今朝方、スポーツ各紙が俳優の三浦翔平と桐谷美玲が来月にも結婚へと報じた(ただし、その後、両者の所属事務所が報道を否定)。ちょうど先週放送の水曜ドラマ「正義のセ」(日本テレビ、夜10時~)第5話は、三浦演じる敏腕検事がクローズアップされた回だった。

吉高由里子「正義のセ」ドラマのなかでも三浦翔平に恋の予感?5話
イラスト/まつもとりえこ

酔った凛々子が先輩検事にキス!


第5話の案件は、大学の医学部で起こった女性職員の転落死事件。その発生直後、主人公の新米検事・竹村凛々子(吉高由里子)の勤務する横浜地検・港南支部にも連絡が入り、彼女は担当事務官の相原(安田顕)とともに現場へ急行。凛々子にとって、現場にまだ遺体の残るなか現場検証に立ち会うのは初めての経験で、やたら怖がる。

殺人容疑で逮捕・送検されてきた被疑者は、臨床病理学教授の高嶋(原田龍二)。彼は最初の取調べで殺人は否認するも、死亡した三宅(佐藤めぐみ)とは不倫しており、自分が別れを切り出したため自殺をはかったのだろうと供述。彼女の死亡推定時刻には、取引先の医療機器メーカーの茂木(木下隆行)とスーパー銭湯にいたという。これを受けて茂木も検察に呼び出され、同様の証言をした。


だが、その後、三宅の友人の証言で、彼女が高嶋と不倫していたのは数年前の話で、事件発生時にはとっくに別れていたことが発覚。高嶋の先の供述は嘘だったことになるが、しかし彼にはアリバイがある。捜査が難航するなか、さらに高嶋が茂木から賄賂を受け取っており、それを三宅が告発しようとしていたという事実が浮上。凛々子は、支部長の梅宮(寺脇康文)の命令で、先輩検事の大塚(三浦)とその担当事務官・木村(平埜生成)とタッグを組んで本件にあたることに。大塚は凛々子が港南支部に赴任して以来、チクチクと痛いところを突かれてきた“宿敵”ともいうべき存在だけに、はたしてうまくいくのか? と思ったら案の定、凛々子の提案を大塚はことごとく却下、捜査は完全に彼のペースで進められる。

捜査チームがまず訪れたのはスーパー銭湯。
そこで高嶋が事件当日、実際に茂木とここに来ていたことは確認されたが(茂木は店の受付で自社名の入ったボールペンを何本も渡して、高嶋の名前を何度も口にして、ここに来たことを殊更に印象づけていた)、彼らが入館した時間まではわからなかった。何しろスーパー銭湯には防犯カメラは設置されておらず、客はみんな裸なので、まぎれこむにはうってつけだ。

その後も事件当日の高嶋の足取りをチームで徹底的に洗い出すも、空振りに終わる。捜査が暗礁に乗り上げるなか、気晴らしに入った居酒屋で凛々子は悪酔いする。やがて寝てしまった凛々子を大塚が起こそうとしたところ、別れた彼氏と勘違いされ、いきなりキスされる。そこを会計に行っていたはずの相原にも目撃され、気まずい雰囲気が漂う。
もちろん凛々子は酔いが醒めるとすっかりそんなことを忘れてしまうが、大塚はこのあと彼女が近づいてくるたび、キスされたことを思い出して、うろたえることに。敏腕検事がすっかり動揺させられる姿がおかしい。

取調べの様子がまるで「囚人のジレンマ」


居酒屋でそんな一幕があったあと、チームはいったん仮眠をとるため支部に戻る。だが、眠れない相原は木村を誘い、くだんのスーパー銭湯に繰り出した。そこで券売機に目をつけ、とっさにひらめくと、店が客から回収した大量の入館チケットを持ち帰る。このなかから事件当日の日付が印字されたチケットを抜き出し、それを鑑識に回して高嶋の指紋が検出されれば、入館時間がわかるという寸法だ。凛々子たちは手分けしてチケットを選別。
作業を終えて鑑識に回したころには朝になっていた。

懸命の作業により、高嶋の入館時間が判明。死亡推定時刻に彼が被疑者と一緒にいたことは可能とわかり、アリバイは崩れた。だが、ここからさらに高嶋から自白をとらねばならない。凛々子が高嶋を取調べるのと並行して、茂木も再び検察に呼び出され、大塚が取調べを行なう。

凛々子と大塚はそれぞれ相手に同時に取調べを行なっていることをほのめかすことで、心理的なゆさぶりをかける。
まずは贈収賄の疑惑について高嶋が、贈収賄では贈った側よりも受け取った側の罪が重くなると言われて自白。茂木も高嶋が自白したと知らされ、贈賄とともにアリバイづくりに協力したことをようやく認める。相手の出方を気にして結局どちらも自白するという展開は、ゲーム理論における「囚人のジレンマ」を想起させた。

高嶋は収賄を認めたあとも、殺人については頑なに否認したが、相原から切り札としてスーパー銭湯のチケットを突き出され、ついに事件当日についても自白するにいたる。三宅はその日、収賄を告発しようとして、それを止める高嶋と揉み合いになるうち、開いていた窓から転落して死亡したのだった。

凛々子と大塚の関係に進展はあるのか


事件が解決したあと、凛々子は今回タッグを組んだ大塚に「すごく勉強になりました」と感謝の思いを伝える。これに大塚は「だからおまえはだめなんだ」といつものように上から来た……かと思いきや、「すべての検事には同じ権限が与えられている。
俺とおまえは対等なんだ」と返し、凛々子を感激させる。このとき彼女から不意に握手されてまたしても動揺し、手を離そうとする大塚が何だかかわいい。演じる三浦翔平は結婚へと報じられたが、ドラマのなかでも大塚が今回の件を機に凛々子と男女の関係に進展、なんてこともあったりして!?

男女の関係といえば、第5話の冒頭では、妹の温子(広瀬アリス)が婚約を宣言して父・浩市(生瀬勝久)を激怒させる一方で、凛々子が彼氏から一旦はプロポーズされたものの、その後別れたことがやっと家族の知るところとなる。温子も姉の破局を受けて婚約をいま一度白紙に戻した。このように「正義のセ」は、凛々子の恋愛、そして家族とのやりとりを本筋とリンクさせながら丁寧に描いている。

アリバイづくりのための場所がユニーク


ところで、あちこちに防犯カメラが設置され、ミステリー作品でも犯人のアリバイづくりが結構難しくなっていると思われる現在だが、「正義のセ」はそのあたり、監視の目の届かない“空白地帯”を見つけてくるのがうまい。

第3話では、結婚詐欺師が被害者からせしめた大金を隠していたのが、ランニングステーション(ランナーたちが着替えたりシャワーを浴びたりできる施設)の会員用ロッカーだった。そして今回の第5話では、被疑者がアリバイづくりのため使ったのが防犯カメラのないスーパー銭湯と、これまたユニークな場所が選ばれた。ちなみに本作は複数の脚本家が持ち回りで担当しているが、ここにあげた話はいずれも梅田みかの担当回だ。

さて、今夜放送の第6話では、ゲスト出演者として倉科カナと岡山天音が登場。2009年下期のNHKの朝ドラ「ウェルかめ」でヒロインを演じた倉科に対し、岡山も昨年上期の朝ドラ「ひよっこ」でのマンガ家の卵役が記憶に新しい。以前も指摘したとおり、キャストの大半を朝ドラ出演経験者が占めるこのドラマだが、第5話ゲストの佐藤めぐみ(2007年下期の朝ドラ「ちりとてちん」に出演していた)といい、ゲストも偶然なのか朝ドラづいている。
(近藤正高)

Huluにて配信中
アマゾンプライムにて配信中
U-NEXTにて配信中

最新回はTVerなどで無料配信されている(第5話の無料配信は5月16日21時59分まで)