馬トク報知で過去の名勝負を当時の記事から振り返る【競走伝】。日本ダービーは特別編で、武豊騎手=栗東・フリー=のダービー6勝を【ダービー武豊伝】として取り上げる取り上げる。
快晴の青空へ、ユタカが力強くこぶしを突き上げた。割れんばかりの拍手が全身に降り注ぐ。心地いい。最高だ。史上初の日本ダービー連覇。またしても、武豊が誰もなし得なかった快挙を達成した。
静かに燃えていた。6着に沈んだ屈辱の皐月賞から1か月半。自らのエスコートで1993年に牝馬2冠を成し遂げたベガの子供になる、アドマイヤベガのことを常に考え続けていた。「デビュー前から、この馬でダービーを勝ちたいと思っていた。
昨年はスペシャルウィークで5馬身差の圧勝だったが、今年は状況が違っていた。皐月賞が順調さを欠いた惨敗。自信満々というわけにはいかなかった。それでもユタカは力を信じて、手綱を執った。
道中は後方待機。テイエムオペラオー、ナリタトップロードを前に見ながら直線へ。「ずっと外を振り回されるのは嫌だったので…。外へスムーズに出せました」。頭で描いていた通り、コースロスなく4コーナーを回ると、ライバルを射程圏にとらえた。
直線の叩き合い。
胸には近藤利一オーナーから渡されたお守りがあった。「レースでつけたのは初めて。橋田調教師の馬でダービーを勝てたことがうれしい」。昨秋の天皇賞で騎乗した橋田調教師の管理馬サイレンススズカは、レース中に骨折、安楽死の処置を受けた。スズカの分も…。そんな執念も込められていた。
2着に敗れたナリタロップロードの渡辺はレース後に涙を見せた。
GⅠは29勝目。岡部を抜いて、堂々のトップに躍り出た。まさにユタカの時代。「アドマイヤベガと王道を歩んでいきたいですね」。ハイレベルな戦いを制し、歴史を塗り替えた男はきっぱりと言った。
〈ノーザンファーム吉田勝己代表も歓喜〉
アドマイヤベガを生産したのは北海道・早来のノーザンファーム。「乗り味が良く、バネのある子でした。同期の中でも飛び抜けて良かったわけではないのに…。
〈1999年の日本ダービー〉
アドマイヤベガと皐月賞1着のテイエムオペラオー、重賞2勝のナリタトップロードが「3強」と呼ばれていた。直線では中団から早めに動いたテイエムに、後方からアドマイヤとナリタが襲いかかり、最後はアドマイヤがねじ伏せた。秋の菊花賞はナリタが制し、この年の3冠は「3強」が分け合うことになった。



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