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そこで鵜久森の母・美雪(吉田羊) から生前鵜久森に寄り添ってくれたことへの感謝を伝えられる。加えて、夫・蓮(松下洸平)の励ましを受け、鵜久森の死を“運命”として片付けてはいけないと決意。鵜久森をただ単に“命を失った生徒”ではなく“最後まで命を燃やし生き抜いた生徒”だったと証明するため、今一度3年D組の生徒達と向き合う。
まず里奈は「現在あの件は不慮の事故、あるいは鵜久森さん自身が“あの選択”をしたという見解がなされています」という。未だに事故なのか事件なのか、はたまた自殺なのか、その真相は分かっておらず、様々な憶測が飛び交っている現状に触れ、「私はそうではないと思っています」と“あの選択”では決してないと語気を強める。さらには「かつて彼女に不遇を浴びせた人も。かつてそれを傍観した人も。かつて手を差し伸べることを諦めた人も。私達は二度彼女を傷つけることは許されない。私達は彼女の生き様と向き合わなくてはならない」と話す。
そして、里奈は鵜久森の死について“憶測で語ること”は最も避けなばければいけないと語り、「『あのせいだと思う』『あの人が関係しているだろう』『あれが原因に違いない』。『思う』『だろう』『違いない』。その言葉で彼女を語ることは、言葉を失った人への冒涜だと思いませんか?そうならないために真剣に考えるんです」「それだけが私達に今できる唯一のこと。向き合うということ」と続ける。
また、里奈の「向き合う」という言葉に感化された教頭・我修院学(荒川良々)は、鵜久森の死を受けての記者会見で「関係のない人が憶測で言葉を投げかけるのは止めてください。なぜならここは学校だからです」と呼びかけ、「それでも何か言葉を投げたい時、我慢できない時があれば、私に言ってください。だって私がここの責任者なので。責任があるのは生徒でも教員でもない。私です」とリーダーとしての覚悟を見せる。向き合うとはどういうことなのかを教師が生徒に指し示した。
里奈のセリフは、あくまで鵜久森を傷つけた生徒達だからこそ向けられた厳しい言葉ではある。ただ、誰かの死について憶測で語ることは決して知り合いでなくても自重しなければいけない、そう感じさせるセリフだった。
ここ最近、有名人が亡くなった時、とりわけ“あの選択”をした際にはSNSで原因もしくは犯人探しが始まりやすい。その有名人の配偶者に「そばにいながらなぜ助けられなかった」と責めたり、その有名人の近しい有名人の発言を拾って「お前のせいだ」と糾弾したりといった行動を見せる人は一定数いる。
勝手な憶測でその人を語ることはもちろん、憶測で誰かを責めることは決して許されない。誰でも簡単にSNSで発信ができる、つまりは気軽に誰かの死の憶測を語れる時代だからこそ、意識して覚えておかなければいけない。
このことは『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』でも強調されていた。『最高の教師 1年後、私は生徒に□された』でも同様に描かれていたということは、いかに制作陣が伝えたいメッセージであるかが伺える。裏を返せば、『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』の放送から4年経ったものの、未だに誰かの死の憶測を語る空気感が改善されていない、むしろ悪化していると感じているからなのかもしれない。
物語のメッセージも強く感じるが、ストーリーの動向にも注目したくなる。鵜久森の死因、さらには里奈も鵜久森同様に1周目の命日より先に生きることはできるのか、謎が解き明かされていく展開も楽しみにしたい。
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