アニメ『チェンソーマン』のオープニングテーマ、米津玄師の『KICK BACK』が「令和4年アニソン大賞」に選ばれた。いわゆるアニソンシンガーが、サビで作品名や主人公の名を叫ぶような昭和のアニメ主題歌は無くなり、最近はテレビドラマや映画の主題歌をヒットさせるJ-POPアーティスト達がアニメ主題歌を歌うことが当たり前になって来ている。
もちろん、主演の声優アーティストが主題歌を歌うというケースは今でもあるが、社会現象となるようなヒットアニメの主題歌を手掛けるのはJ-POPアーティストがほとんどだ。今回は、そんな最新アニソン事情をチェックしてみよう。

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J-POPアーティストが主題歌を歌ってヒットしたアニメと言えば、最近の例では、『SPY×FAMILY』を思い浮かべる人が多いだろう。第1クールでは、Official髭男dismと星野源が主題歌を担当し、アニメと共に曲も大ヒット。特に、オープニングの髭男の『ミックスナッツ』は、現在までにストリーミング累計3億回再生を突破している。そして、3か月後に再開した第2クールでは、BUMP OF CHICKENとyamaが主題歌を担当。
次はこう来たか…と、アニメファンのみならず、音楽ファンも熱い視線を送った。今年は、Season2と劇場版の制作も発表されている。放送時期や公開時期などの詳細はもちろんだが、主題歌を歌うアーティストは誰なのか?続報を楽しみに待ちたい。

『少年ジャンプ+』からアニメ化されて社会現象となった、この『SPY×FAMILY』の大ヒットに続き、昨年、アニメ化されたのが『チェンソーマン』だ。同じく、アニメ化が待ち望まれていた作品なだけに、米津玄師が主題歌を担当すると発表された時、原作ファンの期待値は一気に高まったことだろう。米津と言えば、テレビドラマ『アンナチュラル』の主題歌『Lemon』で本格的にブレイクを果たし、その後もドラマ『MIU404』、映画『シン・ウルトラマン』など話題作の主題歌を担当。
毎回、作品の世界観を見事に表現した楽曲を提供し、作品のヒットを後押しして来た。

そんな米津だが、今回はKing Gnuの常田大希との共同アレンジで『チェンソーマン』の攻撃的な世界観やスピード感を表現して、ファンの期待に応えた。米津×常田という天才同士のコラボレーションは、音楽ファンもワクワクが止まらなかったに違いない。ちなみに、テレビ朝日の『関ジャム 完全燃SHOW』の新年恒例企画「プロが選ぶ年間マイベスト10曲」にて、音楽プロデューサーの蔦谷好位置は、「(良くて当然なので)よほどのことがない限り、米津と髭男は選ばない」と断言していたのだが、2022年のマイベスト10曲の中に『KICK BACK』を選出。そのくらい、蔦谷にとっても衝撃を受けた1曲だったようだ。

しかし、『チェンソーマン』の音楽面での話題作りが凄かったのは、米津のオープニングテーマだけではない。
エンディングテーマが毎週変わるという点もかなり刺激的であった。第1話のエンディングテーマをVaundyが担当し、以降も、マキシマム ザ ホルモン、TK from 凛として時雨、女王蜂…といったフェス好き・ロック好きにはたまらないアーティスト達が集結。それぞれが、わずか1回のオンエアのためだけに、『チェンソーマン』の世界観を表現したエンディングテーマを歌ったのだ。

これだけの壮大な主題歌プロジェクトを実現出来たのは、もちろん、原作のパワーと人気があったからこそ。マンガ・アニメが大好きなアーティストも多いので、アーティスト達も面白がって、この企画に参加したのだろう。いつの日か、主題歌を歌ったアーティストが出演し、アニメ映像と共にライブが楽しめるような「チェンソーマン・ロックフェス」が開催されることに期待したい。


さて、ここからは、2023年1月クールのアニメ主題歌にも注目しよう。今期は、『東京リベンジャーズ』の最新作が話題だ。現在放送中の“聖夜決戦編”のオープニング主題歌は、またまたOfficial髭男dismが担当。前作の主題歌『Cry Baby』とは異なるアプローチで、作品に彩りを添えている。そして、エンディング主題歌は、3人組新人ユニットのツユが担当している。既にヒットを連発している人気アーティストが主題歌を歌うワクワク感ももちろんあるのだが、作品とともに新人アーティストが成長し、ブレイクしてゆく様を見守っていくことも、アニメファンと音楽ファン双方にとっての楽しみだ。
そういう意味で、今年は是非、ツユに注目して欲しい。

さらに、今期の『大雪海のカイナ』という作品では、オープニングをヨルシカが、エンディングをGReeeeNが担当。GReeeeNは、このアニメのために『ジュブナイル』という楽曲を書き下ろした。また、『NieR:Automata Ver1.1a』では、オープニングをAimerが、エンディングをamazarashiが担当している。その他にも、FIVE NEW OLDやHakubiといったブレイクが期待される若手バンドが主題歌を担当していたり、中島美嘉や阿部真央、家入レオといった女性シンガーが主題歌を担当したりしているアニメもある。

原作マンガが好きだから、好きな声優が出ているから…という理由で作品をチェックするのも良いが、好きなアーティストが主題歌を歌っているということをキッカケに、作品に入ってみるのも面白いかも知れない。
そして、今年の終りに、「令和5年アニソン大賞」を獲得するアーティストは誰なのか?そんなことを考えながら、クール毎に主題歌をチェックするのも楽しそうだ。

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