「撮影期間中は、自分に戻らない」。楽になってしまうから、しんどいままでいる方が良い芝居ができる気がする——。
そう語るのは、ドラマ『サレタ側の復讐~同盟を結んだ妻たち~』(テレ東系)での不倫相手役、YouTubeチャンネル『佐久間宣行のNOBROCK TV』の「めんどくさい女」役で急速に注目を集めている女優・矢野ななか。まだ20歳の彼女が役に自分を溶かしていく感覚と、それでも「前回より面白くなければ意味がない」と自分を更新し続けるプレッシャーについて、率直に語ってくれた。(前後編の前編)

【写真】NOBROCK TV「めんどくさい女」役で大注目の女優・矢野ななか【12点】

――現在放送中のドラマ『サレタ側の復讐』では、かなりインパクトの強い役を演じられています。

矢野 この作品は、水崎綾女さん、篠田麻里子さん、矢吹奈子さんがトリプル主演で、3人の旦那さんがそれぞれ不倫をしているんです。その主役の女性3人が「復讐同盟」を組んで、旦那さんたちに復讐していくという物語。私はその中で、水崎さん演じる岸本奈津子のモラハラ夫・岸本義隆(Kis-My-Ft2二階堂高嗣)の不倫相手、関根まどかという役を演じさせていただいています。

――撮影は無事終わったそうですが、不倫相手役のオファーが来たときは、どう思ったのでしょう。

矢野 自分の中ですごく大きな挑戦になるなと思ったので、ぜひやりたいなと思いました。でも台本を読んで「この役やるんだ、私」って結構衝撃でしたね(笑)。

――役作りはどのように?

矢野 「物語の中で、ただ不倫する女の子」っていう“役割として存在するだけ”ではなく、ちゃんと一人の人間として、物語にしっかり絡んでいきたいなと思って臨みました。

――まどかとの共通点はありますか?

矢野 まどかの行動は、正直まったく理解も共感もできないんです。実際のところ、そもそも恋愛経験が全然ないですし、他人のものに興味がないタイプなのですごく難しかったですね(笑)。
「なんで他人のものなのに、行くの? やめなよ」って思っちゃう。

まどかは、承認欲求が強いというか、他人のものを奪うとか、相手を利用して地位やお金を手に入れたりとかして自分の価値を見いだすような女の子だと思うんです。これって多分、自信がないんですよね。そういう部分では私も自信がないので、誰かに認めてもらうことによって安心する性格はちょっと近いかもしれません。

――真逆のキャラクターを演じる上で、参考にされたものがあれば教えてください。

矢野 ドラマ『ホリデイラブ』(テレ朝系)で松本まりかさんが演じられていた役。あのしたたかな感じがすごく参考になりました。傍から見たらすごく鬱陶しいけど、男性には刺さりそうな弱い部分もあって。あのバランス感覚はキャラクターとしても立つなと思い、すごく観させていただきました。あとは、不倫ドラマの主題歌をひたすら聴いて、ドロッとした空気感を自分の中に入れていましたね。

――役が憑依するタイプですか?それともカメラが回っている間だけ入り込むタイプ?

矢野 どちらかと言えば、憑依に近いかもしれません。その期間中は、結構プライベートでも「まどか」として生きている感覚があって。
もちろん、だからといって不倫はしないですよ(笑)。でも感情のベクトルとかが役の方に向いてしまうんです。

――プライベートにも影響が出るんですね。

矢野 今回は特に出ていたみたいで、母から「今回のななちゃんは、様子が全然違くて心配だった」って言われました。自分でも、役と素の境界線をどうやって作ればいいか、すごく難しくて。

撮影が終わってクランクアップの瞬間にスッとフラットな自分に戻れるんですけど、撮影期間中は意識的に自分に戻るのが不安なんです。明日も同じ撮影があるのに、自分に戻っちゃうと楽になっちゃう気がして。しんどいままでいた方が良い芝居ができるんじゃないか、とか考えちゃう。だから、“戻れない”というよりは“戻らない”という感じですね。

――『NOBROCK TV』でのめんどくさい女「なち」も大きな話題になっています。合計再生回数は1200万回を超えているとか。

矢野 ありがたいことですね。
毎回「もう1回観たい」という声をたくさんいただくので、その期待に応えたいし、「前回よりつまらなかった」「前回と同じだった」とは思われたくない。出演させていただくたびに少しずつ変えていきたいと思うんですけど、出せば出すほど引き出しはなくなっていくので、「どうしよう」ってめちゃくちゃプレッシャーです。

――あの企画は、ほとんど台本がないそうですね。

矢野 ざっくりとした流れはあるんですけど、ほぼ沿ってないですね。沿おうとすると予定調和でつまらなくなっちゃうので、その場で生まれたものに反応したり、思いついたものを出していくイメージです。もともと即興芝居は苦手じゃなかったんですけど、『NOBROCK TV』がきっかけで、逆に苦手になりました。

――あれだけ見事に演じられているのに、意外です。

矢野 自分の中でやればやるほど、もっと更新したいと思うから、課題が増えていく感覚なんです。でも、中途半端に終わったことは一度もなくて、毎回限界までいって壁に当たっている感覚。課題があるうちは成長できると思うし、私は悩んでいる方が俳優として魅力的に映ると思うので、悩むことは大事にしています。

――あの「めんどくさい女」には、矢野さん自身はどれくらい入っているんですか?

矢野 初期の頃は、自分の中にあるもの、分かるものしか使っていなかったので30パーセントくらいは私だったと思います。でも、ここ最近の動画は、まったく私ではないですね(笑)。
もう自分の中にはない引き出しで作っていくしかないので、完全に「なち」っていう役がある感じです。

――写真集発売や、『NOBROCK TV』がバズってから、様々な人から連絡が来たと聞きました。中でもうれしいエピソードがあるそうですね。

矢野 『NOBROCK TV』ではないんですけど、以前に私が出したグラビアのオフショット写真のインスタ投稿に、急に「100点です、売れるべき」って武井壮さんからコメントをいただいたことがあって。そこからいろんなご縁で、私のファースト写真集の帯を書いていただくことになったんです。これは本当にびっくりしましたし、嬉しかったです。

▽PROFILE
矢野ななか(やの・ななか)
2005年10月14日生まれ、神奈川県出身。身長155cm、血液型O型。2022年、ドラマ『みなと商事コインランドリー』(テレ東系)でテレビドラマデビュー。翌2023年、『週刊ヤングマガジン』(講談社)でグラビアデビューを果たす。舞台・ドラマ・グラビアと活動の幅を広げ、2025年11月、YouTubeチャンネル『佐久間宣行のNOBROCK TV』への出演が累計1200万再生超の反響を呼び、一躍注目を集める。翌2025年10月には1st写真集『ケレン』(講談社)を発売。
2026年4月放送開始のドラマ『サレタ側の復讐~同盟を結んだ妻たち~』(テレ東系)に出演中。

▽作品紹介
水ドラ25『サレタ側の復讐~同盟を結んだ妻たち~』
■テレ東系 毎週水曜深夜1時~1時30分
■BSテレ東 毎週火曜深夜24時~24時30分
【出演】水崎綾女 篠田麻里子 矢吹奈子 / 髙松アロハ 増子敦貴 小西桜子 矢野ななか 青島心/落合モトキ 二階堂高嗣

【後編】『NOBROCK TV』で注目の矢野ななか、「今は1人でいたくないんです」甘えん坊素顔
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