テレビ界の常識が覆されようとしている。4月13日か19日までの番組で視聴率2ケタを取った21本のうち、NHK連続テレビ小説「風、薫る」やNHK「ニュース7」など15分や30分の番組が計8本あった。

5月1日に発表された4月20日から26日までの番組も同様で、2桁の20本のうち、8本が30分以内の番組だった。


「2010年代以降、テレビでは長時間番組が数字を取れるという定説がありました。そのため、民放各局とも2時間スペシャル、3時間スペシャルを乱発していた。でも、現実には短い方が数字を取っている。このデータは注目すべきです」(テレビ局関係者=以下同)


 いずれの週も15分番組ではNHK連続テレビ小説「風、薫る」、NHKの「おはよう首都圏」、30分番組ではNHKの「ニュース7」「クローズアップ現代」「ダーウィンが来た!」、日本テレビの「笑点」が2桁を取った。これらは、その名の通り“レギュラー”として毎週(ほぼ毎日)放送されている。


朝ドラや『ニュース7』のように決まった時間にオンエアされると、視聴習慣が根付く。一方、長時間特番を連発すると、レギュラー番組が休止になるので、浸透していかない。この当たり前の原則を、もっと重視した方がいい。例えば、朝ドラは毎朝放送される15分番組だから、視聴者に定着している。これが、他のスペシャル番組で潰される日があれば、高視聴率は取れないですよ」


■長時間のスペシャル番組の弊害


 昨今、バラエティー番組はあまり数字を持っていない。両週で2桁は「笑点」(日本テレビ系)「ザワつく!金曜日」(テレビ朝日系)などの10番組にとどまった。


「これも、長時間番組を乱発しているからだと思いますよ。なぜ2時間や3時間のスペシャルがよく放送されるかというと、何時間もオンエアしていれば、どこかのタイミングで見てくれる人がいる。時間を増やせば、その可能性は上がるので、数字も上昇するという考え方です。でも、それは映像メディアがテレビ主流時代の話です」


 Netflixなど動画配信の企業が強くなった今も、民放各局はゴールデンタイムに長時間特番を連発している。2時間ならまだ短い方で、レギュラー番組を潰しての3時間~4時間の特番も珍しくない。


「その結果、レギュラー番組の視聴習慣が薄れていった。新番組が始まっても、月に2回しか放送がなければ、『今週もあの番組を見よう』という意識は生まれない。長時間番組は、テレビ側もずっと見ることをハナから期待していない。そんな消極的な姿勢も、テレビ衰退の要因の1つではないかと思います」


 両週の視聴率ランキングで、2桁を取ったスペシャル番組は「火曜の良純孝太郎2時間SP」「林修の今知りたいでしょ!2時間SP」(ともにテレビ朝日)だけだった。


「ネットでは長時間の動画は再生回数が取れず、ショート動画がはやっている。なのに、テレビはいつまでも既存の形式にこだわり、2時間スペシャルを乱発している。1番組の放送分数が時代に合っていない。

それは視聴率ランキングにハッキリ現れています」


 テレビ離れが進む今、わざわざテレビの前に座って長時間見る習慣はなくなっている。食事をする時などに、手軽に見られて完結する15分や30分番組が求められているようだ。


※視聴率は全てビデオリサーチ調べ、関東地区


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