山田涼介・田中圭『キワドい2人』3話は現実にも起こっているアポ電強盗が題材
イラスト/ゆいざえもん

今回は「Shall we dance作戦」で解決 『キワドい2人-K2-』3話

「ダメダメダメ やめてお願い!」
冒頭、神崎(山田涼介)が懇願する声ではじまる。「入れちゃダメだよ」「入れるぞ」とキワドイ掛け合いが……。それはテレビで放送されている少年犯罪の特集で、神崎は万引している少年を追いかけた映像に向かって「ダメダメ」と叫んでいたのであった。


カチッと固い神崎とゆるりと軽やかな黒木(田中圭)のバディもお似合いに見えてきたキワドい2人-K2- 池袋署刑事課神崎・黒木(TBS系 毎週金よる10時〜)の第3話は、神崎と黒木がアポ電強盗を追う。

これまで2回は、刑事として未熟な神崎と、ちゃらく見えて真摯に事件を追っている黒木の対比が描かれていたが、今回は黒木のピュアな部分にフォーカスする。

信じたい神崎と、個人的な感情を捜査に持ち込まない黒木

犯人と警察は「一期一会」だから犯罪者にもっと寄り添うべきであり、なんでも万引とひとくくりにしないで、犯罪を行った者の背景をちゃんと聞くべきだと考える神崎と、一人ひとりに向き合ってはいられないという黒木。相変わらず、考えが合わない。

そうやって、わちゃわちゃ言い合いながら出勤すると、また同僚に「仲良い〜」と言われてしまう。ただ、澤登副所長(六角精児)と黒木の会話を聞いてしまった統括係長・末長(八嶋智人)は二人 の関係を気にしはじめる。

今回の事件は、高齢者の家に防犯点検に来たと装って強盗に入るという事件(アポ電強盗)。
前作『MIU404』ではドラマと現実に起こった出来事がリンクしていることがよくあったが、『キワドい2人』もリンク。ちょうどオンエアの時期に、ガスの点検を装って強盗に入る事件が続いていた。もっともこの手の犯罪は日常茶飯事。お年寄りには気をつけてもらいたいものである。

逃走した犯人たちによる再犯を食い止めるため、神崎と黒木は逃げた犯人の捜査をはじめる。ピエロのお面をかぶった犯人は今、どこに――。


聞き込みで立ち寄った米屋には老婆・洋子と孫の龍之介(清水尋也)がいた。龍之介の両親は他界して、祖母に龍之介が寄り添っていた。

「自分の子供を事故で亡くして」と龍之介が言うので、筆者は、他人が老婆を心配して住み込みで世話しているのかと思ったら、孫だった。洋子の作った唐揚げを食べる龍之介の仲良さそうな姿に神崎は顔をほころばせる。

アポ電強盗は、お年寄りが集う社交ダンス教室に通って、そこでターゲットにするお年寄りを決めていたことがわかり、黒木が「Shall we dance作戦」を行う。前回の「モンブラン作戦」に続いて毎回、黒木の考えるおかしな名前の作戦が実行されることになるのだろうか。


その作戦にまたも民間人の氏原彩乃(関水渚)が助っ人に。神崎は彩乃と華麗なダンスを披露する。山田涼介の彩乃のサポートぶりが鮮やかだった。そこで、ダンス教室の前の会長が米屋の洋子だったことを、黒木が発見する。

龍之介がピエロではないかと疑う黒木に、神崎は異を唱える。だが、龍之介が犯人のわけがないと思うのは神崎の願望に過ぎないと黒木は取り合わない。
信じたい神崎と、個人的な感情を捜査に持ち込まないようにしている黒木。二人はまたまた対立する。

今一度、米屋に聞き込みにいくと、龍之介は認知症気味の洋子を親身に世話している。その姿に神崎は嘘を感じることができない。

神崎「黒木さんは誰かを信じたいって気持ちはないんですか」
黒木「そんなもんとっくにどっかに捨てちまった」
神崎「どんなふうに育ったらそんなに人を疑うようになるんです?」

このセリフのあとの黒木は何も返さず微妙な表情をしている。おそらく黒木と神崎の異母兄弟関係が関わっているのだろう。


山田涼介・田中圭『キワドい2人』3話は現実にも起こっているアポ電強盗が題材
第4話は10月2日放送。画像は番組サイトより

犯人の涙に一筋の希望をみる

黒木は勝手にDNA鑑定して龍之介とピエロ(犯人)は別人とわかる。ほっとする神崎だったが、黒木は意外な事実にぶち当たっていた。「自分の子供を事故で亡くして」と言う龍之介のセリフは犯人探しのヒントだったのである。それを聞き逃さなかった黒木は、ホンモノの龍之介はすでに亡くなっていることも突き止める。亡くなった龍之介の持ち物とピエロのDNA鑑定が一致しないのは当然だったのだ。

いつも黒木が一見捜査に関係なさそうなことに気を留める。それを神崎が呆れて見ていると、黒木はそこに事件のヒントを見つけている。
今回も、黒木が野球のグローブを気に留めたことが解決の糸口につながった。

たとえ強盗だったとしても、龍之介は洋子に情を感じているに違いないと考える神崎。洋子に包丁をつきつけ人質にしようとした龍之介に立ちふさがる。このときの神崎演じる山田涼介は犯人に対してまっすぐ立ち向かい、揺らぐことがない。信じる気持ちの強さ。黒木も神崎のその態度に何も言えずに見つめるだけだ。

じつは洋子とは他人で、龍之介に扮していた鴻上は、洋子の唐揚げが美味しかったのだと泣く。お金を盗み、逃げ込んだ家だったが、いつしか洋子との生活に癒やしを感じていたようだ。これが一筋の希望。

神崎の、犯罪者、それぞれの背景に寄り添いたいという気持ちは、鴻上の、ただの悪質なアポ電強盗ではない部分に気づけた。犯罪をしたからといってその人のすべてが悪にまみれているわけではなく、善も悪もひとりの人物のなかにある。その善に光を当てることで、何かが変わるかもしれない。

神崎はフランスの小説で、ミュージカルにもなっている名作『レ・ミゼラブル』の主人公ジャン・バルジャンと司教との関係に犯罪者と警察のあり用を見出していた。ジャン・バルジャンは貧しさゆえに銀食器を盗むが、司教の対応によって変わっていく。『レ・ミゼラブル』を知らなかった黒木も、ふとその神崎の気持ちに共感するかのように、末長に知ったかぶって「レ・ミゼ」の話をする。黒木と末長が『レ・ミゼラブル』と聞いて同じ反応をするところがポイント。

いつもコメディリリーフ的な役割を演じている八嶋智人が『キワドい2人』ではシリアスな表情をするところもある。黒木と神崎とが関わっている過去の事件を調べると意外な真実が……。犯人と警察(黒木と神崎の父)の一期一会の深い関わりが過去の事件にもありそうなキワドい予感。
(木俣冬)

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番組情報

TBS 金曜ドラマ『キワドい2人-K2-』
毎週金曜よる10:00〜10:54
番組サイト:

https://www.tbs.co.jp/kiwadoifutari_TBS/