コロナウィルスの影響で自宅にいることが多くなった今、HuluやABEMAビデオなどサブスクリプション動画配信サービスを利用することも増えたはず。この機会にぜひ、実は名シーンが多いアイドル番組をイッキ見して欲しいというのが、雑誌やweb媒体でアイドル記事を数多く執筆するライターの左藤豊。
そこで、『サブスクで見るアイドル番組傑作選』と題して、左藤氏が厳選する名シーンを番組ごとにご紹介。今回は乃木坂46のメンバー10人と映像クリエイター10人による10本のオリジナル・オムニバスドラマ『乃木坂シネマズ~STORY of 46~』(フジテレビ)から。これを読んで番組を観れば、よりおうち時間が楽しめるはず!

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2019年12月から動画配信サイト「FOD」で配信され、その後地上波でも放送された『乃木坂シネマズ~STORY of 46~』。白石麻衣齋藤飛鳥ら10人のメンバーがそれぞれ1話ずつ主演を務める全10話のオムニバス形式ドラマで、アクション、SF、コメディ、ファンタジーなどさまざまなジャンルの作品が制作されました。そこで今回は、現在「FOD」で見ることのできる『乃木坂シネマズ』の中から筆者が独断と偏見で選んだ名作5選をご紹介します。

●王道ヒロイン(?)山下美月とただただ笑える25分
『第4話「民主主義定食屋」』
今こそFODでイッキ見! 乃木坂46によるオムニバスドラマ集『乃木坂シネマズ』の名作5選

主演は山下美月、監督は宮部一通。客が食べたいものを店内にいる人たちの多数決で決める、ちょっと変わったお店「民主主義定食屋」で働く看板娘の美月ちゃん(山下)。ある日強盗事件の犯人逃走のニュースがテレビから流れてきて……。

女優としても多くの作品に出演した実績を持つ山下が、定食屋の看板娘という“王道ヒロイン”役に。なぜか発する言葉だけは奇妙なのだけれど、それさえ可愛く見えてしまうのは彼女が持つ天性の魅力か。キャスト陣によるドタバタ劇は丁々発止のやりとりがテンポ良く続き、最後はほっこりしたエンディングに。シリアスな作品の多い『乃木坂シネマズ』の中では珍しく、頭をカラッポにして笑える25分です。


●念願かなった堀未央奈、アクションドラマで躍動
第6話「納品ウォーズ」
今こそFODでイッキ見! 乃木坂46によるオムニバスドラマ集『乃木坂シネマズ』の名作5選

主演は堀未央奈、監督は曽根隼人。タイラたちは今夜放送のテレビ番組のテープを納品しようとするも、何者かにテープを奪われてしまう。頭を抱える彼らの前に時給6,000円のスーパーAD・凛子(堀)が現れ、刺客たちを倒していく……。

もともとアクション作品に出演するのが念願だった堀だけあって、本作の見どころはもちろん彼女のアクションシーン。撮影の1~2カ月前から練習に取り組んでいたそうで、刺客とのバトルなど勇ましい堀の姿が満載です。もっとも物語の世界観はシュールなのですが、唐突なストーリー展開やキャラクターも含めて堀のイメージにぴったりな作品ではないでしょうか。

生田絵梨花の狂気を「シュール」で片付けるのはもったいない
第8話「ツダモモエ」
今こそFODでイッキ見! 乃木坂46によるオムニバスドラマ集『乃木坂シネマズ』の名作5選

主演は生田絵梨花、監督は山岸聖太。銀行員として働くツダモモエ(生田)は、採用試験時の面接官の男性に一目ぼれ。そして、「誕生日には好きな人と海へ行きたい」という夢をかなえるためにあらゆる手段を駆使。波乱の誕生日が幕を開ける……。

強烈なインパクトを残した『逃げ水』や『別れ際、もっと好きになる』(大量のナンが降ってくるアレ)といった乃木坂46のMVを手掛けた山岸監督の作品だけあって、終始ブッ飛んでいます。ただ、生田が演じたツダという女の子も狂気じみてはいますが、これまでバラエティ番組で見せてきた生田の言動を考えれば意外と違和感がなかったので、筆者としては視聴後不思議な感覚に陥りました。


●“縛り”しかない状況で試された久保史緒里
第9話「脆弱性」
今こそFODでイッキ見! 乃木坂46によるオムニバスドラマ集『乃木坂シネマズ』の名作5選

主演は久保史緒里、監督は谷川英司。舞台は2026年、AI技術はめまぐるしい発展を遂げ日本では最高峰ロボットが発売された。街の大型ビジョンで流れるこのニュースを、アンドロイドのメシア(久保)はパトカーの中から眺めていた……。

初舞台『3人のプリンシパル』(17年)当時からズバ抜けた演技力を誇っていた久保。そんな彼女があえて心通わぬアンドロイドを演じたこと自体がこのドラマの「妙」。一貫して無機質、しかも発するセリフはずっと同じ。もはや“縛り”しかない状況下で芝居巧者・久保がどのようにキャラクターを表現したのか、彼女にとってもチャレンジだったはず。細部にまで目を凝らして観ていただけたら。

●決壊する愛憎――卒業控えた白石麻衣の集大成
第10話「街の子ら」
今こそFODでイッキ見! 乃木坂46によるオムニバスドラマ集『乃木坂シネマズ』の名作5選

主演は白石麻衣、監督は山田智和。タクシーで帰宅中の由梨(白石)は、助手席に座る子どもに気付く。これがバレたらクビだと語る運転手だが、その口調は怪しい。やがて、子どもを預かってほしいと頼まれた由梨は仕方なく水族館へ……。


一見サスペンスやサイコホラーのようでありながら、その実は命について考えさせられるヒューマンドラマ。白石と運転手の奇妙な縁は、さながら令和の『人間交差点』のよう。感情の機微、決壊する愛憎、そしてラストシーンの2文字……グループ卒業を控えた白石の集大成の一つの形であり、また『乃木坂シネマズ』全10作の締めくくりとしてもふさわしい重厚な1本。

▽『乃木坂シネマズ~STORY of 46~』
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