フィリピン政府は、南シナ海のスカボロー礁(フィリピン名:パナタグ礁)周辺で、中国漁船がシアン化合物(青酸カリなど)を使用し、組織的に漁場を破壊している疑いがあるとして調査に着手した。国家安全保障会議(NSC)の報道官が明らかにしたもので、比政府は「海洋生態系に壊滅的打撃を与える行為だ」として中国を強く非難している。


その他の写真:イメージ

 フィリピン漁業水産資源局(BFAR)の報告によれば、スカボロー礁周辺で活動する中国漁船が意図的にシアン化物を散布しているという。単なる乱獲ではなく、「フィリピン漁師の操業を妨害し、同海域から排除するために漁場そのものを破壊している」との見方が強まっている。

 シアン化合物を用いた漁法は、一時的に魚を麻痺させて捕獲しやすくする一方で、サンゴ礁を死滅させ、海洋生態系全体に回復不能な損害を与える極めて有害な手法とされる。

 フィリピン政府は事態を重く受け止め、法的措置を視野に入れた証拠収集を進めている。NSCのジョナサン・マラヤ報道官は「事実であれば、海洋環境に対する明白な犯罪行為だ」と述べ、国際社会に中国の行為を訴えていく姿勢を鮮明にした。

 マルコス政権は、南シナ海における主権維持のため沿岸警備隊のパトロール強化を打ち出すとともに、自国漁民への支援と保護を継続する方針を再確認している。

 南シナ海では、中国による人工島造成やフィリピン船への放水銃使用など物理的衝突が相次いでいる。今回の「毒物散布」疑惑が事実と証明されれば、領有権問題に加え、国際的な環境保護の観点からも中国への批判が一層強まるのは必至だ。

 中国側はこれまで同様の疑惑を全面否定しているが、フィリピン政府は科学的調査結果を基に国際裁判所への提訴も辞さない構えを見せている。
【編集:af】
編集部おすすめ