自民党総裁選は22日告示。茂木敏充前幹事長(69)、小林鷹之元経済安保相(50)、林芳正官房長官(64)、高市早苗前経済安保相(64)、小泉進次郎農相(44)の5人の争いだ。


 22日の候補者所見発表演説会を皮切りに、23日は共同記者会見と青年局・女性局主催の公開討論会、24日は日本記者クラブ主催の討論会と東京都内での演説会と、来月3日の投開票前日まで12日間にわたって選挙戦が繰り広げられる。自民党はその間、いつものようにメディアジャックするつもりだろうが、「ザ・マッチ」と囃してお祭り騒ぎだった昨年の総裁選と異なるのは、5人揃って出演するテレビ討論会の回数が減っていることだ。


■5人そろうのは各局1回限り


「党側の仕切りで、今回はテレビ各局、討論会は1回限りということになった。テレビは情報系と報道系など政治を扱うさまざまな番組があるし、地上波だけでなくBSにも討論番組がある。前回は希望すれば1つのテレビ局の複数の番組で討論会をすることができたが、今回は1回だけと。候補者それぞれの自由な活動を縛らないためとのことなのですが……」(民放テレビ関係者)


 前回の選挙期間は15日間で、自民党の公式ホームページの「総裁選2024ハイライト」によれば、<選管主催の討論会をはじめテレビ等メディアに出演し、合計18回の討論会を実施した>という。今回は12日間で、党選管(選挙管理委員会)主催2回、日本記者クラブ1回、在京テレビ6社各1回、ネットメディア2社各1回の計11回の予定だ。


「前回はメディアの討論会が多く、野党から『長い政治空白をつくって、電波ジャックして』と批判や異論が出た。その反省に立って、回数を減らしたそうです」(自民党関係者)



「進次郎構文」を警戒?

「候補者の自由な活動を縛らない」「野党への配慮」──いずれももっともらしい理由だが、党内には別の見方もある。ズバリ「進次郎隠し」だ。


「討論会の回数は選管主導で決めている。逢沢委員長と森山幹事長の意向だろう。

今回の総裁選で森山幹事長は菅元首相とともに進次郎さんの“後見役”です。現状、進次郎さんが党員票でも議員票でも優勢で、最有力の本命。それが崩れるとすれば、鬼門のテレビ討論会です。司会者から厳しく突っ込まれて、意味不明な『進次郎構文』が出たりと、昨年のような失速の二の舞いもあり得る。進次郎推しの森山幹事長にすれば、5人の器量が比較されるテレビ討論会はできるだけ減らしたいのが本音だろう」(自民党ベテラン)


 総裁選では今回も逢沢選管委員長名で、報道機関に「公平・公正な報道」を要請したり、所属議員に対し「報道機関のアンケートへの対応自粛」を求めたりしている。加えて、メディアの討論会への消極姿勢……。しかし、討論会に出せないような人物が一国の首相になっていいのか。


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 自民党総裁選はいよいよ本番。新総裁は連立政権の枠組み拡大に動くのか、どこを引き入れるのか。レース後を見据え、外野の争いも激化。●関連記事【もっと読む】『総裁選後見据え“外野争い”が激化…「進次郎首相」誕生心待ちの維新に公明は恨み骨髄』で詳しく報じている。


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