「貸し切りバスの運行をお願いした。<レンタカーにしてください><運転手がいないから紹介してください>とお願いするわけがない」


 福島県郡山市の磐越自動車道上り線で発生した死傷事故をめぐり、問題のマイクロバスを利用した私立北越高校(新潟市)が7日に会見。

灰野正宏校長はこう主張した。バスには男子ソフトテニス部員20人が乗り、男子生徒1人が死亡、17人が重軽傷を負った。高校側は「レンタカーや運転手の手配を依頼された」とするバス運行業者「蒲原鉄道」の釈明について、「事実ではない」と否定。長年、部活動の遠征で蒲原鉄道を利用してきたことから、「バス業者に依頼しているので、当然そういうバスを用意してくれるだろうと思った」と説明した。双方の主張は真っ向から食い違っている。


 蒲原鉄道は「予算を抑えたいとの要望のあった学校側の依頼に基づき、レンタカーで対応した」「運転手の依頼もあった」と主張。高校側との金銭の取り決めは「実費のみ」で、営業担当者がレンタカー会社にバスの手配を依頼したという。その際、自身の免許証を提示していた。


 この事故をめぐり、福島県警は7日、バスを運転していた新潟県胎内市の無職、若山哲夫容疑者(68)を自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の疑いで逮捕。若山容疑者は「時速90~100キロでバスを運転していた」と供述している。若山容疑者は旅客運送が目的の車を運転するのに必要な「2種免許」を所持しておらず、県警は無許可で営業運行をしたとして道路運送法違反の疑いでも捜査を進めている。


 若山容疑者は2022年度から3年間、胎内市の会計年度任用職員としてマイクロバスの運転手をしていた。


「月に4、5回、イベントがあった際、市所有のバスで駅から会場まで職員や参加者を送迎してもらっていました。大型1種免許は所持していたものの、2種免許は持っていなかったと確認しています。営利目的ではないという前提で、運転を依頼していました。無事故で問題はありませんでした」(胎内市総務課)


 25年3月に本人から「次の仕事が決まったので辞めさせてほしい」と申し出があり、契約は終了したという。


 若山容疑者は元教員で、地元では駅伝の「カリスマ指導者」として知られた存在だった。06年には東京学館新潟高校の陸上競技部監督として県大会初優勝を果たし、全国大会に出場。以降、4年連続で県大会優勝を達成した。


 18年には創部5年目の開志国際高校の陸上部を率い、初の全国大会出場で24位に導いた。長年にわたって陸上競技の指導にあたり、全国レベルの選手を多く育て上げた。


 事故現場にブレーキ痕はなく、若山容疑者は「曲がり切れなかった。速度の見極めが甘かった」と話しているという。被害者ばかりでなく、関係者のショックも計り知れない。


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