〈合意は大筋でまとまった〉──。イランとの戦闘終結に向けた交渉について、トランプ米大統領は23日、自身のSNSにそう書き込んだ。

〈間もなく発表されるだろう〉〈ホルムズ海峡は開放される〉と強調したが、イラン側との食い違いが目立つ。“世界の要衝”が戦争前の状態に戻る保証はなく、ナフサ由来製品の品薄・値上げは続く可能性が高い。


 イラン外務省のバガイ報道官は23日、国営テレビのインタビューで「戦闘終結及び米国が『逆封鎖』と呼ぶ米海軍による攻撃、イランの資産凍結解除に関して主に話し合われている」と説明。これら14項目からなる覚書の草案を作成した後、「30日から60日の間に、イラン・米国双方が詳細を議論して最終合意に至る」と明らかにした。ホルムズ海峡については、「米国に関係ない」とピシャリ。湾岸国であるイランとオマーンが管理メカニズムを構築するべきと訴え、トランプ大統領の言う「開放」との隔たりが浮き彫りになった。合意に至ったとしても、すんなり元通りとはいかなそうだ。


 当然、日本国内で続出しているナフサ由来製品の品薄・値上げも解消されるかは見通せない。特に心配なのが、医療資材の不足が加速することだ。


 神奈川県保険医協会が22日公表した「医療物資の在庫・供給状況緊急アンケート調査」(4月24日~5月11日実施)によれば、供給状況を確認した医療物資5種類(医療用手袋・マスク・エプロン・注射器・滅菌バッグ)は「入荷時期未定」が5割超。医療機関の在庫状況について、滅菌バッグは約3割、エプロンと注射器は約2割がすでに「枯渇している」と回答した。



高市政権が繰り返す「まだ大丈夫」とは真逆

 政府は23日から、まず5000万枚の医療用手袋の備蓄放出を始めたが、月9000万枚と言われる使用量を満たせるかどうかは不透明だ。

「アベノマスク」ならぬ「サナエノグローブ」を申請したある歯科医師は、「手続きが煩雑なうえ、いつ販売業者から連絡が来るかも分からない。モノが届いても、備蓄品なので経年劣化していないか心配」とこぼす。


 他に医薬品包装用フィルム・シート製品や軟膏容器などにも値上げの波が到来。高市政権は石油製品の需要抑制に後ろ向きだが、診療危機はすぐそこに迫っている。


「今のところは目立った影響は出ていませんが、世界のヘリウム生産の3割を担うカタールのプラントが攻撃されたことで、MRI(超電導型)の稼働に欠かせないヘリウムの供給不安が生じています。脳梗塞はMRIで診断して時間との闘いなんです。医療機関への卸業者は、不足する医療用プラスチック製品やホルマリンをかき集めているそうです。ホルマリンは採取した検体の保存に使われ、病理検査には必須です。万が一不足したら、がんの診断や手術自体が止まりかねません」(総合病院救急医)


 高市政権が繰り返す「まだ大丈夫」とは逆に、医療現場はギリギリ状況だ。


 どれだけもつか。


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