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『おかえりモネ』第116回 百音、未知、菅波、さらには亮まで 彼らはなぜささやき声なのか

『おかえりモネ』第24週「あなたが思う未来へ」

第116回〈10月25日(月)放送 作:安達奈緒子、演出:一木正恵〉

※本文にネタバレを含みます

※『おかえりモネ』第117回のレビューを更新しましたら、Twitterでお知らせします


菅波「そんなことで揺らぐほど自信がないわけじゃない」
亮「すげえなあ」

【レビュー一覧】『おかえりモネ』のあらすじ・感想(レビュー)を毎話更新(第1回〜第116回掲載中)

『おかえりモネ』最終週。百音(清原果耶)の両親に挨拶に来た菅波(坂口健太郎)亮(永瀬廉)と鉢合わせ。ラジオでかかる「アメリカン・パトロール」の懐かしさを共有できない菅波。

19年 対 5年、百音の人生の24年のうち、菅波はまだ5年しか知らないことに引け目も感じている。その反面
、この5年間がかけがえのないものだという自信も持っているところが菅波の良いところである。

亮と百音は親同士が仲が良いため生まれた時から知り合いなので24年じゃないの?と思うが、百音が島を離れて5年間は空白であったことを菅波は冷静に差っ引いているところが不敵。5年は絶対的に自分との時間であると確信しているのだ。

「未来に対して、僕らは無力です。でも、だからせめて今目の前にいるその人を最大限大切にするほかに恐怖に立ち向かう術はない」

菅波の確たる言葉に亮の心が動いたか、その後、喫茶店で未知(蒔田彩珠)に会った時の亮は驚くほど心をオープンにする。

『モネ』では誰かのなにげない言動が誰かを動かしていくことをその瞬間は描かず、あとから無意識に影響を受けているように描くことがよくある。まるで山から雨水が川を通って海に流れていくような表現だと感じる。

菅波と話し込んでから亮が未知の待つ喫茶店にやって来る。いよいよ良き話に――と期待させて、またしてもちょっと不安になることからはじまる。でも大丈夫。亮はもう未知と距離をとることはない。

「ずっと気になってたんだけど…」「時々、俺より苦しそうなんだよね」「そういうのは俺だから感じてやれるんだよな」と未知の抱えているものを想像できると言い、「いつか笑えるようにしてやる」とまっすぐな目を未知に向ける亮。長いこと待ち続けてきた未知の想いが報われる嬉しい瞬間で、よかった〜と思うのだが、こんなにも狭い喫茶店で、お客さんも、店員さんも聞き耳立てているんだろうなあという状況で、亮は嵐に遭った時、みーちゃんに会いたいなあと思っていたという殺し文句のようなセリフを言い、隣に座ってぎゅっと抱きしめる。

亮「やっぱ泣くか笑うかどっちか」
未知「うるさい」

この大胆さは駅の改札で周囲の人をおかまいなしにふたりの世界を築いている人たちのようであった。百音の職場にいた頃から亮が百音に引っ張られるようにどんどんささやき声になっていて、菅波と腹を割って話せるようになってくるとまた普通の声になって、喫茶店でもささやき声になって。お店の中だからささやき声なのかと思ったのに行動は驚くほど大胆。

この後、主題歌「なないろ」がかかり、クレジットもここで流れる。ここでこれをやってしまったら最終回ではどうするのだろうか。

『おかえりモネ』第116回 百音、未知、菅波、さらには亮まで 彼らはなぜささやき声なのか
写真提供/NHK

菅波、ついに永浦家へ

百音と菅波が永浦家に。菅波は自分の知らない19年を短時間でできるだけ知ろうとするように。「僕より緊張してらっしゃる?」といつも以上に敬語で百音に聞く菅波。ついに永浦家の居間に百音と菅波が並んで座ったのだが、耕治(内野聖陽)がいない……。どうなる挨拶。

さて。重要な話であればあるほどささやき声になる『おかえりモネ』の登場人物たち。百音、未知、菅波……とささやき声が連鎖していき、亮もかなりのささやき声になって来た。聞こえないほどではないが、ささやき声は取り扱いが難しい。

でもささやき声を効果的に使う方法論もある。例えば、レジェンド演出家・故・蜷川幸雄は晩年、若い俳優に消え入りそうなささやき声で演技をさせることがあった。それは俳優たちがそういうふうに演じていたところ、声を大きくしろとは言わず彼らを尊重した上で、そのままの話し方を技術で観客に届くようにするように若い俳優の個性を尊重したものだった。


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