5月7日、大阪・西成区に「シティエクスプレス・バイ・マリオット」が2つ開業しました。世界最大級の外資系ホテルグループマリオット・インターナショナルが手掛けるビジネスホテルで、アジア初進出となります。

 かつては日雇い労働者の街のイメージも強かった西成。マリオット系列のホテル誕生で西成は今後どう変わっていくのか。西成エリアの観光まちづくりに詳しい阪南大学・松村嘉久教授への取材を踏まえて、経済担当の記者が観光ビジネスの視点から解説します。

荒牧亜燈羽:MBS記者 経済班・鉄道担当 日中関係の悪化がミナミの経済に及ぼす影響など取材

なぜ西成に外資系ホテル?

【大阪・西成】“ディープカルチャー”と体験型観光の需要でアツ...の画像はこちら >>


 なぜ、世界を代表する外資系ホテルが西成を拠点に選んだのでしょうか。

 マリオット・インターナショナルによると、梅田・難波以外も楽しみたいという需要の受け皿になり、この街ならではの『ディープカルチャー』が人気だということです。

 現代の旅行スタイルは、単に有名な観光地を巡るだけでなく、その土地ならではの文化や街の雰囲気を感じる「体験型旅行」が主流になってきているといいます。西成には、レトロな商店街や昔ながらの居酒屋、立ち飲み店が軒を連ねており、それらが『ディープカルチャー』として、旅行客から人気なのではないでしょうか。

西成には「“よそ者”を受け入れる土壌ができている」

【大阪・西成】“ディープカルチャー”と体験型観光の需要でアツい期待? 「なにわ筋線」開業で新今宮へアクセス向上も かつては『日雇い労働者の街』のイメージ 西成は変わるか
MBS

 阪南大学・松村嘉久教授は、西成には「“よそ者”を受け入れる土壌ができている」と分析しています。かつては労働者の街として全国から人が集まってきていたことから、外から来た人に対して寛容な街ともいえます。

 また、海外のインフルエンサーが「西成が熱い」と発信すれば、それを見た世界中の人々がこの地を訪れるというサイクルが生まれているという面もあるようです。インバウンド観光客の増加により宿泊施設の需要が拡大し、ホテルや民泊施設が増えてきているというのが今の西成の街なのです。

なにわ筋線の開業で新今宮へのアクセス向上!

【大阪・西成】“ディープカルチャー”と体験型観光の需要でアツい期待? 「なにわ筋線」開業で新今宮へアクセス向上も かつては『日雇い労働者の街』のイメージ 西成は変わるか
MBS

 そんな西成がこれからどう変わっていくのか。

 2031年春に「なにわ筋線」の開業が予定されています。これにより新大阪から新今宮、そして関西空港までが一直線で結ばれ、従来は環状線などを経由して時間がかかっていた空港などへのアクセスが向上します。

 南海電鉄もこの動きを見据え、新今宮エリアでのインバウンドビジネスを加速させています。

2022年には星野リゾート「OMO7大阪」がオープン、2024年には通天閣をグループする化など、エリア全体を観光拠点として強化する動きが活発です。

 松村教授は、「なにわ筋線は、関空側から新今宮を通過したあと列車が地下に潜るため、新今宮が“大阪の都心の入り口”という印象になるのではないか」と話します。

 また、このエリアはアクセスの良さも強みです。法隆寺などの世界遺産がある奈良に電車1本で行くことができ、京都や姫路へも乗り換え1回で行くことができます。

民泊が乱立して“迷惑”も

【大阪・西成】“ディープカルチャー”と体験型観光の需要でアツい期待? 「なにわ筋線」開業で新今宮へアクセス向上も かつては『日雇い労働者の街』のイメージ 西成は変わるか
MBS

 一方、観光地化の進行は西成に課題を突き付けてもいます。

 西成区には2000以上の特区民泊施設があります。近年、民泊施設が住宅地の中に乱立したことで、宿泊者の「ごみ」「騒音」「私有地侵入」などの問題が深刻化しています。

 LIFULL HOME'S総研・中山登志朗副所長によると、民泊事業者の土地購入の影響で西成の地価や家賃が上がっていて、ホテルもできて観光地として発展するとさらに上昇していく可能性もあるということです。

 これにより、もともとこの地に住んでいた人々が住み続けられなくなる問題もあります。

「観光」「暮らし」の両立は…

【大阪・西成】“ディープカルチャー”と体験型観光の需要でアツい期待? 「なにわ筋線」開業で新今宮へアクセス向上も かつては『日雇い労働者の街』のイメージ 西成は変わるか
MBS

 海外からの旅行客は街の魅力を求めて西成に来ているということですが、住んでいる人が住みにくくなってしまうと、もともと街にあった文化が無くなってしまうおそれがあります。

 「観光地としての魅力や人気」「住民の暮らしや街の特色」この2つのバランスをどう保っていくかが、西成の街の今後の課題です。

(2026年5月7日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」内『記者プレゼン』より)

編集部おすすめ