
たぶんほとんどの原作ファンは、赤坂理子(清野菜名)と早川京子(橋本環奈)の配役に違和感を覚えていると思う。
だが、第2話を見てこれで合っていたのだと思い知った。
アクションの質の違い
理子は赤坂道場の娘で合気道の使い手。そこらのツッパリなら相手にならないほど強く、当然アクションシーンは多くなってくる。演じる清野菜名は、運動神経に定評があり、映画『TOKYO TRIBE』や『東京無国籍少女』など、数々の映画やCMでアクションをこなしてきた。2話では、腕力で劣りながらも三橋(賀来賢人)相手に、身体全体を連動させて技を繰り出して対抗。その姿は派手でカッコよくて、何よりもキレイだった。蹴りを出した後も体幹はブレないし、動作と動作の間で身体をピタっと止める。涼やかな表情で戦うところも、その強さを物語っていた。赤坂理子として、清野菜名には説得力があった。
原作でそれほど戦うシーンが多かったわけではないだが、京子も強い。だが京子は格闘技をやっているわけではない。ただのスケ番だ。
京子にとっては、伊藤とのラブラブシーンも重要も見せ場の一つ。原作では、背伸びして言いたいことが言えない伊藤の可愛らしさを強調が表現されているが、ドラマでは、2人の行き過ぎたラブラブカップル描写を選んでいるようだ。まぁその掛け合いの異常っぷりはもう見てもらうしかないのだが、橋本環奈の良い意味でのバカっぽさがちょうどいい。清野菜名の涼やかさは原作の京子にピッタリだが、ドラマの京子では、橋本環奈のバカっぽさがちゃんと生きている。
実は見た目もこれで正しい
もしかしたらビジュアルもこっちのほうが正しいのかもしれない。冒頭で逆だと言ってしまったが、実はそうでもないかもしれない。
このドラマの時代背景は、80年代の頭。現代とは全く別の世界観だし、これはもうちょっとした時代劇だ。1話のレビューでも触れたが、そういった理由から理子はバッキバキの聖子ちゃんカットにしている。
清野菜名はこの聖子ちゃんカットが非常に似合う。昭和顔というのが正しいのかわからないが、清野菜名が聖子ちゃんカットにすると、本当にその時代の女子高生になる。メインヒロインの理子が、ちゃんとその時代を生きている人に見えることは、物語にとってものすごく重要なことだ。もちろん橋本環奈が聖子ちゃんカットにしたら、それはそれで絶対にかわいいに決まっているのだが、きっと、“現代の子が聖子ちゃんカットにしている”感が出てしまうだろう。
そもそも原作とドラマは違う
そもそも原作で京子はこんなに出番がない。ドラマではダブルヒロインになっているが、原作ではもうちょっと控えめなポジションだ。ちなみに、金八の格好をしながら一切モノマネをしない椋木先生(ムロツヨシ)もいないし、三橋の父(吉田鋼太郎)もあんなに出番はない。
映像にしたときの華やかさを考えてなのか、1時間にしたときのストーリー展開のしやすさのためなのか、
原作と違う部分は多分にある。原作を壊しているのではなく、原作のいいところを映像にして持ってくるためにしていることだ。上で少し触れた京子のキャラ性の違いはおそらくそういう部分から来ている。
橋本環奈は原作の赤坂理子に似ているし、清野菜名の方が早川京子っぽいのは間違いないが、ドラマにするならその逆がぴったりなのだ。
(沢野奈津夫)
「今日から俺は!!」
日曜:22:30〜23:25(55分) 日テレ系
キャスト:賀来賢人、伊藤健太郎、清野菜名、橋本環奈、太賀、矢本悠馬、鈴木伸之、ムロツヨシなど
脚本:福田雄一
演出:福田雄一、鈴木勇馬
主題歌:今日俺バンド「男の勲章」