。

“なぜか自分の名前を知っている男”の言葉に涙する宰子


パーティ会場から飛び出した旺太郎。向かったのは、第1話で登場した歩道橋だ。車に轢かれそうになる男の子がいて、その子を宰子が救っている。旺太郎は宰子に駆け寄った。
「知っているよ、お前のことは」

かつては宰子の笑顔に戦慄していた旺太郎が、宰子の顔を見て感極まっている。思わず、宰子を抱き寄せようとする旺太郎。しかし、宰子はオドオドと後ずさりする。濃密な時間を共に過ごした彼女は、タイムリープ前に確かに死んだ。その事実を突きつけられた瞬間だ。
自分と一緒にいると、宰子は幸せになれない。今度も宰子を利用してしまうかもしれない。宰子の幸せを一番に願う旺太郎は、パラレルワールドのことを彼女には伝えなかった。

あくまで他人行儀に、旺太郎は宰子に言葉を掛ける。
「お前ならいつか、そのキスを受け入れてくれる人に出会えると思う。バチが当たっただなんて今は思ってるかも知れないけど、そんなことないからな」
「お前はもっともっと、幸せになれんだよ。だから……クズには騙されるな。もう一回言うぞ? 俺みたいなクズだけは好きになるな」
なぜか自分の名前を知っている男が、愛のこもった言葉を次々に投げ掛けてくる。宰子からすると、あくまでそういうことになる。

3ヶ月前に戻った旺太郎と宰子が結ばれる結末を願う視聴者は多かったはず。しかし、自分が近付かない方が幸せだと考えた旺太郎は、逆に宰子を遠ざけた。
今回のタイムリープでは、旺太郎と関わった人たちほぼ全員がポジティブな方向へ歩き出した。宰子も、その内の1人だ。

蛇足だが、Huluで配信されている『トドメのパラレル』では旺太郎と宰子の1年後が描かれている。ニヤニヤしてしまいそうなほっこり展開が向こうでは用意されているが、正直、“出来過ぎ”の感が無くはない。
あくまで、サービス的なエピソードなのだろう。本編に入れないで正解だったと思う。
(寺西ジャジューカ)

「トドメの接吻」動画は下記サイトで配信中


Hulu
U-NEXT
Amazonビデオ

「トドメの接吻」キャスト、スタッフ、主題歌


<キャスト>
山崎賢人 門脇 麦 新田真剣佑 新木優子 佐野勇斗
宮沢氷魚 堀田茜 唐田えりか 山本亜依/志尊 淳
光石 研 奥貫 薫 高橋ひとみ 小市慢太郎/菅田将暉(友情出演)

<スタッフ>
脚本:いずみ吉紘
音楽:Ken Arai
主題歌:菅田将暉「さよならエレジー」(EPICレコードジャパン)
チーフプロデューサー:西憲彦
プロデューサー:鈴木亜希乃、渡邉浩仁、岡宅真由美
演出:菅原伸太郎、明石広人