4月2日より配信を開始したNetflixシリーズ『九条の大罪』が好評だ。真鍋昌平の同名漫画が原作の本作は、日本におけるNetflix週間TOP10(シリーズ)で2週連続1位を獲得。
さらには、Netflix週間グローバルTOP10(非英語シリーズ)でも4位にランクインするなど、国内外で人気を集めている。

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本作は、半グレや前科持ちなどから寄せられる案件ばかりを引き受ける弁護士・九条間人(柳楽優弥)と、九条の法律事務所で働くことになったエリート弁護士・烏丸真司(松村北斗)が、毎回厄介な依頼に立ち向かう異色のリーガルドラマだ。

1話目で飲酒運転で親子をはねた森田(佐久本宝)に執行猶予がつくなど、胸糞の悪い展開が少なくない。黒寄りのグレーではなく、グレー寄りの黒、時には真っ黒な案件が九条たちのもとに舞い込み、視聴中に何度も心がぐったりする。それでも、多くの視聴者を引き付けている要因として、松村の“寄り添い”が大きい。

原作の烏丸は、冷静沈着な合理主義者のような印象を受けた。しかし、依頼人にハッキリと嫌悪感を示し、どうしようもない依頼ばかりを受ける九条に喰ってかかるなど、ドラマ版の烏丸からは人情味を度々感じる。

烏丸は、亡くなった父親が“マスコミのオモチャ”にされた凄惨な過去を持っているが、作中では九条という“悪徳弁護士”を近くで観察する、ある意味で視聴者目線に最も近いキャラクターと言える。はたから見れば奇行とも言える九条の行動に、烏丸が違和感を示す程度の態度で接していると、視聴者としてはモヤっとしてしまう。やはり、ある程度は感情的に指摘してくれないと、気持ち悪さを抱えることにつながる。

とりわけ、ドラマは実在する人物が演じているため、「こんなやつ極刑にしろ」「そもそも依頼なんて受けるな」と漫画よりも感情的になりやすい。だからこそ、人間臭さを出してくれることは一種の救いであり、カタルシスや安心感につながる。
とはいえ、烏丸というクールでスマートな役のイメージを損なうことなく、視聴者の代弁者であるかのように人情味を出している松村の調整力はすさまじい。

ドラマ『西園寺さんは家事をしない』(TBS系)や映画『ファーストキス 1ST KISS』など、さまざまな出演作で毎回その演技力の高さが評価されてきたが、『九条の大罪』でも例に漏れることなく、視聴者を魅了している。

◆ネトフリだからこそヒットした?

また、『九条の大罪』が注目されている背景として、動画配信サービスだからこその強みが発揮されたことが挙げられる。本作は4月2日に全10話が一挙配信された。言い換えれば、見たい時にいつでも続きが見られる。

民放ドラマは、どうしても翌週も視聴してもらえるように、毎話“クリフハンガー(あえて良いところで止めて続きが気になるようにさせる手法)”を設けなければならない。ドラマだけではなく、漫画や動画メディアなど、コンテンツ過多とも言える今現在。制作側としては継続的に視聴させる必要に迫られ、無理にクリフハンガーを設置したために、ストーリーのスムーズさが損なわれているように感じる瞬間も珍しくない。

一方、『九条の大罪』では、そういった“無理くり感”を覚えることはなかった。もちろん、クリフハンガーが設けられている部分もあったが、あくまで次のエピソードへの橋渡し的なニュアンスで、露骨さは感じない。制作陣の「面白ければ続きを見てもらえるだろう」という強気な姿勢と、視聴者への信頼を感じた。もちろん、作品が面白いことは大前提ではあるが、「続きがすぐに見られる」という点は、ドラマ制作においてかなりのアドバンテージになっている気もした。


役者陣の表現力、原作の面白さ、さらにはNetflixだからこその配信方法など、さまざまな要素が絡み合っているからこそ、人気につながっているように思う。

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