フィリピン・ルソン島パンパンガ州アンヘレス市バリバゴ地区で発生したビル倒壊事故の現場では、方針の迷走を経て「一筋の奇跡」を信じた救助活動が今も24時間体制で続いている。

その他の写真:FBから、ドローン写真

 事故から2日目の25日夜、合同指揮本部は特殊機材による生存反応が途絶えたとして「生存者捜索」を終了し、重機による「遺体回収」へ完全移行すると宣言した。
しかし27日、現場を緊急視察した内務地方政府省(DILG)のジョンビック・レムリャ長官が「過去には2週間後に生還した例もある。希望がある限り救助を続けよ」と強く指示。方針は再び「生存者捜索・救助」へと差し戻された。

 この命令により、現場では二次崩壊を防ぎ、生存者を傷つけないよう重機を使わず手作業で分厚いコンクリートを削る慎重な作業が続いている。指揮本部によると、28日午前7時57分に新たに男性1名の遺体が収容され、確認された死亡者は計5名となった。依然として15名が行方不明で、フィリピン・デイリー・インクワイラー紙などが報じた「宿舎に取り残された幼児を含む子供たち」の捜索が全力で進められている。

 一方、違法建築を強行した業者と行政の癒着疑惑への調査も加速している。労働雇用省(DOLE)のフランシス・トレンティーノ労働長官代行は、過去に安全違反を見逃した疑いがあるとして、同省地域局長に「予防的停職処分」を下したと発表した。

 この制度は日本の懲戒停職とは異なり、証拠隠滅や部下への圧力、捜査妨害を防ぐために疑い段階で職務から強制的に隔離する措置である。有罪が確定したわけではないが、行政トップが「隠蔽を許さない」という姿勢を示すため即座に発動された。

 さらにレムリャ長官は司法省(DOJ)を通じ、ビルのオーナーであるアーネスト・ジャクソン・リム氏や施工責任者に対し国外逃亡を防ぐ「出国禁止令」を要請する方針を固めた。行政幹部の職務停止と内部調査の加速により、現場周辺のバリバゴ地区では商業活動が依然として停止しており、大惨事の爪痕は広がり続けている。

【編集:Eula】
編集部おすすめ