カプコンによる完全新作『プラグマタ』が、2026年4月17日(スイッチ2版のみ4月24日)にリリースされました。本作は、異常が起きた月面施設の調査に向かった「ヒュー・ウィリアムズ」が、少女型アンドロイド「ディアナ」と共に、月からの脱出を目指すアクションADVです。
SF世界への臨場感を高めるビジュアルや、TPSアクションにハッキングを組み合わせた独自性の高いゲーム性にも目を引かれますが、健気で純粋なディアナの可愛らしさも同等以上に魅力的です。
ディアナは高性能のアンドロイド(作中の呼称は「プラグマタ」)ですが、ハッキング能力などに特化している一方、基本的な知識の蓄積は少なく、目に映るものはいずれも興味を示し、まるで人間の子どものような喜怒哀楽を惜しみなく見せてくれます。
すでにプレイ済みならば、ディアナの愛らしいリアクションをたっぷり堪能したことでしょう。しかし、その魅力に触れていない方も多いはず。ヒューを支える頼もしいパートナーでありながら、純粋無垢なディアナの魅力を、どうぞお見逃しなく。
なお、極力ネタバレを避けますが、記事に使用する画像には物語後半のものも含まれています。その点にご注意ください。
■ヒューの命を救うディアナ
調査員のヒューは、到着直後に起きた月震の影響により、怪我を負ってしまいます。また、身に着けているスーツも損傷し、そのままでは命を落としかねません。この危機的な状況下で、ディアナとの出会いを果たします。
見た目は幼い少女ですが、アンドロイドなので状況分析はお手のもの。素早く現状を把握したディアナは、自らの判断でヒューの命を救うべく、行動に移りました。
本作の世界には、物体情報をコピーし、その性質や機能も再現・精製できる「ルナフィラメント」と呼ばれる素材があります。このルナフィラメントを活用してスーツを修復すると、スーツに内蔵された機能でヒューの治療が行われ、意識の覚醒を促します。
誰にも命令されていないのに、自発的な判断で人間を助けるアンドロイド。その高性能ぶりにも驚かされますが、なによりもヒューの回復を喜ぶ笑顔の眩しさがたまりません。そんな表情を見せられたら、例え地獄からでも戻ってくることでしょう。
■ディアナは頼もしいパートナー
ディアナがただの少女ではなく、優れたアンドロイドであることは、本作の戦闘全般で実感させられます。彼女自身に直接的な戦闘能力はなく、銃器で敵を倒すのは主にヒューの役目です。
ただし、ヒューの銃撃だけでは、敵の装甲に阻まれてしまいます。そこで役立つのが、ディアナのハッキング能力です。
ハッキングに成功すると、装甲を一時的に強制解除でき、露わになった弱点にヒューが攻撃を加える。
見た目は幼い少女そのものですが、彼女の存在なくては月からの脱出は夢のまた夢。戦闘中に見せる横顔からも、どこか頼もしさが感じられます。
■ヒューがつけた名前に満面の笑顔!
ハッキングなどの能力に長けている一方、基本的な情報や情緒面の蓄積はあまり豊かではなく、例えば名前を訊ねても「認識番号」を答えるといった型通りの対応を見せる面もあります。
実は「ディアナ」という名前は管理者側がつけたわけではなく、名前らしい名前がなかったため、ヒューが作中で名付けたものです。
「ディアナ」という響きが気に入ったのか、それとも名前をつけてもらったのが嬉しかったのか。何度もその名前を口にし、全身で喜びを露わとします。その歓喜する振る舞いは、まさしく人間の子どものようで、彼女のあどけなさに思わず目を細めてしまうほどです。
■無垢で好奇心旺盛な一面も
月から脱出する手段を求め、施設を探索する中で、時折「アースメモリ」を見つけることがあります。これは、地球で親しまれていた遊び道具などを再現したもので、作中ではディアナへプレゼントできるアイテムです。
最初に見つけたアースメモリは「地球儀」。月とはまるで異なり、海が大半を占める水の星を見つめる表情は、まるで神秘の奥底に触れたかのよう。
しかし、くるくると回るギミックが気に入ったのか、シェルターではもっぱら地球儀は回して遊ぶ玩具と化しています。地球に向けたあの眼差しはどこへ……と思いつつも、地球儀を回す遊びは、多くの人が子ども時代に辿った未知のひとつでしょう。時には両手を使って高速回転させてはしゃぐディアナの接し方は、むしろ正解といえます。
■拠点で見せるあどけない振る舞い
アースメモリは地球儀だけではありません。滑り台にバスケットゴール、レトロなブラウン管風のテレビ、スケートボード、ブランコ、そして焚き火にテントなど、様々な遊具が拠点に並び、その全てにディアナは目を輝かせます。
滑り台は時折逆走して登っては途中で滑り落ち、テレビの前では両足を投げ出し、スケートボードには腹ばいで乗り、テントに潜り込んで「ここは秘密基地」とほくそ笑みます。そんな彼女の一挙手一投足が微笑ましく、ずっと眺めていても飽きません。
その中でも特に心を揺さぶられたのが、ディアナが「クレヨン」で描いた様々な絵です。「ディアナ」という名前をもらった喜びを絵で綴ったり、出会った猫を描き表すなど、作中ではディアナ画伯の絵をいくつも見ることができます。
猫をとても大きく描いたのは、印象の大きさが反映されたのか、それとも遠近法を取り入れた高度な手法なのか。その真相は、きっとディアナにしか分かりません。
また、綺麗な服を着た自分の姿の絵も、ヒューにプレゼントしてくれます。「いつかこんな服が着たい」「ヒューが覚えててくれるように、これをあげる」といった言動も、見た目に相応しくて愛らしさ満点です。
■ハイタッチに戸惑うアンドロイド少女
知識の蓄積はともあれ、ヒューとの意思疎通はスムーズに行っているため、人間との対話経験はある程度ありそうなディアナ。しかし、ヒューの言動や態度は、彼女にとって未知の部分もあるようです。
その代表的なシーンといえば、やはり「ハイタッチ」でしょう。ふたりが力を合わせて手ごわい強敵を倒した直後、「やったな! 完璧だ!」と喜ぶヒューは、その興奮から左手を掲げ、ディアナに向けます。
しかし、ヒューの意図が読めないディアナは、ただ戸惑うばかり。そんな彼女の手を掴んだヒューは、「うまくいった時はこうするんだ」と、ハイタッチを実践して教えてくれます。
手のひらに残る感触を見つめ、不思議そうな表情を浮かべるディアナ。こうしたコミュニケーションは、おそらく初めての経験だったのでしょう。未知との出会いに触れたその表情は、等身大の少女のようでもあり、アンドロイドゆえの無垢な反応とも思えます。
■垣間見えるディアナの「成長」
ディアナはアンドロイドですが、ヒューを助けるのは、命令や義務が理由ではありません。
その反応も、プログラムされたもの……と考えることもできますが、この時に見せたディアナの表情は、自身の決意と、いくばくかの期待を込めているようにも思え、人間の子どもとなんら変わりなく見えます。
その表情を彼なりに察したヒューは、「助かるよ」とディアナの言葉に正しく報います。その答えを聞いたディアナが真っ先に見せた反応は、右手を掲げるという仕草。以前は何も知らずに戸惑うだけだった「ハイタッチ」を、自分からヒューに求めたのです。
アンドロイドという実体を考慮すれば、これは「学習」と捉えるべきなのかもしれません。しかし、これを「成長」と受け止めたくなるのは、プレイヤー視点ゆえの欲目でしょうか。
ここでもヒューは、野暮なことは口にせず「頼りにしているぞ」と左手を向け、ディアナと信頼のハイタッチをかわします。このシーンを見られただけでも、『プラグマタ』をプレイした甲斐がありました!
■アンドロイドの彼女が望むこと
ディアナは、幼い子どものように表情を目まぐるしく変化させ、純粋な目で世界を見つめますが、アンドロイドゆえかワガママな言動はせず、ヒューを困らせるようなことはほとんどありません。
最初の出会いでは自発的にヒューを助けたものの、以降はサポートに徹することがほとんど。そうした「あまりにも良い子」な振る舞いに、もどかしさを感じていたプレイヤーもいたことでしょう。
そんな気持ちを吹き飛ばしてくれたのが、浜辺でのシーンです。
この光景を目の前にしたヒューは、家の近くにあった海を思い出し、潮風ではがれる屋根のペンキなど、懐かしい思い出を脳裏に蘇らせます。そんな実感のこもった言葉を理解しきれないディアナに向かって「本物を見たらわかる。地球に…戻ってな」と、この施設を脱出した後の話を、何の気なしに口にしました。
しかしディアナは、「え…?」と短い疑問を返します。そこでヒューは察し、「ずっとここに残るつもりだったのか? どうしたいんだ?」と言葉を続けます。
ディアナが今したいことは、ヒューを助けること。その意志は確かですが、その先について、彼女は考えていなかった……いえ、アンドロイドゆえに、未来について自発的に考えるのが難しかったのかもしれません。
だからこそヒューは、ディアナに真正面から向き合い、質問を投げかけたのでしょう。問われたことで、ディアナは自分の気持ちを具現化し、力強く述べました。「私…地球に行きたい!」と。そして、「一緒に…行ってもいいの!?」とも訊ねます。
ここまで自分を助け続けてくれたディアナの、ワガママというにはあまりにもいじらしい、未来への希望。そんな彼女の願いに、ヒューが口にするのは「もちろんだ」という力強い一言です。
ディアナはこれまでに多彩な表情を浮かべましたが、ここで見せてくれた瞳の眩しさは、特に忘れられない一瞬となりました。ディアナが「ヒューを助けるため」に頑張るように、ヒューはこの笑顔を守るために全力を尽くすことでしょう。
凛々しい姿に愛らしい仕草、そして未来を望む姿と、ディアナの様々な一面を見せてくれる『プラグマタ』。アクションゲームとしての完成度はもちろんのこと、頼もしいパートナーとの交流も満喫できる作品でした。興味が湧いた人は、ぜひ実際にプレイしてみてください。


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