映画にせよ小説にせよ、物語は謎解きが面白い。本作を見て、そのことを改めて実感した。
横浜のレストランでランチをしている独身の夏野幹夫(高橋一生)と叔父の大介(利重剛)。「なんで結婚しないの?」と問いかける叔父に、幹夫は「機会がないだけです」と飄々とかわす。いつも通りの穏やかな昼下がりだったが、パスポート更新のため区役所に出向いて幹夫は愕然とする。住民票に「続柄:妻」の文字を見つけたからだ。慌てて職員に尋ねるも答えは「昨年、婚姻届は受理されています」。しかも保証人の情報は開示できないという。
書類に記された名は「夏野繁子」。幹夫は繁子が住んでいた場所や働いていた職場を手がかりに街中を捜索する。諦めかけていたとき、前を通りかかった花屋から「夏野さーん」と呼ぶ声が聞こえた。
もしやと思い店に入ると、繁子(呉城久美)という店員は幹夫を見るなり猛ダッシュで逃走。「話をさせてください!」という幹夫の声も届かず、街中を走り回り、幹夫は運悪くトラックと衝突してしまう。幹夫が病院で目を覚ますと、枕元には「ごめんなさい」と書かれた置き手紙が。
「結婚さえすれば頑張れると思ったの」
繁子は奔放で衝動的。一方の幹夫は「絶対に怒らない」を信条にしている。二人は奇妙な同居生活を始めるが、衝突の連続。そのあげく幹夫は逆上してしまうのだった……。
住民票を取り寄せたら、知らないうちに結婚していた。そんなことありえないと思ってしまうが、筆者の知人には同様の経験をした男性がいる。「男女関係はあるが交際していたわけでもない女の子に勝手に婚姻届けを出された。一度籍を入れられたら、簡単に取り消せないよ」と彼は苦笑いしていた。もう30年も前の話だが、今も実態は変わっていないようだ。
監督のこだわりによって普遍的で上品な作品に
この「ラプソディ・ラプソディ」では、幹夫にとって住民票の「繁子」はどこの誰か見当がつかない存在だ。それが偶然耳にした「夏野さん」という言葉が手がかりとなり、幹夫が走って追いかける。
繁子も幹夫もつらい過去を背負っている。勝手に入籍された幹夫が繁子を責めないのは彼女が美人という理由だけでなく、彼自身の精神的な事情も絡んでいるからだ。それゆえ幹夫は「無私」と言えるほど繁子の身勝手を受け入れる。だがその忍耐が決壊したとき、物語は大きく展開し、さらなる追っかけっこを生むことに。
監督と脚本を務めた利重剛はこう語っている。
「僕は、映画館を出た後もまだ映画が続いているように感じる映画が大好きです。街を眺めながら、あの主人公たちはその後どうしてるかなと想像してもらえるような作品を目指して作りました」
犯人捜しというと、この数十年はまずはネット検索というパターンが主流だが、本作はそうした場面を排除し、あくまでもアナログに展開していく。さながら昔の探偵映画。利重監督のこだわりによって普遍的で上品な作品に仕上がった。
(配給=ビターズ・エンド/テアトル新宿、シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー中)
(文=森田健司)

![【Amazon.co.jp限定】鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 豪華版Blu-ray(描き下ろしアクリルジオラマスタンド&描き下ろしマイクロファイバーミニハンカチ&メーカー特典:谷田部透湖描き下ろしビジュアルカード(A6サイズ)付) [Blu-ray]](https://m.media-amazon.com/images/I/51Y3-bul73L._SL500_.jpg)
![【Amazon.co.jp限定】ワンピース・オン・アイス ~エピソード・オブ・アラバスタ~ *Blu-ray(特典:主要キャストL判ブロマイド10枚セット *Amazon限定絵柄) [Blu-ray]](https://m.media-amazon.com/images/I/51Nen9ZSvML._SL500_.jpg)




![VVS (初回盤) (BD) [Blu-ray]](https://m.media-amazon.com/images/I/51lAumaB-aL._SL500_.jpg)


