「私は経済活動も社会活動も今、止めるべきではないと思っている」──。もはや意固地の塊である。
集中審議で高市首相は、中東情勢の悪化を受けた緊急経済対策と財源となる補正予算編成について「現時点で必要な状況とは考えていない」と否定。聞かれてもいないのに「少し控えるように制限をかけたらどうか、との声もいただく」と節約要請をわざわざ取り上げ、その意見を「経済活動を止めるべきではない」と改めて切り捨てた。
いずれも立憲民主党の森本真治議員への答弁。原油・ナフサの高騰や供給不足の影響で「工場の稼働時間短縮や公営バスの減便、連休明けには休業が増える」と具体的に指摘されても、高市首相は「推移を見ながら、必要な対応は打たせていただく」と語るのみ。堂々の傍観宣言である。
高市首相はガソリン補助金の成果をことさら強調したが、財源は無限ではない。1リットルあたり一時約50円まで跳ね上がった支給額は直近で30円程度に収まったものの、財政負担を抑えるゴマカシが奏功したに過ぎない。
「支給額の算定基準を改めた効果です。日本のガソリン価格は中東産ドバイ原油に連動するのに、政府は突然より割安な北海ブレントに基準を切り替えた。
自らの非を決して認めないパーソナリティー
しょせん財源枯渇までの時間稼ぎ。集中審議で高市首相は今年度予算の予備費1兆円も補助金に「活用できる」と表明したが、予備費は本来、予測不能な災害への備え。今も林野が燃え続ける岩手・大槌町など被災地の救済・復旧に回すべきだ。補助金も限界に近づき、今の高市首相は何もやっていないに等しい。
「世論の7割が節約要請を許容する中、不要を貫く姿勢にこそ高市氏のパーソナリティーが表れています。彼女は自らの非を決して認めません」と法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)は指摘し、こう続ける。
「総務相時代の圧力発言が国会で問題になった際、野党が証拠として突きつけた内部文書を『捏造だ』と啖呵を切り、事実なら大臣も議員も辞めると答弁。役所が本物と認めても発言を撤回しませんでした。例の『台湾有事は存立危機事態』答弁も同様です。軽率な発言が問題になっても、撤回しなければ一部で“信念を貫く政治家”と受け取られ、その幻想を成功体験と感じているフシすらある。常に『強い経済』を標榜し、『普段通りの給油を』『ナフサ不足の指摘は事実誤認』と発信してきたため、事態が深刻化しても引っ込みがつかない。自分の言葉に縛られるあまり、有効な手を打てずにいるのです」
対策が後手に回るほど、石油危機のダメージは拡大の一途。
君子は豹変す。過ちを改めないのが本当の過ちだと恐らく高市首相は一生、気づくまい。
◇ ◇ ◇
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